「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影③

愛してる、そばにいて557

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 年月よりも、司の名前に黙り込む。
 だが、類が司の親友だとわかっていて一緒にいるのだ。
 類もあえて彼の名前を忌避しないし、彼女にしても一々それを厭うくらいなら、最初から類の傍にいること自体無理な話だろう。
 いや、それ以前に、たとえ独り言や心の中だけだったとしても、彼女自身がボロボロと司を話題にしてしまっている。
それに…。
 もしかしたら、いずれまた再び、司と顔を会わせる日がくるのかもしれない。
 以前とは全く違う立場で。
…類と結婚とかなったら、顔を合わせないわけにはいかない。
 そんなことが思いついて、ガツンと額を懐いていた車のボンネットに打ち付ける。
 ボコン!
 「うぎゃっ!」
 「…なにやってんの?」
 ヤバイ音に飛び上がって、つくしは慌てて自分が打ち付けたあたりを撫で、凹んでいないかを確かめた。
 …セ、セーフ?
 幸い音だけのことだったようで、特に窪みも凹みもできてはおらず、ホッと安堵。
 類の高級車とは雲泥のグレードだが、それでも彼女にとっては大切な虎の子の車、これまで大事に使ってきたのだ。
 「いや、ちょっと車が…じゃなくって、少し先走り過ぎかなって」
 「は?」
 類にポカンとされてしまって、自分が意味不明な言動をとってしまったことをやっと自覚する。
 「な、なんでもないっす」
 「やっぱあんたって、変な女だね」
 「………………」
 変な男に変な女呼ばわりされてしまい、ぷちショック。
 「ま、そんなことより、玄関入ろ?気分悪いなら、寝室で少し休んでから出かけることにすればいいし、大丈夫そうなら、まだ約束の時間までには余裕があるから、さっき言ったようにテニスか乗馬でもする?」
 差し出された手に手を乗せ、エスコートされるままに瀟洒な洋館の入口へと向かう。
 「ふわぁ、素敵なお屋敷ねぇ」
 「そ?屋敷ってほどじゃないと思うけど?こじんまりしてるし」
 「いやいや、十分私みたいなド庶民からしたら、立派にお屋敷でしょ、これは!」
 つくしのド庶民セリフがまた面白かったようで、口の端に笑みを浮かべてたが、それに対しては類も特に何も言わなかった。




*****




 車酔いはそれほどひどいものではなかったようで、邸内で使用人の淹れてくれた紅茶でティータイムを過ごし、一休みし終えた頃にはつくしもすっかり回復していた。
 「帰りは絶対に私が運転してゆくから」
 肩を竦める類も、特に依存はないらしいが、それでも少し残念そうに見えるのは気のせいではないのだろう。
…ホント、下手の横好きって言うか。
 「俺、まだ一度も事故ったことないのに」
 ボヤく言葉も華麗にスルーして、
 「さ!行こいこ。さすがに日が暮れてサクランボ狩りはできないでしょ!」
 あくまでもブレないつくしに呆れ顔で、先に立って歩く彼女の後を類もついてくる。
 「ま、いいけど」
 「農園まで車だよね?」
 「うん。歩いて行けないこともないけど、今からだと、間違いなくここに帰り着く頃には日が暮れてるね」
 「………って、いったいどこまで歩かせる気よ!」
 一年のうちで日が長いこの時期、まだまだ夕刻には程遠く、類の物言いからしてかなりの遠距離なのではないだろうか。
 「まあ、歩きだと片道1時間ちょっと、ってところかな。散歩がてら歩く?」
 「歩けない距離じゃないけどさ」
 …え~、昔とった杵柄って言うには、運動不足してるよね。
 芳しくないつくしの表情に、類があっさり前言を翻してくれる。
 「いいよ、無理しなくて。車で行こ?」
 「でも、体動かしたかったんじゃないの?」
 「ん?」
 「ほら、さっきも、テニスか乗馬でもするかって言ってたじゃない?」
 あまりアウトドアと類では結びつかないが、それでもわりに散歩は好きらしく、真冬でも暇さえあればけっこうブラブラと、そぞろ歩きにつくしを誘うことも珍しくなかった。
 …意外だけどね。
 「この先、いつでも機会はあるし」
 NYでもたしかそんなことを言っていた。
 名残を惜しむつくしに、また二人でくればいい、いつでも機会はあるから、と。
 未来を感じさせるその言葉をどうとっていいのか、その時のつくしはまだ戸惑ってばかりいたけれど。
 それでも…、
 「なに?」
 首を傾げて覗き込んでくる類の綺麗な顔に、ベタリと手をあて、超接近を阻む。
 「近い」
 「え~」
 「行こ、今度は私が運転するよ」
 今度は自分から手を差し出し、類を誘う。
 そんな彼女の手を握り返し、柔らかく微笑み返してくれる彼が…好きだ。
 少女の日、綺羅星のように憧れた想いとはまた違う感慨に満たされ、つくしはあらためてそう思った。
 ーーーあんたとなら、きっと毎日をこんなふうに生きていける気がするんだ。特別な何かがなくても…幸せを感じられる。温かいって感じられる、そんな毎日をさ。




******




 「綺麗~ぃ!」
 あっちの枝でプツッ、こっちの枝でプツッ。
 まるで大粒の宝石のように美しい果実を摘んで、プチッと噛めば、じゅわっと甘酸っぱさが口の中一杯に広がった。
 「ひ~、美味しい!」
 「…ぷっ、ひ~って」
 「ほらほら、類も食べてみなよ」
 もぐもぐとサクランボを頬張ったまま、つくしが類の口元へと、爪先立つようにして赤い果実を差し出す。
 そんな彼女の稚気に微笑んだ類が、小さく口を開け…パクッ!、つくしの指ごと果実を含んだ。
 「うっひゃあ!?」



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