「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影①

愛してる、そばにいて491

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 元々アメリカ人は、自身の意志をハッキリと前に押しだし、自らの実力を誇示する必要がある社会だ。
 そこには、経済界の実力者である道明寺家の御曹司という立場も考慮されたのだろうが、アメリカでの子供社会はまだまだたぶんに原始的で単純で、戒の暴力というわかりやすいカタチでの支配を容易に受け入れた。
 日本にいた頃より、子供たちはより自己主張の激しい人間、個性の強い人間に惹かれる傾向が強く、家柄以上にそうした本人のカリスマ性が強烈に作用し、戒のメンタリティが子供たちを惹きつけ集わせ、彼らは戒を排斥するどころか彼に従うことを受け入れたのだ。
 美しすぎるもの、強すぎるもの、賢すぎるものは、時にそれ自体が異端だとして排斥される傾向にある。
 しかし、人はそうしたものに惹かれるのもまた世の常だっだ。
 より強いリーダーの下へ。
 だから、あっという間にそうした者たちが戒を取り巻き、彼が望まずとも彼の手足となって動きだしたのは、必然だったのかもしれない。
 「ジュニアハイスクールでも、道明寺戒の名前を知らないヤツはないない。たぶん、ハイスクールの方にも兄弟がいるヤツがいるだろうから、かなりの連中の頭ん中にお前の名前が刻まれてるんじゃないか?」
 たしかに一昨年、日本からNYに転居して、現在の学校に編入したばかりの当時とは事情が違う。
 英徳学園でのF4ばりにとは言い過ぎかもしれないが、戒の名前は彼の家柄、パーソナリティ、その愛らしい美貌、そして『赤札』と共に一つの伝説に近いものになっていた。
 また実際に、その噂のとおり、それまで学校内を牛耳っていた幾人かの生徒たちも、戒のグループのイジメの対象となって学校を去っていたからなおさらだ。
 「アメリカ人は差別意識の強いヤツらだ」
 「……別にアメリカ人に限らないだろ?」
 「そうか?」
 「ああ」
 生きとし生けるもの、人に限らず差別は決してなくならない。
 なぜなら、集団性で生きる生き物は、自分とは異なる存在を排除するようにできているのだ。
 それは動物の世界でも同じことで、淘汰されないものだけがその他の個体を変え、あるいは逆に淘汰して、自身の遺伝子を継ぐ者を進化へと導く。
 「日本人だって、同じ日本人を差別する」
 「そうなのか。でも…お前は違うだろ?」
 「……………」
 何が言いたいのかわからず、ジュリオの顔を見上げれば、当のジュリオも言葉を探しあぐねて一言一言に首を捻っていた。
 「可愛い顔して、お前はめっちゃ喧嘩早いヤツだし、気に入らなければ誰が相手でも…たとえ自分の取り巻きだってボコりまくりやがる」
 さすがに1年近い付き合いだ。
 ジュリオと校内で出くわすことはほとんどなかったが、それでも戒の知らないところで、校内外でのそうした場面に何度か遭遇したことがあるのだろう。
 「でもお前は人種や、相手が金持ちだからとか貧乏人だからとか、そういうことで区別しないだろ?」
 「……………」
 「そりゃあ、お前の取り巻き連中はほとんどが有色人種だよな。白人でも純血主義者どもが白人とは認めない混血ばかりだが、そもそもお前自身は徒党を組もうとさえしていない。周りの連中がお前を神輿に担いでるだけだ。…誰といても、ツマんなそうな顔してるお前を見てれば誰でもわかる」
 「そうか?」
 戒が薄く嗤う。
 「ああ、そうだよ。そうじゃなきゃ、お前達みたいなセレブたちが見下して当然の、ジーナんとこになんか入り浸りはしないだろうし、俺ともマトモに口を聞いたりしないだろう。そもそもどんな気まぐれだったにしたって、俺なんかを助けたりしない」
 別に本当に単なる気まぐれだった…ジュリオの言う通り。
 しかし、たしかにそういう意味では、ジュリオが貧乏人だろうが、セレブだろうが関係はなかった。
 「俺も強い首長の下、北海を馳せた戦闘集団ヴァイキングの末裔だからな。自分より格下のヤツになんか諂えねぇけど、お前みたいに自分が認めたヤツは別なんだよ」
 「ぷっ、…なんだよ、それ」
 妙に生真面目なジュリオの言い回しがおかしいと、戒が噴き出した。
 「そういえば、お前んちの迎えの車、おせぇんじゃねの?」 
 「そう言えば、そうだな」
 まるでそのタイミングを計ったかのように、手に握ったままだった戒のスマートフォンの呼び出し音が鳴り出した。
 「…うん、俺。ああ、そうなんだ。それなら別にいいよ。わざわざ違う車回してくれなくても、ジェームスたちの車に同乗するから。うん、わかった、お願いする」
 「家の人?なんかトラブルか?」 
 戒が携帯を切ったところで、ジュリオが声をかけてくる。
 「運転手から。なんかかなり大きな玉突き事故があったとかで、道路が通行止めになっていて高速を動けないらしい」
 「おいおい、大丈夫なのかよ?」
 「うちの車は平気だったらしいから」
 それでも、現在事故車の処理ができるまでは身動きできない状態だそうで、運転手からは屋敷に連絡して、別の車を寄越すという話だったが、どちらにせよ、戒を影ながら追尾しているSPたちも車での移動なのだ。
 「タクシーで帰るつもりなら、通りまで送っていこうか?」
 「なんでだよ」
 「いや、お前みたいに可愛…」
 可愛いと言いかけたジュリオを、戒が絶対零度の冷たい視線で一瞬硬直させた。
 柔らかく微笑むと天使のように美しく、ジーナには『あたしの王子様』と言わしめる美貌も、無表情に冷たく睨むと、並みの容姿の人間よりも遥かに冷たく酷薄に見える。
 「…じゃなくって、いかにもイイところのお坊ちゃまなお前みたいなヤツが、この辺をノコノコとウロつくとか、いろいろとヤバイだろ?」 
 「別にいつもジーナと二人で、この辺をノコノコと歩いてるさ」 
 わざとジュリオの言い回しを皮肉って、戒が鼻で嗤う。  
 それでもなんとはなしに、戒が歩き出すのにジュリオが付き従って一緒に歩き出して間もなく、どこからとなく野卑な声がかかった。
 「お、ジュリオじゃねぇか?ずいぶん可愛いの連れてんじゃん」



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