「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影①

愛してる、そばにいて479

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 「嫉妬?」
 怪訝に眉根を寄せる戒へと、ジーナが困ったような複雑な笑みを見せる。
 「あんたに悪気はなくって、むしろあたしへの好意からそういう申し出をしてくれるんだって、もちろんあたしにだってわかってる。でも、謂れのない厚意や、理由もない過剰な施しは人をダメにするものなのよ。人の悪意や嫉妬を掻き立てて、誰にとってもよくない結果を生んでしまうこともあるんだってことを、あんたにも知っておいて欲しいの」
 「……ジーナ」
 ほろ苦く笑う年齢に見合わぬその大人びた表情が、少女がこれまで経験してきたものをわずかに覗かせる。
 「なんてね」
 「……………」
 「半分は人の受け売りなんだけど」
 妙に深刻になってしまいそうな空気を嫌ってだろう。
 なんと言っていいのかわからずに視線を彷徨わせ、言葉を探す戒へとペロリと舌を出して見せ、ジーナは肩を竦めた。
 「でも、こうして一人で生きるようになって、いろんなことを経験して、…あたしもあたしなりに、本当にそうだなって思わされることもあったからさ」
 黙り込む戒の真ん前へとジーナが立つ。
 すると、ちょうど戒の身長は、少女より多少目線が低いくらいか、ほぼ同じくらい。
 白人の中では小柄な部類に入る彼女からしてみれば、戒はその年頃の少年にしてもずいぶん背が高い。
 「もしかして、また身長伸びたんじゃない?まさかもう150cm超えた?」
 「…152cm」
 「うっそぉ、初めて会った時には150cmなかったわよね?あたしが157cmだから5cmしか変わらないじゃない!」
 「それでも、ロッソ…ジュリオには届かないよ」
 ジュリオというのは、ジーナの弟の一人だ。
 今年12才のジュニア・ハイスクール(※中学校に相当)の1年生。
 たしか、入学時の身体検査ですでに160cmを大きく超えていたらしい。
 「あの子はあんたより2才も年上じゃない。それにただでさえスポーツバカで、授業料のお高い私立校にスポーツ推薦で入学しちゃうようなデカブツよ?同じに考えて張り合ってもしょうがないでしょ?」
 「…まあ、そりゃあそうだけど」
 それでも好きな女性より背が低いのは、たとえ10才の少年であってもコンプレックスだ。
 ましてや戒がジーナと並んで歩いていても、誰も恋人だとは思ってくれない。
 もちろんその外見の違いから、姉弟とは誰も思わないだろうが、せいぜい仲良しの友達止まりか。
 そして、ジーナもおそらく戒のことを、そんなふうには思っていくれていないだろう。
 …いつもガキ扱いだもんな。
 「へっえ~、もう150cm超えてるのかぁ。きっとまだまだ伸びるよね。ホント、いいなぁ」
 「身長、高くなりたいの?」
 戒の問いかけに、ジーナは青色吐息に溜息をついて肩を落とす。
 「そりゃあね。今のところはこの童顔でロリータを売りにして稼いでるけど、さすがにこれからはそうもいかないだろうし、本格的にモデルの仕事をしようと思ったら、最低でも170cmは越えないとまず無理だもの」
 「…牛乳」
 「飲んでます!」
 間髪入れずに返ってきたジーナの必死の返事に、思わず戒も笑ってしまう。
 その笑顔があまりに綺麗で、まるで宗教画の天使のようだとジーナが喜んで、彼の頭を抱え込んで両頬にキスをくれる。
 「チュッ、チュッ!ん~、ホント綺麗、あんたの顔や身体って!」
 「そ?」
 「そうよぉ、あんたをそんなふうに綺麗に生んでくれたママに感謝しなきゃあ」
 「……………」
 そして決まってそんなことを言う彼女に、何を言うこともできずに、視線を反らしてしまうのが戒の常だ。
 「あ!いっけなぁい!そろそろ家出ないと。あんたも本当についてくるつもりなら、さっさと着替えて!?」
 「あぁ、うん。もちろん、行くよ」
 いつまでもグズグズしていたら、キレたジーナに本当においてけぼりにされてしまう。
 戒も着替えるべく、収納ボックスとは名ばかりの粗末な木箱を開けて、いくつか持ち込んで置かせてもらっている洋服へと慌てて手を伸ばす。
 初めて彼女の部屋に泊まった時は、ジュリオと共にかなり大きな男物のパジャマを借りたのだが、誰の物ともしれない衣類を着るには、戒はまさにお坊ちゃま過ぎて、気持ち悪さからほとんど眠れなかった。
 もちろんそれは、パジャマだけの問題ではなかったけれど。
 「………いまさらだけど、あんた、あたしのとこなんかに入り浸って、おウチの方大丈夫なの?」
 ジーナにはたびたび家に帰るように言われているし、実際に入り浸っていると言っても、二日連続で泊まらせてくれることはなかったから、最低限一日に一回は屋敷にも顔を出していた。
 そもそもSPが常時彼の後をつけているのだ。
 彼女は気が付いていなかったが、彼がここに入り浸るようになってほぼ一年近く、左側隣と斜め向かいの部屋は道明寺家のSPが間借りしていて、彼がジーナの部屋に宿泊している時には24時間体制で警備されていた。
 「ジュリオの話だと、お金持ちはお金持ちでもあんたの家って、その中でも相当なおウチなんでしょ?」
 「……大したとないよ」
 大したことがないどころか、大ありなのは戒にも自覚があるが、まさかジーナにそれをそのまんま伝えるわけにもいかないだろう。
 「後々になって、誘拐だなんだって怒鳴り込まれるのはごめんよ?今までもジュリオの友達だって言って、何人か泊めたこともあるけど、必ずあの子も一緒だったし、その子たちとあんたとでは、あきらかに毛色が違いすぎる」
 「………………」
 「小学生だって言ったって、今時の子は信用なんてそうそうできたもんじゃないんだから、普通だったら男の子を、あたし一人の時に泊めたりなんかしないんだけど」
 自分だってその今時の子供のくせに、ジーナはそんな妙にこまっしゃくれたことを言う。
 しかし、困惑したような途方にくれたようなその声音に戒が振り返れば、その声の通りに困った顔のジーナの顔に出くわした。
 「ダメなの?もう、泊めてくれない?」
 「…普通はね」
 微妙なニュアンスは、ジーナにとっても戒が例外であると含みを持っていた。
 今までと同様に。
 それでもなおも強請るように見つめる戒へと、仕方なさそうにジーナが微笑む。
 「あんたは特別だから、あんたは…あたしの王子様だもの」




*****




 アパートを出ると、向かい風に煽られなお一層厳しい寒さを感じて、戒は首に巻いたマフラーに顔を押し付け首を竦めた。
 隣を歩くジーナも一応はマフラーをしているのだが、それでもニョキッと突き出た細くて長い首の素肌の白さが、彼の目にひどく寒そうに見える。
 戒は自分の首からマフラーを外すと、怪訝な顔をしているジーナの首にと、グルグル巻き付けてしまう。
 「戒。…いいよぉ、あたしだってマフラーしてるじゃない」
 ジーナは遠慮するが、チョコンと飛び出た高い鼻の先が真っ赤になっていて、戒の目に6才も年上の少女がずいぶん子供じみて可愛いらしく見えた。
 「全然温かそうじゃないから」
 戒としては、ジーナの身に着けているものに対する批判のつもりではなかったが、上質のブランドものの戒の衣類や小物とでは、雲泥の差があるのは傍目にもあきらかだった。
 ケバだっていかにも安物っぽい自分のマフラーを見下ろして、ジーナがぷくっと頬を膨らめる。
 おそらく彼女の場合は顔立ちそのものよりも、その喜怒哀楽のハッキリとした子供っぽい表情や仕草が、彼女の容姿をより幼く見せているのに違いなかった。
 「どうせ、貧乏くさいわよ」



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