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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第四章 夢の続き②

夢で逢えたら171

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 第一の山場はアクションシーンの連続?
 この緊迫感が、皆さんに伝わるといいのですが。
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 ガアァァーン!ガラガラガラ。わああああああああああああああ。
 激しい騒音と、入り乱れる人の気配に、何事かが起こったことがつくしにもわかる。 
 「…静かに。もうしばらく静かにしていてください。おそらく、副社長と花沢氏の部隊が侵入してきたのだと思いますが」
 当初の予定では、まずつくしの確保が先決で、なるべくカルドゥーサの配下たちとは接触せずに立ち去る予定だった。
 だが、何事も予定は予定。
 予定通りに行かないのが常だ。 
 しかし、事態の急変にカヤマは判断つきかねて、先ほどから黙っている冴子へと視線を向けた。 
 冴子の表情は不思議に静かで、何の動揺も見られないのは西田のごとく彼女の冷静沈着さの賜物か。
 だが、不敵に微笑むその意味は?
 ゾクリと背中に流れる冷たい汗に身を震わせ、カヤマは一瞬浮かんだ懸念を瞬時にかき消した。
 カヤマの視線を感じたのか、薄らとした微笑みを消し、冴子はカヤマとつくしに頷きかける。
 「二人はここにいてください。カヤマさんにはDr.マーベルの警護を。私は様子を見てきます」
 「危険です」
 つくしも目を見開き、二人の会話を見守るしかできない。
 「危険はここにいても同じことでしょう。…逆に、女一人のこと。もし、カルドゥーサの人間と出くわすことがあってもこの非常時に見逃してくれる可能性は高いわ。どちらにせよ、できるかぎり早く副社長たちと合流して、この場を脱出しなくては」
 立ち上がった冴子の上着の裾をとっさにつくしが掴む。
 「高瀬さん、ダメです。そんな危険なことさせられない」
 「…危険は承知。最初から、ここにいる時点でそのくらいの覚悟はあります。副社長の第一優先はあなたなんです」
 「高瀬さん?」
 「あなたさえ無事なら、副社長の、司さまのミッションは完結するんです。おそらく何を犠牲にしても良いと言うご覚悟でいらしているでしょう。だから、私の安全は考慮に入れる必要は…」
 「高瀬さん!」
 つくしの大声に、とっさにカヤマがつくしの口を塞ぎ、耳を澄ませ、周囲を見回す。
 周囲は怒号に包まれ、かなり大きな声であったにも関わらず、つくしの声など気にする余裕のある人間はいないようで、特に危険の兆しの変化も感じられない。
 カヤマはふうう~と息を洩らし、真剣な声でつくしに忠告する。
 「…お静かに」
 「す、すいません。でも、高瀬さん、自分を卑下するような物言いはなさってはいけません。ましてや、私や道明寺の為に自分の危険を顧みないなんて、そんなのダメです」
 「卑下?卑下しているつもりはありませんが。私はただ、副社長の意志を読み取り、あの方の意志を叶えることを第一としていただけです。そこにあなたの意見を差し挟む余地はないはずですが?」
 あくまでも淡々と話す冴子の怜悧な物言いに、つくしは二の句を継げない。
 何かがおかしいのに、それを指摘することができないのだ。 
 だが、ふと、別の違和感が思わず口をついて出ていた。
 「意志を叶えることを第一として…いた?現在進行形じゃないんですね?」
 「……」
 冴子がふっと相好を崩す。
 「鋭いのですね」
 意外にも…。
 「何がです?」
 「いえ、こちらの話です。あなたは、副社長の意志を第一に叶えようとは思わないのですか?あるいはあの方の役に立ちたいとは?」
 思わぬことを問われて、つくしがキョトンとする。
 「意外ですか?こんなことを聞かれるのは?」
 「あ、いえ、うーん、そういうわけでもないんですが」
 司の意志を第一に叶える?
 司の役に立ちたい?
 司を守ってあげたいと、幸せにしてあげたいと思ったことは何度となくあったけれど、司の言いなりになってやろうととか、役に立ちたいなどと思ったことはなかった。
 冴子のいう司の『役にたつ』というのが、いったいどういう意味を伴っているのかはわからなかったが、少なくても、冴子のいう『司の為』と自分の思い描く『司の為』とはだいぶ違う気がした。
 だが、根底に流れるのは?
 「…高瀬さん、もしかして」
 わざつく気配に、再びカヤマがつくしの口をふさぐ。
 高瀬が唇に指を一文字にあてたまま、立ち上がり、柱の向こうの様子を伺った。 
 「大丈夫みたいですね。では、カヤマさん、後はお願いします」 
 カヤマは最後まで反対したいようだったが、聞けば西田同様、冴子も多少なりとも危機管理教育と格闘技の訓練は最低限受けているとのこと。
 現在、つくしの安全を確保することが最大の任務であったので、結局は冴子の申し出を受ける。
 「絶対に無理をなさらないでください」
 冴子は神妙に頷き、騒動の中心へと足を踏み出す。
 その顔には豪胆以上に、何の恐怖も浮かんでおらず、ただ、不思議な微笑が浮かぶばかりだった。

 「くそっ、不味った」
 「…お前が、焦りすぎるからだろっ」
 走りながらの会話に弾む声を抑え、類が文句を言う。
 普段ののんべんだらりのこの男とは思えない機敏な動きで、周囲に目を配り、時折横合いから飛び出してくる無謀な拳を振り払い叩きのめす。 
 特殊部隊の人間ほどとは言わなかったが、幼い頃から格闘技の訓練を受け、幼少時から喧嘩と暴力に明け暮れていた司は素人は思えない獅子奮迅の働きだ。
 そして、司ほどではなかったが、類も十分に戦力となっていた。
 もっとも、司の秘書の西田や、類の秘書の遠藤などがこの様子を見れば、自分の立場の自覚がないと言って憤懣やるかたない説教の嵐に間違いなかったが。
 それでもさすがに、若い頃とは異なり、30才も半ばになると、予想以上に体力の衰えを感じる。
 「…まだ、36才なのに」
 「だな」
 互いに詳しく言わなくても、何を思っていたのか悟りあい、思わずボヤいてしまう。
 端からスポーツなどとは筋力の使い方が違うのだから仕方がないが、十数年ぶりの荒事に体がついていっていなかった。
 「お前の方はけっこうなまってないじゃん。あちらこちらに青あざ作って男ぶりが上がってるけどね」
 「ぬかせ。お前も三年寝太郎なくせして、相変わらずけっこうやるぜ」
 「三年寝太郎は昔のことだよ。最近では、そんないい身分じゃないし。三年寝太郎どころか、一日平均4時間だよ、睡眠時間!」
 「…俺、3連徹も珍しくねぇぞ?」
 「お前は好きでやってんだから、別」
 「誰が好きで徹夜すっか!」
 近くで乱戦状態の特殊部隊員たちがその緊張感のないお気楽な会話を聞いて、思わずズッコケかける。
 当事者たちは緊張感がないどころか、黙っているとつくしへの心配で気が狂わんばかりに叫び出しそうな心情を、互いに軽口を叩きあって誤魔化し合っているだけだったが、あまりに平静な態度に他人からすれば心臓に毛が生えているとしか思えない。
 だいたいが、出合い頭に相手の武装解除をしてしまうので、いまのところ双方大した怪我人は出ていないが、一度相手の発砲を許してしまっていた。
 ズガァァァン!
 と、間髪入れずにどこからか銃撃の音が聞こえる。
 顔を見合わせ、互いに互いの思案を探り合う。 
 が。
 ガアァァーン!
 二発目の銃声とともに、
 『きゃああああぁぁっ』
 女の魂消る悲鳴が響き渡った。
 「キャサリンっ!!!」
 「あ、ちょっと、司!?」
 悲鳴と共に司がしゃにむにその方向へと走り去る。
 類も即座にその後を追うが、背後に司の背に銃口を向ける男を発見し、舌打ちする思いで振り返り、蹴りを放って男の手から拳銃を蹴り飛ばす。
 すかさず後をついてきていた特殊部隊員たちが、男を取り囲んで手際よく武装解除する。 
 類が向き直った時にはすでに司の姿はなく、その猛進に追いつくことができなかった。


 キャサリン、キャサリン…牧野!
 司の脳裏に占めるのはその名前だけだ。
 そして…恐怖。
 馴染みありすぎる感情に、司はその身を震わせた。
 昔の彼は恐怖とか苦悩とか、悲哀とか、そういったものに無縁だった。
 自分の為には一度たりとも感じたことがない感情。
 自分の命さえも、何の関心もないものだったから、恐怖という感情とは無縁だった。
 いつも、彼を揺さぶるのはたった一人の女だけだ。
 牧野つくし…いまはキャサリン・マーベルである彼の愛しい女。
 遥か昔、出会ったばかりの頃、雪深いカナダの雪山で遭難したつくしを探しながら彼女を失う恐怖に震えた。
 二度目は、滋に2人で拉致され遠く連れ去られた島で、つくしが底なし沼に落ちた時のこと。
 そして、記憶を失い、再びさまざまな感情とは無縁のものになったと言うのに、記憶を取り戻してすぐに取り戻した感情は、恐怖、苦悩、悲哀、それらすべての感情だった。 
 つくしを失った恐怖に絶叫し、つくしを失った苦悩にのたうち回った。
 つくしを失った悲哀に、人生を絶望した。
 すべてが虚ろになった彼に、それらの感情だけはいつもついてまわった…記憶を取り戻してこの12年間ずっと。
 夢で恐怖する道明寺司など誰が信じるだろう。
 だが、つくしに夢で逢えることをこの上なく望みながら、いつもその夢の結末に怖れ慄き続けた。
 逢いたい、見たくない。
 触れたい、もう二度とは叶わない。
 その相反する思いや、事実に、ますます司の感情は摩耗し、冷え凍えていったのだ。
 それが、たった半年。
 つくしと再会した半年の間に、すべてが一変した。
 失われていた世界の色はあっという間にきらめきを取り戻し、この上なく美しく甘美なものへと姿をかえた。
 もし、もう一度つくしを失えば…。
 もちろん、今度こそ、どこまでもついてゆく。
 だが、絶対に彼女だけは!
 司は突き上げる恐怖に突き動かされて、駆け寄ってくるカルドゥーサの配下たちを薙ぎ倒す勢いで、払いのけ続けた。
 あとにはギャアッとかグッとか、濁音の叫びを残して突き放された男たちを後ろからついてくる特殊部隊員たちが次々に取り押さえてゆく。
 「…せさん!」
 つくしの声が聞こえた気がした。
 周囲を見回し、声が聞こえた気がする方向へと歩みを進めてゆく。
 どこか、そう、廊下の向こう、仄明るい何かがある気がする。
 彼が愛し、恋い焦がれ、希求し続けずにはいられない彼だけの太陽。
 反対側から侵入した部隊の者たちがその場を制圧し、敵対する無法者たちを次々と打ち倒す。
 と、司の視界が突然、開けた。
 そして…。 
 すぐ目の前の石像の影から身を乗り出すつくしが…。
 司の前で、あれほど希求し探し求めたつくしが立ちつくし、茫然と彼を見返していた。

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更新ありがとうございます。毎日、楽しみに読ませていただいています。
ここ数日、すごい展開になってますね。
高瀬冴子、獅子身中の虫。私の中では粉々にしても飽き足らない女性だったんですが、こんな働き方をするんですね。
まだ、私は全面的に彼女を信じていませんが、頭の中で粉々にした彼女は消します。
次の展開を楽しみにしています。
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