「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影④

愛してる、そばにいて568

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 「ほら!起きてっ」
 いつもの朝、いつものやりとり。
 唯一違うのは、いる場所が類のマンションのダブルベッドではなく、花沢家所有の別荘のクィーンサイズベッドというだけのことで…。
 寝ぼけ眼でのっそりと起き上がってきた類に、チョイチョイと指でこっちに来いとやられ、怪訝に思いながらも、どうしたのかとベッドの脇に仁王立ちに立っていたつくしが顔を寄せる。
 「…なに?また、お腹が痛いからとか、熱があるかもしれないから会社休むとか、ダダを捏ね出すんじゃないでしょうね」
 …子供か、あんたは。
 それで実際に休んだことがあるわけではないからまだしもだが、最初の頃は大真面目に心配してしまい、
 『熱はないみたいだけど、とりあえず遠藤さんに電話してみるから』
とかなんとか、類の第一秘書に電話して、
 『いつもの副社長の仮病ですので、ベッドから叩きだしてください。とりあえずベッドから離れさえすれば、さすがの副社長も、なんとか世の中の条理とか常識とか、自分の責任も思い出せますので』
とかいう信じられない返答をもらったものだ。
 もちろん、それ以降、デカい図体に閉口しながらもなんとかベッドから引きずり落として、一応はつくしが類の社会人生活を死守させている。
 「ん、はよ、牧野。チュッ」
 「っ!?」
 中腰スタイルのまま、固まってしまっているつくしの唇からあっさり離れた類が、大あくびしながらベッドから抜け出した。




*****




 『え~、毎日、おやよう、おやすみのキスしてるの!?』
 素っ頓狂な叫び声をあげられ、慌てて両手で握りしめた携帯電話を胸元にあて、視線を右、左。
 「ちょっと!大きい声出さないでよっ」
 『はは、ごめんごめん。でも、気にしすぎだと思うけど』
 まあ、それは優紀の言う通りなのだが、自分でも気恥ずかしく思っていることを、万が一にも他人に聞かれたくない。
 『でもまあ、なんというか、まんま王子様だわねぇ、そりゃあ』
 …王子様。
 たしかに類の外見はそのものではあるが、その実態はと言うと、今のつくしは首を傾げてしまう。
 「そういうんじゃないとは思うけどね。あの人って、ほら、海外生活長いじゃない?」
 『だって今まではしてなかったんでしょ?…キス』
 「うっ」
 それを言われると、そのとおりなだけに反論のしようがない。
 類は信州の別荘へと小旅行した時に宣言して以来、本当に宣言通り、毎日つくしにキスをするようになっていた。
 …そりゃ、挨拶だし、チュッっていう軽いやつだけだけどさ。
 『やっぱり、あんたのペースを慮ってくれてたんじゃない』
 以前つくしは、優紀に、類は自分に対して、家族的な親愛の情を感じているだけで、男女の恋愛感情は持っていないのではないかと言ったことがあった。
 それに対して優紀は、彼が欲望を見せないのはつくしへの思いやりかはなのではないかと反論していたのだ。
 「でも、まだキスだけだし」
 『だからでしょ?男の人とそういうことをすることに抵抗感があること、言ったんだよね?』
 「うん」
 つくしにも優紀の言うことはわかっている。
 『あたしはやっぱり、カウンセリングなり専門家に見せるべきだとは思うけどね。でも、たとえ通院したところで、すぐにどうこうできるものじゃないだろうし、当事者のあんたや、あんたのことをよく見ていてくれているはずの花沢さんが、何も言わないものをどうこう言えないけどさ』
 類には以前、どうして自分に病院に通えと言わないのかと尋ねたことがあった。
 その答えは、
 ―――だって、病院ってなんか嫌じゃん。
とかなんとかいう子供じみた返答が返って、目が点になったものだが、その真意を聞いて、つくしは涙が出そうになったものだ。
 「私を支えるって」
 『え?』
 「私が病気を克服しようとするのなら、病院に行くことも反対しないしサポートする。逆に行かないままで、何かしら障害になるようなら、なんとでもしてあげる。何も無理強いしないって、そう言ってくれたの」
 『……へぇ』
 したいようにしろ、ただ自分は支える、そう言ってくれる彼の言葉に救われた。
 『花沢さんのこと、好きなの?』
 類にも聞かれた言葉。
 「…たぶん」
 かつてのような、淡い恋心などではなく、けれど今はまだ、‘愛してる’とまでは言い切れる自信がなかったけれど。
 『じゃあ、…結婚するの?』
 「…………」
 『つくし?』
 優紀の言葉に、応とも否とも答えるべき言葉が、まだなかった。
 それは彼女の気持ちだけの、…類がプロポーズしてくれたから、というだけでは、応えられることではないという思いがあったから。
 …類を司のような目に合わせるわけにはいかない。
 もちろん、類と当時の司では立場も違うし、類はもはや、粋がっているばかりで、実力が伴わない少年などではない。
 自らの足でしっかりと立ち、確固たる地位と権力を持っている、大人の男性なのだ。
 しかし…、
 「ごめん、優紀。そろそろ行かないと」
 『あ、ごめん。お弁当、まだ届けてるんだっけ?』
 「うん。前と違って、私が休みの日だけだけどね」
 さすがにつくしが就職してからは、毎日類の夜食を届けるのは難しく、土日祝日の、彼女の休みの時くらいだけになっている。
 『経営者って大変ねぇ。週休二日どころか、めったに休みってないんでしょ?』
 「まあね」
 それでも類は、司に比べればキッチリと休日を取るタイプだ。
 さすがに完全週休二日とはいかないが、ランダムにでも、ほぼ週一日は必ず休みをとっていた。
 …できるものなのねぇ。
 もちろん、海外出張が普通だった司とは、立場的なものの違いもあるのだろう。
 類も出張がないわけではないが、日本国内とアジア近辺に絞れられていて、数日に渡る出張は、月にそう何度もあるわけではなかった。
 「じゃ、そういうことで、またね」
 『うん、また』
 駐車したまま、電話していた車内から出て、花沢物産の地下駐車場からエレベーターへと向かう。
 「…お、牧野じゃん?」
 「西門さん」



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