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「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影③

愛してる、そばにいて548

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 目の前に停車した、高級車の運転席から降り立った長身の美貌の男性へと、つくしが歩み寄る。
 「……外で待ってなくても良かったのに」
 「いや、けっこうこの辺って込み入ってるからさ。わからないかもしれないと思って。…運転手さんに頼まなかったんだね?」
 迎えに来てくれるとは聞いていたが、よもや類本人が、自ら運転して来てくれるとは思っていなかった。
 …疲れてるのに。
 じんわりとした感動とも嬉しさともつかない思いに、自然つくしの顔に微笑みが浮かぶ。
 「道、大丈夫だった?」
 「ちょっと迷った」
 「え~」
 声を上げるつくしへと類が悪戯っぽく笑って、ポンポンと彼女の頭を軽く叩き、控えめに自分たちを見ている優紀へと向き直る。
 「こんばんは」
 「どうも。…夜分遅くに、お騒がせして」
 「いえ」
 礼儀正しく優紀に接している類に、内心で驚き、…しかし、彼もたいがいイイ年齢をした立場ある男性なのだと思い直す。
 …まあ、そうだよね。
 つい学生の頃のイメージが先行しがちだが、あの傲岸不遜だった司でさえちゃんと公私の区別をつけ、それなりの礼儀を心得ていたくらいだ。
 「え?こんな…いただけません」
 「いや、大したもんじゃないし。生菓子だけど、一応冷蔵庫に入れておけば、数日持つそうだから」
 類の言葉につくしも優紀の手元を覗き込めば、手頃なサイズの紙袋に、有名ブランドのロゴ入りの箱。
 …たしか、メイプルにも入ってたことのあるお店の洋菓子の箱だよね、これって。
 洋菓子屋の類などは、とっくに閉店している時間帯だが、途中会社の近くにある高級ホテルにでも寄って、適当に詰めさせたのだろう。
 「もう、いいの?」
 「うん」
 「じゃ、帰ろ」
 差し出された手に、いつもの習慣の条件反射で、肩にかけていたショルダーバックを類に手渡し、それを後部座席に彼が置いてくれるのをなんとなく見守っていると、すぐそばに立っていた優紀が、わずかに頬を赤く染めつくしの耳元に囁いた。
 「話には聞いてたけど、凄い衝撃的」
 「……なに?」
 「めっちゃ素敵な人じゃない。もうまんま、王子様って感じ?いるのねぇ、ああいう人」
 両手を組んで、うっとりと類の後ろ姿を見ている優紀の顔は、夢見る乙女そのまんまで、老若男女問わずつくしにしてみてもよく見る光景だ。
 が、さすがに通りすがりの女子高生たちとは違って、わりにすぐに自分を立て直したようで、つくしへとからかうような、それでいて嬉しそうな顔で小さく含み笑う。
 「あんたが高校時代、岡惚れしてた気持ちがよくわかった」
 「……岡惚れって」
 「してたでしょ?」
 まあ、否定はできない。
 しかし、さすがに本人を目の前にして、聞かれたいものではないと、こっそりと類を窺う。
 「あんたのこと、大切にしてくれてるみたいだし…ホント、良かった」
 類が助手席に回り込んでドアを開け、つくしを待つ姿勢になっているのを認め、こしょこしょ内緒話を辞める。
 「行こ?」
 「うん。じゃ、優紀、また」
 「うん、またね」
 挨拶を交わし合い、いそいそと類の待ち受ける助手席へと回り込み、類の片手に支えられて車へと乗り込む。
 …別に一々エスコートしてくれなくてもいいのに。
 そんなことも思う。
 だが、彼はただ乗り降りをサポートしてくれているだけではなく、左ハンドルの外車な為に助手席が対向車側なので、どうやら対向車から彼女をガードしてくれていることにつくしも気がついた。
 「ありがとう」
 「…ん」
 運転席に戻った類の体越し、車窓の向こう側に見える優紀へとつくしが手を振ったのとほとんど同じタイミングで、車が夜の道をギュルルルルッと甲高い音を立て、突然猛スピードで疾走し出す。
 「だから!急発進は辞めてって、いつも言ってるでしょぉぉぉぉぉ!!ひいぃ~~っ!!!」




*****




 真夜中のヘビーなドライブを終え、二人がマンションの地下駐車場に着いた時には、酔いも手伝って、つくしは車酔いにフラフラ、ヘロヘロの状態だった。
 「うっ、ちょっと気持ち悪い」
 「吐く?」
 「それは…平気」
 とりあえずは嘔吐くほどではないから、大丈夫だろう。
 うんざししているようではなかったが、類が仕方なさそうにため息をつく。
 「部屋まで抱き上げようか?」
 「は?」
 「それの方が早そうだし」
 助手席のドアを閉め、そのままヨロヨロっと駐車場の外壁に懐いてしまったつくしに、類が首を傾げてそんなとんでも提案をしてきた。
 …冗談でしょ?
 しごく真面目な顔で歩み寄ってくる類に、ぷるぷると首を横に振って遠慮する。
 「い、いい、いい。いいです!結構です!!」
 「別に遠慮しなくてもいいのに」
 「遠慮って…いや、私、ごく一般的常識を持つ日本人なので、公衆の面前でそういうのはちょっと」
 「ぷっ、ごく一般的常識を持つ日本人って、変な言い草。人生の1/3は海外にいたくせに」
 「…まあ」
 それはそうなのだが、それでもそれはそれ、これはこれだ。
 「しかも、公衆の面前も何も、人っ子一人いないじゃん」
 「そうだけどさ。でも、いいよ。自分で歩けるからっ」
 「強情っぱり」
 そんなことを言いながらも、類は一応彼女の希望を聞いてくれるらしい。
 つくしのショルダーバッグを肩にかけ、反対側の腕で彼女の腰を支えて歩いてくれる。
 「歩きにくいから、腕を俺の腰に回して?」
 「…はい」
 乱暴な運転の後遺症もあって、かなり酔いも回っている。
 足元がグラグラと覚束無ず、さすがに身長差がありすぎ、類の肩に腕を回して支えてもらうことが出来ないので、仕方なく彼の指示通りに彼の腰に腕を回わし、ほとんど抱きついた状態で半ば引きずられて歩く。
 ふわふわとした酩酊感に彼女がぼんやりとしているうちに、いつの間にかエレベーターの乗り降りも済ませて、気がつけばマンションの寝室のベッドに下ろされていた。
 どうやらなんだかんだで、完全に抱き上げられてしまっていたらしい。
 「ハァ~、この酔っ払い。こんなんで電車で帰るとか、途中で変なヤツに拉致られでもしたら、あんたいったいどうするつもりなわけ?」



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