「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影①

愛してる、そばにいて501

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 「では、ごゆっくり」
 ボーイが席を外すのを合図に、SPがさりげなく間仕切りの外へ。
 階下を眺めるフリで警備に立ち、目配せを受けた調査員の男も席を立つ。
 「ハァ……もう」
 小さくボヤくと、ジーナも自分が客商売だということを思い出したのだろう、ぎこちなくではあるが、愛想笑いをして司の注文した酒をチラリと見る。
 「お酒はまだあるようね。ボーイのラーソンが何を言ったか知らないけど、あたしはそういったサービスはしないから」
 「……そういったって?」
 「だから、…そういった、よ」
 ムッとした顔は、やはり遠目に見たよりも遥かに幼く、彼女の実年齢が透けていた。
 ―――目鼻立ちは綺麗な娘だ。
 さすがに最下層ではあるとはいえ、モデルをしているだけあって、スタイルも悪くない。
 しかし、ジーナ程度の容姿の女は、司の身近にはいくらでもいる。
 当然、戒も彼女の容姿に惹かれたわけではないだろう。
 …それならなんだ?
 司の眇めた目の注視を受けて、ジーナが居心地悪げに身動ぎをしているのを淡々と観察する。
 「まあ、座れ」
 「………じゃあ、少しだけ」
 それでも多少は店の人間に言い含められてきたのか、イヤイヤなのを隠そうともせずに、ジーナが司の隣…人二人分を開けて座るのに、内心小さく嗤う。
 「飲むか?」
 問われた問いに、チラッと司の顔を見上げて、それでも小さく頷くのに、司手ずから置かれたていた空のグラスに氷を入れ、瓶の中身を注いでジーナへと押し出す。
 しかし、それをジッと見ていたジーナが怪訝に眉根を寄せた。
 「飲めよ?」
 「…それ、単なるグレープフルーツジュースじゃないの?」
 「だな」
 「飲めって言われたって…」
 「未成年に酒なんか飲ませられっか。俺までパクられるだろうが」
 「………っ」
 ハッと見上げてくる顔に、ニヤリと笑って顎をしゃくってやる。
 今度はジーナももう抗うことなく、促されるままグラスを両手で包み込むように握って、ジュースをぐっと煽った。
 可愛らしい外見とは裏腹に、豪快な仕草で一気に飲み干すと、ドンッとテーブルに空のグラスを置くのに、司が再び酌をしてやる。
 日本では考えれないことだが、欧米では女性に酌などさせず、いわゆるキャバクラのような店やホステスにあたる職業もない。
 レストラン側の人間がサーブすることもあるが、それはあくまでも給仕係の職務の範囲であり、そうでなければむしろ男性が女性に酌をする。
 海外生活も長い司にしても、付き合いの延長上、女性に酌をする機会も少なくなかったから、自身が酌をすることにそれほど抵抗はなかった。
 さすがに二杯目は一気飲みとはいかなかったようで、1/3ほど飲んだだけで、ジーナはグラスをテーブルに置いた。
 「ありがと。ちょうど、喉が渇いてたから助かったわ」
 「ここには、長いのか?」
 「…………そうでもないかな。1年くらい前からだから…まあ、入れ替わりの激しいここでは、長い方かも」
 ある程度は身辺調査で司も承知してる。
 1年前から、彼女がここでバイトをしているのも知っていた。
 …ちょうど男がパクられた頃からか。
 そんなことを思いながらジロジロ眺めていると、居心地が悪そうだったジーナもいつの間にか、自分を観察していることに司は気がついた。
 「歳は?」
 「……22才」
 「嘘をつけ」
 一言の下に切り捨てられ唇を尖らせて、それがよけいに子供っぽく見えると気がついたのだろう。
 ジーナがすぐに取り繕うように、ツンとそっぽを向いた。
 「22才って言ったら、ここでは22才なの。…そんな野暮なことを聞くお客さんはいないわよ。あなたこそ、何歳なの?」
 「33才…もうすぐ34才だな」
 ジーナが目を瞬かせ、小首を傾げる。
 「ええ?そうなんだ」
 そのあまりに意外そうな顔に、司が揶揄るように器用に片眉だけを上げる。
 「なんだ?もっとジジイに見えたか」 
 「…そういうわけでもないんだけどね……ただ」
 司から視線を反らし俯いたジーナが、すぐに思い切ったようにキッとした眼差しで司をを見返す。
 「戒のパパなら、もっと上かな、って思ったから」
 「………ふ」
 言い当てられて司も特にたじろぐことなく、司は薄く笑い、自分用に作ったグレイハンド(※)を口に含んだ。
 「そうなんでしょ?違う?」
 「なぜ?」
 逆に問い返され、ジーナが肩を竦めてアッサリと答える。
 「よく似てるもの。普通の人なら他人の空似かもと思うこともあるかもしれないけど、あんた達みたいな人はそういるもんじゃないでしょ?」
 司は特に返事を返さなかったが、無言で話の続きを促す。
 それが答えだ。
 ジーナの方も頓着することなく、探るような目で司を見ながら再び口火を切った。
 「戒のパパなんかがこんなところへ来て、いったいあたしに何の用なの?」
 少女の詰問に、司は無言でジャケットの内側のポケットから取り出した封筒を差し出す。
 「これ…?」
 「お前のことを調べさせてもらった」
 「……え?」
 驚くジーナに、司は半ば無理やりに押し付けるようにして封筒を受け取らせた。
 「読めよ?」
 「………………」
 おそるおそる封筒を開け、中身を取り出して一読したジーナが、みるみる顔色を青ざめさせる。
 「ジーナ・ロッソ。それはお前だな?……14才の時に一度、街頭に立って客をとっていたのを警察に保護されている。それなのに、お前はなぜここにいる?また客をとっているのか?」
 司の目のギラリとした硬質の光に射貫かれて、ジーナはビクリと華奢な体を震わせた。



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※グレイハンド…ウォッカとグレープフルーツジュースをグラスに注いで軽く混ぜるだけのカクテル。
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