「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影④

愛してる、そばにいて567

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 「え………」
 「ふふ、さっきから‘は’とか、‘え’、ばっかりだね」
 「だ、だって」
 …好き?私はこの人が好きなの?
 高校生の時に、たしかにつくしは彼に恋していた。
 そして、さっきも類の恋人同士だろうという言葉に、そうかもしれないと思ったのだ。
 好きか嫌いかと言われれば、もちろん彼女は類が好きだ。
 信頼できる人。
 時々、魂の一部なのではないかと思えるほどに、彼女の心に寄り添ってくれる人。
 …でも、だからって。
 類の言う『好き』はどう言う意味なのか。
 「likeじゃない、loveの方の好きだよ、もちろん」
 「え…私、また?」
 口に出してしまっていたのだろうか。
 「いや、あんたなら普通に悩みそうだったから」
 苦笑されてしまう。
 図星だったつくしにしてみても、否定のしようがなくて、バツが悪い。
 …love。
 もう恋に恋するような年齢ではない。
 そして、記憶の退行によって一度は高校生に時を戻してしまった彼女自身の意識も、この一年の記憶の回復によりほとんど年齢相応にはなっている。
 けれど、
 …私はいくつになっても迷ってばかりだ。
 大人になったからといって、おそらく性分なのだろう、迷うことを辞められない。
 「まあ、いいや」
 「…類?」
 「今日のところは、もう寝よ?あんたを追い詰めるつもりはないし、たぶん俺、あんたよりあんたのことをわかってるからさ」
 「なによ、それ」
 …そうかもしれない。
 そんな風にも思う。
 おいでおいで、と隣のスペースをポンポンとされて、つくしも素直にベッドに潜り込む。
 「て、…また、パジャマ来てないの?!」
 「着てるよ?」
 たしかに着てはいるが、上半身裸でズボンを履いただけだ。
 …まったく、上もあるでしょうに。
 つくしと双方承知で同衾し始めた頃と、真冬はさすがに類も上着を着て寝ていたが、元々上半身は何も着ないで寝るのが好きだそうで…。
 「司だって着てなかったでしょ?」
 「……類」
 いくら司が類の親友なのだとしても、この場面で前夫の名前を出すのは、あまりにデリカシーがなさすぎるというものではないだろうか。
 「なに?」
 「いいけど!」
 結婚しよう、恋人だと言ってる男が、単なる添い寝とはいえ、ベッドで普通に前の男の名前を話題に出すことに、不快感ではないにしろどこかざわつく気持ちを堪え、つくしは類に背を向けさっさと横になった。
 チュッ。
 「!?」
 頬に触れた唇の感触に、驚いて振り向いたつくしの顔に再び影が近づき、…重なった。
 唇に重なった温かな温もりのある感触に、ビクリと震え、我に返ってぎゅうっと目を瞑る。
 チュッ。
 唇が離れて、次の類の行動にビクつく彼女をよそに、続くアクションが中々やってこない。
 ドキドキと鳴る心臓の音がうるさい。
 かああっと頭に上った血がサアアァッと下がって、トキメキからではない汗が、拳の形に握り締めた手のひらをじっとりと湿らせていた。
 類が自分の顔を、ジッと見ている視線を感じる。
 「目、開けて?」
 「………………」
 かけられた優しい、…熱気を含まない柔らかな声音に、つくしはおそるおそる目を開ける。
 声音と同じように、いつもどおりの―――男の顔ではない、類の清雅な美貌が彼女の顔を穏やかに見つめていた。
 「…キス、毎日するから」
 「は?あ、じゃなくって」
 「クスッ」
 さっき指摘されたばかりだというのに、またも『は?』と言っていまい、慌てる彼女がおかしいとまたも笑われて……宣言通りに唇にキスが落ちてくる。
 チュッ。
 「るっ…」
 「じゃ、今度こそおやすみ」
 上半身だけを伸び上がらせていた類が、枕元のリモコンに手を触れ電気を消す。
 ガチガチに硬った体がまだ元に戻らない。
 「……俺はさ、怖がってる女を抱くほど、性欲強くないし。そもそもそういうことが目的なんだったら、最初からあんたを選ばない」
 …類。
 肩ごしの類の気配を探って、つくしは彼の次の言葉を待つ。
 しかし、それ以上今は何も言うつもりはなかったようで、チクタクと壁掛けの装飾時計の音が耳につく中、やがては「ス――ッ」という類の寝息が聞こえ出した。
 チクタク、チクタク、チクタク………。
 いったい、どれくらいの時間が過ぎたのか。
 10分?20分?もしかしたら、ほんの数秒のことだったかもしれない。
 …はぁ~。
 つくしのガチガチに強張ってしまっていた体の力が、ゆっくりと抜けてゆく。
 寝入った類を起こさないように、そっと体を起こして、つくしは背中の類を振り返った。
 …綺麗な顔。
 眠っている寝顔はほんとうに宗教画の天使のようで、息をして生きている人間であることが信じれないくらいだ。
 そんな彼が自分を好きだと言ってくれる。
 結婚して、二人、ずっと穏やかな毎日を築いていこうと言ってくれるのだ。
 そして、おそらく類のさっきの言葉。
 怖がってる女を抱くほど、性欲が強いわけではない。そういうことが目的なんだったら、最初から彼女を選ばないーーーは、彼女が夕刻、あの花畑で類へと提起した問題への答え。
 自分たちにはまだ体の関係がない。
 あの場ではそのことだけを口にしたが、それ以前に前夫・隼斗との関係や男性との肉体交渉に恐怖を感じていることを告白しているのだ。
 当然、その男性への忌避感は、類にもあてはまるのだと彼だとてわかっているだろう。
 これまで彼が男としての欲望を顕にしてなかったから、彼に対してそうした恐怖や嫌悪を感じることはなかった。
 しかし、今、キスをされそうになった時…された時、自分の体はやはり類が相手だとしても、抵抗感を感じてしまっていた。
 類もそれを感じ取ってくれていただろう。
 だからこそ、キスとも言えない軽い接触のみで、それ以上の何かをする気配を感じさせなかったのだ。
 『性欲強くないし』
 半分は本当のことだろうが、おそらく半分は。
 「自分もまだ若い男だから、そういう欲望はあるって言ってたものね」
 自分は類だからと言って、彼の男としての欲望を果たして受け入れられるのだろうか。
 たしかに、体の関係が必ずしも重要とは限らない。
 けれど子供ではないのだ。
 体の関係を完全に無視し得ぬことは、つくしだとて重々承知していた。
 それに―――、
 …この人は花沢物産の跡取り息子だ。
 彼がどう言おうとその立場は否定しようがなく、当然、彼の両親も周囲も、その後継者の誕生を望むことだろう。
 「はぁ~、もう寝よ、寝よ」
 とりあえずは、今すぐにすべてを解決できる方法など見つかるはずもない。
 それならば、とりあえずは明日のための休息を。 
 「…おやすみ、類」
 「ん……すぅ~zzzz」



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