「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影①

愛してる、そばにいて495

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 「今、身長いくつだ?」
 「…152cm」
 「それって最近測ったわけじゃねぇだろ?」
 「かな」
 膝に片肘をついて、上から下まで戒を眺めて司が楽しそうに笑う。
 「へぇ?お前くらいの時の、俺の身長よりも、もしかしたら背が高いかもしれねぇな」
 父が引きずってでも自分を連れて来いと言ったのが、そんな通り一遍の世間話などではないことは戒にもわかっていたが、同時にこの父なりのそれが話の接穂であり、彼の緊張を解そうとする努力であることは理解していた。
 「やたらとでけぇ黒人連中はともかく、学校の中でもデカイ方だろ?」
 「……本題は何?そんな話をするために忙しいあんたが、わざわざ俺を呼び出したわけじゃないんだろ?」
 しかし、そんな父のなけなしの努力を戒がバッサリと遮り、生意気な口調で問い返す。
 戒に『あんた』呼ばわりされて、わずかに眉根を寄せたものの、司も努めて激昂することは堪えていた。
 さすがに戒の顔色の青さは、彼が虚勢を張っていることをあきらかにしていたが、それでも大人でさえ恐れる司へと、ハッキリと自分の意志を伝える勇気は大したものだと、司でさえ内心で感嘆する。
 「そうだな。俺も奥歯に物が挟まったような言い方はできねぇ男だから、マンマ言う。戒、お前、今付き合ってる女と、当分の間、距離を置け」
 「……っ!」
 本当に宣言したとおりのストレートな物言い。
 覚悟していたはずの戒も息を飲んだ。
 だが、それでもなんとか言葉を絞り出す。
 「ジーナのこと…」
 「ああ、もちろん、知っている」
 「……ジェームス?」
 取り乱してはいなかったが、ショックなのだろう。
 戒のカタコトの問いかけに、それでも司は彼の意を察して首を横に振る。
 「いや、SPたちの仕事はお前のスパイじゃねぇからな。危険なことや変わったことがあればそれなりの報告はしてくるが、一々お前が誰と会っていたかとか、当たり障りのない程度のものを言ってきやしない。それよりも、ここのところお前の外泊が増えたと、執事長からの報告でお前に調査員をつけた」
 「調査員っ」
 SPたちはスパイではないと言いながら、そのものズバリ、スパイをつけていたと平然と告げてくる父の言葉に戒が絶句する。
 「当然だろ?いくらなんでもその年で、ポンポン無断外泊してるのを見過ごせるわけがねぇ。いくら、俺が留守がちにしても、だ。最初の頃は、それでも学校のダチんとこに泊まってるとかなんとか取り繕ってたようだが、最近じゃ、総執事長の問いかけにもロクに返事を返さないそうじゃねぇか?」
 「……………」
 それはその通り、司の言うとおりだった。
 さすがに父を飛び越えるほどの権限は戒にはないが、現在屋敷内にはタマのように主人に物申すことのできる立場の使用人がいない。
 そうであれば、館の主人の一人息子である戒を叱咤できるような人間がいるはずもなく、たとえ咎められようと、無視をして無視をしきれない相手など戒にはいなかったのだ。
 「お前にそれ相応の教育係をつけなかった俺の責任でもある。が…俺自身、お前の年齢の頃のには似たような環境だったから、それがおかしいことだという認識がなかった」
 「……………」
 戒が父の幼少時代のことを聞くのは初めてではないが、司が自分のことを語るのは滅多にないことだった。
 聞けば教えてくれるのかもしれなかったが、物心ついてからの二人の関係は、そんな父の思い出話を気楽に聞けるようなものではもはやなくなっていたし、父を避けるようになった戒と司が接触する機会自体がそうそうないことなのだ。
 「お前を放置するつもりじゃない…だが、時間がない」
 「…わかってるよ」
 不満を感じていないわけではなかったが、そうしたことが戒の父への隔意の直接の原因ではなかったし、家庭教師たちに自身と父の立場を教え込まれていなかったとしても、幼い頃からなぜかそうしたことで、父に対して不満を持ってはいけないという認識を戒は持っていたから、司を責めるつもりもなかった。
 「お前にはすまないと思っている」
 「……………」
 思わぬ父の謝罪に、戒には返す言葉がない。
 「お前さえ許してくれるなら、できるだけ昔のようにお前と過ごす時間をとって、もっとお前の話を聞きたい」
 言葉を探す戒に、司が言葉を続ける。
 「だから、女の家に入り浸るのはやめろ」
 「なんでっ!」
 父の真摯な想いは、戒にも伝わっていた。
 忙しいながらに、それでも司が戒と以前のように、接触を取ろうと努力していたことは戒も認めていたから。
 そして、それが叶わなかったのは、けっして父の多忙だけが原因ではなく、むしろ戒自身が父を拒絶していただけなのだ。
 「なんで、なんでっ!ジーナから、俺を引き剥がそうとするんだよ!?」
 「言っただろう?調べたからだ。…お前の女がどんな娘で、どういう生い立ちを持ち、どういった経緯で今の住まいに住んでいるのか。そうしたことすべてを、俺は把握しているから、お前をそのままにしておくわけにはいかなくなっちまった」
 「ヤダッ、絶対に嫌だ!!」
 今の戒には、どうしてそんなことを父が言い出したのかよりも、イヤだという思いでいっぱいだった。
 …どうして。
 かつて母を彼から引き離したように、父は…目の前のこの男は、やっと見つけた居場所を―――大切な存在を彼からまたも奪おうとするのか。
 「勘違いするな、別れろと言ってるんじゃない。だが、お前はまだガキだ。少し頭を冷やせ。お前がどういった気持ちで、その娘に執着してるのかはともかく、せめてもう2,3年は距離を置け。あの界隈に出入りすることはやめて、今はまだお前に許された範囲の箱庭の世界で我慢していろ」



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