「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影②

愛してる、そばにいて504

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 ボヤくジーナの手首をゆっくりと離し、司は懐からカード入れを取り出すと、そのうちから二枚のカードをジーナへと差し出す。
 「なによ、これ?」
 「知らないのか?プリペイドカードだ」
 「それくらい知ってるわよ!そういうことじゃなくってっ」
 焦れて抗議するジーナの憤懣をわかっていながら、司はあえてそれを無視して話を続ける。
 「それとこっちは俺の秘書の連絡先。なんかあったらここへ連絡しろ、たいがいのことは対処できる」
 小切手のようには手に取ることすらせずに、ムッとした顔で無言でカードを睨んでいる少女の赤毛の頭を、司が持ったカードで軽くはたく。
 そして、再びそのカードを差し出した。
 「……いいかげんにしてよ」
 「誤解すんな。今度は金で言うことを聞かせようって言うんじゃない。これまでも、戒が何かとお前んとこで世話になったんだろ?」
 「それって」
 「食費とか、宿泊代?」
 あからさまに意外そうな顔で見上げてくる顔を小さく笑って、さっさとジーナのスカートのポケットに差し入れてしまう。
 「いらないわよっ」
 「大した金額じゃない」
 「でも」
 話を強引に切り上げ、司は今度こそジーナに背中を向ける。
 ジーナの反応からして、彼女が戒の好意を利用して、某かの利益を享受していたわけではないと、言わずして司も察していた。
 「……じゃあな」
 そのまま外で待っていた部下二人に合図して、司は部屋を後にする。
 「なによ、このクソジジイっ!……こんなことする前に、自分の無礼な態度を謝るのが普通でしょ!?」



*****




 「……社長」
 街路の向こう側、目立たぬ通りに停車させた黒塗りの車に、SPたちと共に残して置いた西田が渋い顔で司を出迎える。
 言いたいことなど百も承知。
 しかし、下手に人目のない娘自身のアパートや、そこかしこに情報をネットにあげかねない野次馬のいる場所で会うよりはと、ここまでわざわざ出向いてきた。
 万が一スッパ抜かれたとしても、実際に買春でもして証拠を撮られたというわけでもなければ、今の司の権力ならいくらでも握り潰すことは可能だ。
 政敵たちにしても、誰一人、清廉潔白な人間などいないのだから、そんな些細なことで足を引っ張られるほど間抜けなつもりもないと、西田の主張を退けてここにいる。
 何か言いたげな西田を無視して、司がさっさと車に乗り込めば、西田もため息一つで前部の助手席へと収まった。
 どこにいても即座に書類の束を押し付けてくるのが常だったが、さすがに今の司が仕事に着手する気分ではないのを敏腕秘書も察しているのだろう。
 一応はお忍びを意識して、いつものリムジンではなかったから、運転席との距離が近い。
 SPが司の両サイドに乗り込むのと同時に、先導している護衛車に引き続き車が発進する。
 シートに投げ出された、封筒を見るともなく眺めて司は親指の爪を噛む。
 封筒の中身は、ジーナに関する調査結果の追加書類で、こちらへと訪問する直前まで読んでいたものだ。
 直接会った印象で言えば、ジーナはけっして悪い娘ではない。
 しかし―――、
 「西田」 
 「……はい」 
 「いくつか…州外のパブリックスクールの資料を集めておいてくれ」
 「州外の…ということは、全寮制の、ということでしょうか?」
 「……そうだな。マンションを買い与えるにはまだ早いし、どっかに屋敷を用意するんじゃ、何の意味もないことだろうからな」
 当然、西田も誰のための思案か承知している。
 「ということは、海外でもよろしいということでしょうか?」
 「どうしたものか」
 年中世界中を飛び回っている司にしてみれば、海外だからといってその敷居は大して高くはないし、どこでも同じだという認識がある。
 だが、戒はそうではないだろう。
 めったに自宅にいることもできないにも関わらず、司が母の楓の忠告を無視して、戒を自分のホームグラウンドにと定めたNY市内の屋敷に留めていた理由もそこにある。
 しかし、それが現在結果的に裏目に出た。
 少なくても、司にはタマがいた。
 姉がいて、幼馴染みの友人たちがいて、ある意味戒よりも恵まれていたのだと今更ながらに思う。
 「会長にはご相談なされないのですか?」
 西田の問いかけに顔を顰めてしまったのは、とんだ失態だった。
 いい年をした男のやることではない。
 今となっては、当時の楓の苦渋も一人の少年の父となった我が身と置き換えれば、理解はできる。
 だが、受け入れて許すこととはまた別のことだ。
 もはや恨んで憎悪をブツけるには、子供時代はあまりにも遠い話だが。
 …いや、単に俺にとって、あの女のことはもうどうでもいいってだけのことか。
 「俺の息子のことだ。一々会長にご注進の必要もあるまい?」
 「ですが、会長も戒坊ちゃんのことは折に触れ、心配されておられましたし、以前に各地のパブリックスクールの資料を収集していらっしゃいました」
 「ふっ、心配…ね。まあ、そうだったな…お前が二度手間はゴメンだというのなら、お前の言う相談とやらをしてみてもいいが?」
 珍しく食い下がる西田を皮肉る司のイヤミをサラリと流して、今度こそ西田が引き下がる。
 「いえ、差し出がましいことを申しました。2年前とは多少事情が変わっているところもあるでしょうから、ではあらためて資料を収集いたします」
 「ああ、…頼む」 
 西田に指示を出す傍ら、司はスラックスのポケットから携帯電話を取り出し、ここのところ連絡を怠っていた相手の番号を呼び出した。
 トゥルルルルルル、トゥルルルルルル、トゥルルルルルル―――、
 『はい?』
 「俺だ。わりぃ、寝てたか?」
 『いえ、まだだけど、そろそろ寝ようかとは思っていたところ。でも、珍しいわね、あんたから私にかけてくるなんて。どうしたの?そっちは今真夜中でしょ?』
 女の軽やかな声音が、心配そうに尋ねてくる。
 「……ちょっと相談がある」



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