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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第四章 夢の続き②

夢で逢えたら160

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 野獣も王子様も不在のNY。
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 ステファニー・ジョンソンは、今人気の女性週刊誌タイムリーの若手女性記者だ。
 本人は、経済紙への転向を夢見ているのだが、案外ゴシップ誌の水に合うのか、事件の臭いに敏感というのか、意図せずして現場に出くわす機会が多く、小さいながらもスクープを重ねて社内では評価が高い。
 先日も、道明寺司の元婚約者が出版した暴露本で話題になった淫乱性悪医師(他紙のゴシップ記事によると)S.C.マーベルへの突撃取材に成功し、ちょうどマンションの玄関から無防備に出てきたところを、他社の記者たちの先陣を切ってインタビューし、真ん前でその素顔を激写することに成功した。
 もっとも、その後、ステファニーの勤務する雑誌社の親会社FAコーポレーションを通じて、道明寺財閥から厳重な抗議が入り、マーベル医師のことは記事に取り上げることは叶わなかったが、交換条件として道明寺司に関する別の情報の提供を受けることに成功したらしい。
 何かと圧力を加えて言論の自由を統制してこようとするいけ好かない相手だったが、今回はそれなりの見返りも提示されている。
 ゴシップ記事の代替えにしては、あくまでもビジネスの話で、難航していた交渉を成功させて司氏が凱旋帰国することによって、財閥の収益は飛躍的に上がり、株価を左右するだろうという極めて堅い話。
 ステファニーの所属する部署の手を離れたが、別部署の経済紙部では大いに盛り上がったらしい…。
 それなりに評価はされたものの、やはりせっかく手に入れたチャンスを他の人間に奪われた形で、彼女にしては大いに不本意。
 どうせなら、その手柄を称えて経済部に転属させてくれればいいものを、と同僚のエルンストと行きつけのバーで飲んだ帰り、前々から『君の快活な笑顔に弱いんだ』と口説かれていたのが、酒の勢いも手伝い盛り上がって、肩を抱かれながらモーテル街へと足を踏み入れだした矢先のこと。
 「…なあ」
 「ん、なあに」
 鼻にかかった甘え声でエルンストにしなだれながら、男の指し示す方向へ顔を向けた。
 見ると、こんな夜半、モーテル街にも関わらず、車から降りた男女は甘い雰囲気の二人連れなどでなく、少女一人に男が3人。
 なんだか異様な雰囲気だ。
 NYは都会だ。
 それだけに、さまざまなところに危険はつきもので、大学時代に田舎から出てきて以来10年近くここで過ごしているステファニーにしてもある程度の緊張感は持っている。
 夜半とはいえ、宵の口ではある。
 女の独り歩きではないとはいえ、賑やかな大通りを狙って歩いてはいるのだが、それにしても、視線の先の男女は怪しい雰囲気を持っていた。
 エルンストはステファニーと同様、鼻が利く。
 ともに、先ほどまでの甘く盛り上がった気分はすっと冷め、互いに何かを嗅ぎ付けるカンに支配されているのは見合わせた顔でわかっていた。 
 だが、あまりジッと見つめているのも、少女を囲む不穏な雰囲気の男たちの注意を引く危険を感じて、エルンストの肩先にしな垂れかかったままステファニーが顔を背けようとした瞬間…。
 男たちに囲まれた少女が何かに躓いたかのように、体勢を崩して転倒した。
 「…あ」
 思わずエルンストが発しかけた声を封じる様に、ステファニーがその首に齧りついてキスを仕掛ける。
 もちろん、視線は横目で転倒している少女に釘づけにしたままだ。
 横にいた男に腕をとられて立ち上がった少女の長い金髪がズルリと落ちて、中から柔らかなウェーブを描いたブルネットの髪が現れた。
 そこで、ステファニーは女性を捕えるように取り囲む男達ばかりでなく、少女に対しても抱いていた不審さの正体を悟る。
 こんな夜だというのにサングラスをしているのも不審だし、服装が若く、小柄で華奢だったので少女だとばかり思っていたが、実は自分と同年代、いやおそらく年上の東洋系の女性であることに気が付いたからだ。
 立ち上がりながら顔にかけたサングラスを外した女性の姿が、ちょうど通りかかった車のヘッドライトの光に照らし出される。
 「…っ!?」
 S.C.マーベル!!?
 男たちに連れ添われて、奥まった細い路地へと姿を消した一行を見つめながら、ステファニーは抱き付いていたエルンストから体を離す。
 エルンストもすでに酔いも、欲望も冷めきっているのはわかっていた。


 すでに時間帯は日付を超えようとしていた頃合い。
 急遽、司が海上ならぬ、空の上で行おうとしていた記者会見を耳にし、時間になるまでやむなく社内の仮眠室で休んでいた西田の元に第一報が届いたのは、激務の疲労にそろそろ意識が浅い眠りへと引き込まれようとしていた時だった。
 仮眠室に鳴り響く固定電話の音に眠りを妨げられ、重い頭を一振りして体を起こし、寝乱れた髪を手串で整えた時には怜悧な思考を取り戻していた。
 即座に頭を覚醒させられないのは、もう年ということだろうか。
 考えたくもない自己評価に顔を顰めつつ、受話器をとるとキャサリン・マーベル医師につけていたSPのモーガンだった。
 「ケイト・モーガンです!」
 焦った相手の声に、眉をひそめる。
 …盗聴の危険があるから、緊急時…もちろん、こんな時間に自分に連絡を入れてくる以上、定時連絡だなどとはありえない…は携帯電話にしろと指示してあるというのに(携帯電話は固定電話に比べ、盗聴しにくいらしい。と、いうか警察などを除き一般的には、現在の技術では不可能?)。
 眉根を潜めて懐から携帯を探ると、どうやらぬかったのは自分の方だったらしく、たとえバイブにしてあろうとも、着信3回以内には必ず応答するはずの自分が、どうやら疲労に負けて寝こけていたらしい。
 楓社長の元ではありえなかったが、逆に言えば、司のように予想だにしないメチャクチャな思い付きのスケジュールを押し付けてくるようなこともなかったので、まだ体内サイクルが順応していないのだと、3夜連続社内宿泊の自身を密かに憐れんだ。
 「西田です。何があったのですか?」
 「マーベル医師が、消息を絶ちました」
 予想していた報告だったというのに、一瞬だけ、西田は二の句を告げられなかった。
 …もはや、司は空の上。しかも、記者会見を始めた頃。
 この報告をしたとて…。


 「なんだって?」
 スペインへ向けた飛行機の中で、第一秘書の遠藤に耳打ちされた内容に類は目を見開いた。
 片耳にはめたままのイヤホンからは、手元のテレビ画面に映し出された司の声が流れている。
 ファーストクラスとはいえ、席はそれなりに埋まっているので、人目を気にして類は高ぶる気持ちのままに激昂できなかった。
 …やられた、司は動けない。そして、俺も。
 先日のレンからの電話で、現在、つくしとレンに歓迎されざる人間が付きまとい始めているのを知っていた。
 とはいえ、レンもつくしの意向を汲んでいるのだろう、迷いを含んだ言葉は随所が曖昧で、密かに類が彼ら親子について調べさせていたのでなければ、危機感を持つことさえできなかったかもしれない。
 …司と話し合っておくべきだった。
 司も自分同様、つくしの事情を調べさせたことは想像に難くない。
 それどころか、つくし本人にも聞いているようである。
 認めたくはなかったが、肝心要なところでは、自分ではなく司を頼ったつくしのことが悔しくて、意固地になってしまったのだろうと、今更ながらに思う。
 総二郎たちに対してもそうだ。
 司がつくしに気が付いていなかった時期にわざわざ桜子をNYに呼び寄せ、観察眼が鋭い彼女をわざとつくしに会わせて不信感を抱かせた。
 つくしに口止めされた自分ではなく、周囲から気が付かせる目的を持っての行動だったが、本当に彼女のことを思うのなら、彼女にどう思われようと自分がさっさと暴露するべきだったのだ。
 つくしの秘密を自分一人が知っているという優越感と、彼女が心を許すことができるただ一人でいられるかもしれないというあざとい計算と…。
 レンに相談されて以来、つくしにも…そして、つくしを警護していた道明寺のSPたちにも気取られぬように花沢のSPも配置していた。
 そこまでしていながら、類は侮ってしまった。
 道明寺と花沢がついていながら、まんまとその目前からつくしを連れ去られてしまうとは!?
 相手は道理が通じる相手などではなく、何をしでかしてもおかしくはないアウトサイダー集団。
 しかも、花沢の情報網によれば、かなり危機的な状況に追い詰められている。
 ただ、どこの一派が出てきているのか…。
 とりあえずは、
 「…どういうことなんだ?」
 「どうやら、どこで接触したのか、あらかじめマーベル医師に対して連絡をつけていたようです。バーを出た時に、マーベル医師は他の女性と入れ替わった姿をしていたらしく、当初、エバンスタインもマーベル医師の姿をした女性を追いかけたそうなんですが…」
 類がNYを発つ際に渡しておいたピアスの発信機が、今先ほど店を出たはずのつくしではなく、そのあとに出た別の人物から信号を発した。
 長い金髪と、深く被った大振りの帽子、サングラス。
 服装は、若いストリート系のファッションの少女風で、欧米人の中では子供でも通るつくしの体型を利用したのだと思われる。
 一応、相手も発信機の存在は警戒していただろうし、携帯のGPSの事は念頭にあっただろう。
 だが、ピアスの方は小ぶりでシンプルな小さな石が付いているだけのものだったので、おそらく気が付かれなかった…。
 しかし…。
 「道明寺側のSPは、マーベル医師の姿を装った女性の方を追いかけたようです。エバンスタインの方はそちらは道明寺SPに任せて、信号を発している女性を追ったらしいのですが、途中現れた数人の男たちに阻止されまして…」
 百戦錬磨のSPと言えど、 多勢に無勢ではどうしようもない。
 無謀な戦いを挑むよりも、報告の義務をとったのは間違いではない。
 「エバンスタインに怪我は?」
 無表情に問い掛ける類に、遠藤はそっと笑みを零す。
 「大丈夫です。しかし、車に乗った後、どうやら発信機の存在に気が付かれたようでして…」
 「そうか。たぶん、身代わりの方は司んとこのSPが確保しているだろうけど、使い捨てだろうな。何も知らないに違いない。…ふ、計画的だったわけだ。司の騒ぎも、もしかしたら、俺んとこのゴタゴタも」
 「まさか?」
 「まあ、確証はないけどね。まだ、犯行声明出てないんだろ?労働争議の上での威圧行為だったら、犯行声明ださなければ意味ないし。…アヤラの後継者問題が絡んでいるんだとしたら、多少派手なことをしでかしてもおかしくない…か。司に連絡、取れる?」
 遠藤が首を振る。
 「おそらく無理かと」
 それはそうだろう、生中継で記者会見中だ。
 そもそも、自分もそうだが相手も空の上。
 道明寺内部からの緊急回線だったら秘書も取り次ぐだろうが、外様からの連絡などシャットアウトされるのも当たり前のこと。
 優紀が自分からの連絡を受け取ってくれるだろうか?
 「…西田か」
 類はテレビ画面の中、記者たちに不敵な顔を見せて笑う幼馴染みから視線を外し、立ち上がった。

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