「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影①

愛してる、そばにいて485

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 「干渉して来ねぇよ。醜聞でも起こせば別だろうが、まだローティーンになったばかりのガキだ。ヤクでもやんねぇかぎりは、スキャンダルにさえできねぇしな。…まあ、俺の親としての監督不行き届きをネタにすることはできるだろうが」
 「…ぷっ、わり」
 ついうっかり噴き出してしまって、あきらが慌てて片手を上げ謝罪するが、さっきのようには司も気分を害さなかったようだ。
 司にしても親として云々など、昔だったらどれだけお笑い種なセリフだと自分でも思ったのだから、あきらが噴き出すのも仕方がないと、肩を竦めるに留める。
 「どちらにせよ、もうババアがそうそう干渉してくることはねぇだろうな、公には」
 「…そうだな」
 もはや司はその干渉を受け付ける子供ではない。
 それどころか、その母である楓をも大きく凌ぐ力を手に入れようとしている…滋との結婚で、着実に近づいていたその位置を一気に詰めたカタチだ。
 それに…と司は思う。
 どちらにせよ、あの女ーーー彼の母親の望みのほとんどは、ある意味、達成されている。
 「けっこう年上なんだろ?いくつ?」
 「あ?」
 あきらとしてはよほど関心があるのか、戒のカノジョの話に興味津々だ。
 「オンナだよ、戒のオンナ」
 「ああ…、15才…いや、最近16才になったんだったか」
 戒に内緒で調査させた報告書の写真と履歴を、記憶から呼び出す。
 「6才差かぁ。まあ、そんなもんか。そうだよなぁ、やっぱ最初の女は年上に限るぜ。…俺の好みは10才くらい年上の女だけど」
 「………婚約者にチクっぞ」
 「まあまあ」
 そこは幼馴染み、互いにいろいろ知りすぎるくらいに知りすぎている。
 結局は年下の女を婚約者に選んだ男が司を宥める。
 「14才の時に初体験した俺にしてみても、10才で半同棲とか早すぎっと思うけど…でもまあ、いいんじゃねぇの?」
 「………………」
 無言であきらの顔を見やり、話の先を司が促す。
 「カノジョっつうのはダチとはちょっと違うと思うが、そのカノジョの弟ともダチになってんだし、あいつずっとダチができねぇっつーのが、悩みの種だったんだろ?」
 「…そうだな」
 司自身にはあきらを始めとする幼馴染みたちがいた。
 ホンの幼少時を除けば、そうした意味で孤独を感じることはなかったが、戒がごく幼い頃から友人を欲しがっていたことも知っている。
 「たいてい早熟なヤツっていうのは、メンタル面で孤独なヤツが多いもんだ。肌の感じる温もりってやつは、時にどんな優しさや思いやりよりも、ダイレクトに胸に響く時があるものだからな」




*****




 桜子が待っているからと、前置きの通り日が暮れるのも早々に帰宅していったあきらを見送り、司が一人、ウィスキーのグラスを傾ける。
 あきらと飲んでいたワインのデキャンターはほぼ彼一人で飲み干してしまっていたが、それでもアルコールに強い体質だ。
 ほとんど数年ぶりのせっかくの余暇にも、ロクに酒の酩酊に逃避できぬ我が身の不幸を思い、司はフンと鼻で自分を小さく嗤う。
 もちろん、今より少しは若かった一時のように、無茶なアルコール摂取を続ければ、多少は浮世の憂さを晴らす程度の酔いにも身を任せられるだろうが、今の自分の立場とまだまだ果たさなければならない役割を思えば、そうもいかないのは自明の理で、我ながらずいぶんいい子ちゃんになったものだと皮肉に感心した。
 「…オンナ、か」
 彼にとって唯一の‘オンナ’であり、この世で唯一彼にとって意味のある人間だったつくしがいなくなってしまった今となっては、あまりにも隔たった存在だが、その‘オンナ’の下にいるだろう我が子を想う。
 溺れているとはいっても、まだ10才の子供のことだ。
 どこまで本気で、どうした意味合いを抱いているのか、さすがの司も判断しかねて今のところ静観するに留めていた。
 しかし―――、
 戒につけているSPとは別個につけている調査員からの今日の報告書を手に取る。
 ほとんど毎日送られるSPからの報告書は、戒やその女を監視したり、ましてや調査する目的のものではなかったから、日々それほどの変化に富むものではなかった。
 だが、問題は、調査員からの報告書の方で、わずかに我が子をスパイしている罪悪感もなくはないものの、自身の少年時代を鑑みれば放置するわけにもいかず、またある程度放任するにしても年齢が低すぎる。
 「…オトコ、か」
 10才の少年に世間というものを知れというのはあまりに無茶な話だろう。
 いくら年齢よりはいくぶんか聡明であるにしても、だ。
 日本にいてさえ種々多様な誘惑や危険が姿を覗かせる。
 ましてやここアメリカではなおさらのことで、犯罪に巻き込まれることもごく普通に起こり得ること。
 そして、戒はそうした危険を倍加させる生い立ちと背景を持つ少年なのだ。
 誘拐、暗殺、―――そして、売春や麻薬。
 今のところ戒の友人であるという、ジュリオ=ロッソ少年やその家族には、特にこれといった問題はない。
 もちろん個々人の家庭の事情というヤツは別にして。
 ただ問題は、その一家から漏れた娘の方だ。
 彼女自身の性質に関しても、在所であるアパートや所属してるモデル事務所、いくつかのアルバイト先でも評判は悪くなかった。
 明るく快活で…ひどく前向きで、自分自身の力で生きることに誇りを持っている。
 どこかの誰かを彷彿とするような形容詞に、戒がジーナ=ロッソのどこに惹かれたのかが司にもわかる気がした。



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