「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影①

愛してる、そばにいて496

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 ブルブルと拳を震わせ、俯く息子のつむじを見下ろし、司は小さく吐息を吐き出す。
 さんざん少年時代には無軌道を繰り返し、ロクに愛情を傾けてはくれなかったくせに義務と自覚ばかりを押して付けてくる親に反発していた司だ。
 可愛い一人息子にそんなことを言いたいはずもない。
 …だが、あの娘はダメだ。
 少なくとも今のままでは。
 戒自身の認識はともかくとして、野放図な自覚のある司にしても、10才という年齢が分別を付けるには十分な年齢ではないことくらいは理解している。
 押し付けるばかりの親ではいたくないとは思っているものの、かといって司への反感と孤独感から傷ついて、オンナに依存している戒にどこまで話せばいいのか彼もまた迷っていたのだ。
 「ふぅ……、最近じゃ学校にもロクに行ってねぇみたいだし、また学校に通いだした上で、放課後、2,3時間程度デートなり外でする分には俺もうるせぇことを言うつもりはねぇよ」
 正直、それさえもやめさせたいくらいだが、自分の経験からしても、それで『はい、そうですか』と言うようにはいかないこともまたわかっていた。
 俯いたまま返事を返そうとしない戒から司は視線を反らし、イヤな話は適当に切り上げ、もっと建設的な話をしようとあえて語調を軽いものに改める。
 「ま、…とりあえずマジな話はそんなところだ。それより、お前この間のウチの家庭教師どもがやったNAEP(※全米統一テスト)の過去問の結果、ずいぶん良かったそうだな。さすがだと皆誉めそやしてたぞ?なんか欲しい物……」
 「……だ」
 「あ?」
 戒の軋るような唸り声が、話を変えようとしていた司の言葉を鋭く遮る。
 振り返った司を、戒が憤怒と反感に満ちた眼差しで出迎える。
 かつて、お父さんが大好きだと、彼に甘えて信頼に満ちた眼差しで見つめた幼子の面影さえもないほどに、彼への憎悪がその目には宿っていた―――彼が愛したその母親である女と同じように。
 「絶対にイヤだ」
 「…戒っ」
 「それで?遥香の時のように、またあんたの新しい奥さんと親子ゴッコに励んでろって?」

 「………っ!」
 遥香の時とは違い、これまで戒は、父親の三度目の結婚について一貫して無関心を通していた。
 滋自身にも最初に引き合わされた以外は、まったく無視を貫いて、司に対するように避けていたらしい。
 滋自身がああいう性格だから、どうしても同じ屋敷にいれば、無遠慮に接触を持とうとされてしまう。
 滋は悪い女ではないが、しかし、思春期に差し掛かり、ただでさえ父親との相克に荒れている戒にとって、鬱陶しい存在になるのは当然のことだった。
 あるいは戒が屋敷を忌避して外泊しがちになったのも、留守がちな司と顔を合わせることよりも、滋の猛攻を受けることを嫌ってのことだったのかもしれなかった。
 しかし、どちらにせよ、滋も司同様精力的に活動していたし、当然司と同伴することがほとんどでそう屋敷にいることもなかったから、結局はこの広い屋敷に一人取り残されている事の孤独から逃れたかったのに違いない。
 司も自身の経験からわかっていたことだったが、しかし、ロスアンゼルスの椿の下に預けようにも椿自身婚家との兼ね合いがあって、また元々彼女と折り合いが悪かった夫の両親が本心のところでは戒を歓迎していなかった。
 そこには、司の両親への憚りもあっただろう。
 だが、何よりも戒自身が椿の下に行くことを拒否して、NYの屋敷に留まることを希望したのだ。
 そうである以上、戒を手放したくない司にしても、そんな息子の意志を無視してまでも強要することができなかった。
 …だが、やはり姉ちゃんのところにナシつけた方がまだマシか。
 「それとも?あんたの輝かしい人生の唯一の汚点の俺が、もっと道明寺家の名前に泥を塗るのを怖がってるわけ?」
 「なんだと?」
 怒りに震える手をぐっと拳の形に握り締め、戒を睨み据えながら、それでも司は激情を抑えていた。
 幼い我が子にぶつけてしまいかねない怒りは、けっして良い結果を生まないことを司も身に染みてわかっている。
 戒を傷つけたいわけではない。
 短気な自覚がある自分の冷静さを保つために、司が大きく息を吸って吐き出す。
 「…いいかげんにしろ、戒。お前はけっして俺の人生の汚点なんかじゃねぇし、お前が何をどうしようと、最後まで俺はお前の味方だ。俺にそんな口をきいて、自分の気持ちを誤魔化すんじゃなくて、それならお前はどうしたいのかそれを言え」
 しかし、自虐的な怒りに囚われている戒には、そんな父親の決死の自制などわからない。
 抑えていはいても、司の憤りが戒にも伝わらないはずもなく、その眼光の鋭さと覇気に萎縮しているのはあきらかなのに、戒は意地を張り続ける。
 「…ほっといて」
 「できるはずがない」
 間髪入れずに答えた冷静な司の言葉に、カッと戒が目を見開き怒鳴る。
 「俺のことに構うなっ!仕事、仕事って普段家にいないで、いつも俺のことなんてほったらかしいのくせして、こんな時ばっかりオヤジ面すんなよっ!!跡取りが欲しいんなら、佑都みたいに新しい女房と別のガキ作れよっ!!」



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