「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影②

愛してる、そばにいて530

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 「はい、って」
 どう見てもつくしへのプレゼントだろうが、手渡してくる様子がそれっぽくない。
 とはいえ、そうしたシチュエーションも初めてではないのだから、いまさらか。
 「…えっと、貰えないよ」
 「いや、断るほど大したものじゃないよ。とりあえず開けて見な?」
 …とりあえず。
 世にも絶世の美男に、オシャレなバーで綺麗な包装紙のプレゼントを貰うなんて、本来とてもつもなくロマンチックなシチュエーションだろうに、なんだか複雑だ。
 「あ…花」
 「うん、いらない?」
 「……ありがと」
 赤いチューリップの一輪挿し。
 おそらく普通にポンと一本花屋に売っているようなものとは違って、それなりに高価ではあるのだろうが、さすがに類の言うとおり、もらえないと突っぱねるほどのものではない。
 行こうと差し出された腕に腕を絡めて歩き出す。
 「ああ、花だけ持って。バックは俺が持つからさ」
 「あ、…うん」
 いつもだったら、そう素直に出来ることではなかったが、やはり酔いが回ってかなり開放的な気分になっているからか、公衆の面前でも堂々と類と腕を組んで、彼に荷物を持たせることにもそれほど抵抗感がなかった。
 …見た目ほっそりしているのに、やっぱりこの人も男の人なんだよね。
 ガッチリとした腕は、フラつくことなく彼女をしっかりと支えて、危なげなくエスコートしてくれる。
 「でも、どうして?」
 「ん?」
 「花なんて」
 「デートだから?」
 疑問形。
 類との会話ではよくあることで、自分が言ったくせに確信がないのか、彼はよくそんな言い方をする。
 …たんに煙に巻いてるだけかもしれないけどね。
 「本当は、夜景の見えるオシャレなレストランで、美味いディナーに花と…って奴をやってみるつもりだったんだけど、他のヤツに先越されて霞んじゃったからさ」
 「……なんで、そんなの」
 この一年、デートはまあ、していないとは言わない。 
 定食屋でガッツリ飯やら、公園で散歩、本屋巡りをデートというのなら、まあそうだろう。
 …あ、この間はNY観光したっけ。
 買い物やドライブをしたこともあったけれど、たいがいそれは平日の買い出しを兼ねたもので、どちらかというとかなり所帯臭く、一般で言うデートとはかなり程遠い。
 それがここに来て、いきなり性分ではない、まるで総二郎かあきらのようなデートを画策してきた類の意図に首を傾げた。
 …あ、やば。けっこう酔ってて、上手く思考がまとまらない、かも。
 「お花は嬉しかったけど…」
 組んだ腕とは反対側の腕に抱えた箱を見て、首を傾げる。
 「だって、あんたけっこう乙女チックじゃん?」
 「…乙女チックって、もう乙女とか言われる年齢じゃないんですけど」
 「まあ、そうだね」
 あっさりと肯定されて、自分で言ったもの顔が引き攣ってしまう。
 「ぷっ…凄い顔」
 「ほっとけ」
 眉間のシワに触ってこようとする類の手を邪険に叩き落とすと、それがおもしろいと、よけいにやろうとしてくるから、今度は大げさにガチガチと歯を鳴らして威嚇してやる。
 「ぷ、くくく。噛まないでよ、怖いからさ」
 「なら、子供みたいなことしないの」
 「…あんたもけっこうやってること、子供っぽいと思うけどね」
 「……………」
 ああ言えば、こう言う。
 口の減らない類に、仕方ないとつくしも苦笑して諦めた。
 「もう、しょうがないわね」
 「ふふ、そういう顔も嫌いじゃないよ、俺」
 「………ゴホン」
 赤面してしまった顔を、酔いのせいにして咳払いで誤魔化す。
 「明日さ」
 「…うん?」
 ちょうど到着したエレベーターに乗り込んで、回数表示が点滅するのを、なんとなく見るともなく二人で見上げる。
 「仕事終わったら連絡するから、晴れてたら空港に行くまでの時間、セントラルパークで散歩しよっか?」
 「え、でも」
 たしかにフリータイムだとは言っていたが、そう何時間もあるわけではない。
 しかも、その後十何時間にも及ぶフライトを過ごして、つくしはともかくとして、類は当日から仕事があると聞いているのだ。
 「疲れちゃうんじゃない?早めに空港行って、ラウンジとかで休んでた方がいいんじゃないの?」
 「平気だよ」
 「でも…」
 彼のハードスケジュールを慮って遠慮するつくしに、類がニッコリ微笑んで誘ってくれる。
 「行ってみたかったんでしょ?」
 「類」
 「一緒に行こ?」
 「……うん」




*****




 「ふわぁあああ、凄ぉい!話には聞いていたけど、まさかNYでこんなに綺麗な桜が見れるなんて!」
 ポカンと口を開け、つくしが満開の桜の木を見上げ、その花以上に満面の笑顔を向け類を見上げる。
 春先のNYはまだまだ寒さも厳しい。
 真っ青というよりは白っぽい空は快晴だが、それだけに空気は冷たかった。
 「クスッ、そんなに大きな口開けてると、虫が入るよ」
 「はは、まさかぁ…うぐっ」
 類のジョークを笑って躱そうとして、ジャストなタイミングで口の中に虫ならぬ花びらが入って、つくしは顔を顰めた。
 「ぷっ、入ったじゃん」
 「…虫じゃないわよ」
 舌先で花びらを押し出し、指先で摘まんでピンと花びらを弾く。
 「大道芸人も出てるんだ」
 「そうだね。これだけ晴れてる日も珍しいから、ラッキーだったかな」
 「うん、ホントだね」
 「ダンスもやってるみたいだし、見に行ってみる?」
 「いいの?」
 「もちろん」
 つくしの目は、すでに類に提案される前から、キラキラと好奇心に輝いていた。
 日本で職務に従事している時には年相応に落ち着いている彼女も、不思議にここ、NYではかつてのハツラツとした少女を彷彿とさせて、類の目にも若返って見える。
 まるで小さな子が手を引っ張るように、つくしが先を急いで彼の手を引くのに、類も我知らずいつのまにか笑ってしまっていた。
 「なに?」
 「ううん、大丈夫、なんでもないよ」



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