「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影④

愛してる、そばにいて569

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 つくしが総二郎と、ここ花沢物産で出くわすのは、ずいぶん久しぶりだった。
 それどころか、彼に会うこと自体久しぶりだというべきか。
 「お前、つい最近、類とNYに行ってきたんだって?」
 「…まあ」
 「へぇ?」
 隠すほどのことではないが、総二郎の探るような目が、どこか居た堪れない。
 「戒に会って来たのか?」
 「ううん…その頃、ちょうど戒もNYにいなくて」
 つくしが素直に応対したからだろう、わずかに驚いたような顔をして、だが特にそのことを指摘することもなく、総二郎は頷いた。
 「そっか、残念だったな」
 「うん。西門さんは最近、海外回ってたんでしょ?」
 「おう。茶道もこれからは、インターナショナルな世の中なんだぜ?」
 総二郎はまだ『西門流』の中では次期家元、若宗匠にすぎないが、その分家元が自ら動くことができない分野での活躍を担っている。
 その一つが海外進出。
 つくしも詳しいことは知らないが、そうしたところから、花沢物産や道明寺HDなどの大企業とも共同参画している事業などがあるらしい。
 もちろん幼い頃からの親友という個人的交流もあるに違いない。
 しかし、そればかりではない、シビアなビジネス的観点での共闘でもある。
 総二郎の方はどうやらつくしとは違って、類との打ち合わせを終え、これから帰るところのようだ。
 「あ、エレベーター来たから、また」
 素っ気なくはあるが、簡単に挨拶を残し、到着したエレベーターに彼女が乗り込もうとしたところで、総二郎に呼び止められる。
 「牧野っ」
 「……はい?」
 幸いエレベーターには他に誰も乗っていなかったが、周囲の目もあるから、いつまでもこんなところで内々の話などしていられない。
 「お前、類が帰るのを待ってんの?」
 「あ…いえ。お夜食のお弁当を届けにきただけだから」
 それで総二郎も、つくしがぶら下げている大ぶりのエコバッグに気がついたらしい。
 「ふぅん。お、エレベーター閉まっちまうぞ。ボケボケしてねぇで、さっさと乗れよ」
 急かされ、内心でムッとする。
 …自分が呼び止めたくせに、まったくなんて言い草よ。
 しかし、この坊ちゃんたちが自分本位なのは、いまさらなことだった。




*****




 お弁当を届けに行ったものの、あいにく類はもう次の会議に入っていて、彼と顔を合わせることはできなかった。
 別段それも珍しいことではないし、毎朝毎夕顔を合わせているのだ。
 どうしても今、会わなければならないというものでもない。
 …ま、今日は会議に次ぐ会議だって、遠藤さんも言ってたから、呑気に私と、お茶を飲んでる暇もないよね。
 類に後からブツクサ言われることもないだろうと、さっさと彼の執務室を後にして、再び地下駐車場へと戻る。
 地階に到着したエレベーターの扉が開き、帰りにスーパーでも寄るかと腕時計を確認しながら降りたのとほとんど同時に、声をかけられつくしが立ち止まる。
 「牧野!」
 「え?西門さん?」
 「案外早かったな」
 さっき別れたばかりの総二郎が待ち受けていて、驚きにパチクリと目を瞬き、背の高い彼の顔を見上げつくしは唖然とした。
 「なんで、まだここにいるのよ」 
 「もちろん、お前を待っていたに決まってんだろ?」
 「は?私?」
 「送ってやるから、俺の車の方へ来いよ。類んとこの車は、お前を送ってもまた、どうせここに戻ってくるんだろうしな」
 どうやら、類の社用車の送迎を受けているものと勘違いされているらしい。
 「いや、私、自分の車で来てるから」
 「は?自分のって、お前自分で運転できるの?」
 「そうよ。別に女が自分で車を運転しても、全然おかしくないでしょ?」
 「まあ、そりゃそうだろうけどよ」
 なんでそこまで意外そうな顔をされるのかわからず、首を傾げる。
 「いや、なんかイメージじゃなかったからよ。お前、派手な車乗り回して、ドライブしまくるタイプじゃないだろ?」
 「そりゃ思いっきり地味な国産車の軽に乗ってるけど、私の場合、普通に買い物とか、実用目的に車に乗ってるんですけど?」
 車に乗る女=派手な車を乗り回してドライブ三昧、とはいったいどういう認識だと頭痛を覚えつつ答えると、今度は総二郎の方が目を見開きパチクリとさせた。
 「マジかよ」
 「マジよ、マジ。ていうか、普通の生活送ってる人は、普通そういう用途で車を持つのよ。あんたたちみたいな、金持ちのドラ息子とはわけが違うんだから」
 つくしもさすがにドラ息子は言い過ぎかとも思ったが、総二郎にしても、そんな些細な言葉尻で、一々怒るほどもう若くも青くもないのだろう、苦笑している。
 「なんかお前、また変わったな」
 「そうかな?」
 たしか優紀にも言われたセリフだ。
 …たしかに変わってるのかも。
 変わらないものなど何もない。
 しかし、その中でも、彼女の変化はあまりに顕著で加速度的なのかもしれない。
 「車、置いていけねぇの?」
 妙に執拗な総二郎の言葉に首を傾げる。
 「マンションに顔出すつーっても、類のヤツ、お前と同居始めてから、絶対にマンションには来るなとか言って、俺を寄せ付けねぇしよ」
 「え?類が?」
 初耳だ。
 どおりであれほど学生時代ベッタリで、いまだに交流が続いているらしい総二郎が遊びに来ないものだと、彼女も思っていたのだ。
 しかし、もう互いに暇な学生時代ではない。
 ただでさえ多忙な大企業の経営者と茶道の次期家元だ。
 …呑気にジャレ合ってる暇がないだけかと思ってたけど。
 「ここに停めとけば、類んとこのヤツがなんとかすっだろ?俺んとこのヤツに運ばせてもいいし。お前、俺の車に乗れよ?」



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