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「愛してる、そばにいて」
第7章 光と影①

愛してる、そばにいて475

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 「えっ~、いいじゃん、それくらい。ケチぃ!」
 「………………」
 一言の返事すら返らない完全無視に、滋もおちゃらけた態度を改める。
 堅苦しいのはごめんだったが、どうやらこの男にはユーモアどころか、表情筋そのものがないらしいとあらためて認識して諦めた。 
 「まあ、しょうがない。わかった、いいわ。私も健康でまだまだ若い30代の女とはいえ、それほど性欲旺盛ってほどじゃないもの。そこらへんのことは遥香ちゃんから聞いて知ってて、あんたに婚約を持ちかけたわけだし?」
 滋の口から飛び出した名前に、ほとんど初めて司の顔にハッキリとした不快さが滲み出る。
 わかっていて司の前妻の名前を出した自分の意地の悪さを自覚しつつ、親族として遥香にもそれなりの愛着を感じている滋としては、司のあからさまさを苦笑せざるえない。
 「ま、とうぶんはお互い、互いしかそういう欲求を発散できる相手はいないんだから、気が向いたら遠慮しないで声かけてよ。私なりにあんたとは上手くやりたいと思ってるんだからさ?」
 半ば本気、半ば冗談の悪戯っぽい誘いかけに、司はフンと鼻を鳴らし、蠅を払う仕草で手を振って滋を追い払った。




*****




 「へぇ、さすがは大河原財閥の令嬢。お前のパートナーとしての客あしらいは堂に入ったものだし、相手の方もただのお前の添え物と侮ったりできねぇ相手だわな」
 「……そうだな」
 パーティの3日目、婚約者である桜子を伴って渡米してきたあきらが、司の元へと挨拶に回ってきたのを機に接待を一時的に滋に任せ、司は気の置けない親友との談話で一息ついていた。
 「総二郎は?」
 「成宮家との兼ね合いもあるからな。こっちの事情は一応個人的に話したが、今回はあっちの家の顔を立てるカタチで欠席だとよ」
 「ああ、なるほどな」
 ウチウチで話がついている話だとは言え、やはりそこは互いに体面と立場というものがある。
 内情は分かりあっていても、共に一つの家を代表する人間として対峙しなければならないこともままあった。
 もう子供時代とは違う。
 まるで十年来の親友か何かであるかのように、和気藹々と談笑している桜子と滋を見るともなく見守りながら、あきらが手に持ったグラスの酒を傾ける。
 「…美味いな」
 「ああ、悪くない」
 「たしか、類んとこのシャトーで近年売り出し始めたヤツなんだろ?ボルドー?」
 「アルザス※だな。あそこのじいさんが晩年ワイン作りにハマってて、フランスやスペイン、イタリアにいくつも畑買って作らせてたが、やっとこさ物になったつーって大々的に売り出してる」
 「ああ、そういえばそうだったか。たしか類も一時期、ダメそうな畑の整理をオヤジに任されて、あっちこちに派遣されてただろ?」
 「ああ」
 「その中でも、あいつ、イタリアの別荘気に入ってて一時期お篭もりしてたらしいが、結局フランス産か。…俺たちもガキの頃何度かバカンスに行ったよな」
 「トスカーナだな」
 司も憶えがあって、そういえばと古く懐かしい記憶が蘇る。 
 「で?その当の類は?長年の放浪歴に終止符打って、今、日本に戻ってるだろ?」
 しかし、当の司にしても、ここアメリカでの情勢が緊迫していて、日本を発って以来駆け足の出張以外に日本に戻ることもなく、いくら親友だからといって旧交を温めるだけの為に時間をとることなど、夢のまた夢のような話だ。
 「らしいな」
 「まったく連絡とってねぇの?」
 「タイミングが合わねぇ」
 あっさりとされた返事に、あきらが苦笑する。
 「まあ、お前と類とじゃな。わりにマメな俺とでさえ、数年音信不通の時期があったくらいだ。俺や総二郎があえて連絡いれなきゃ、お前ら、仕事以外じゃまったく連絡寄越さねぇヤツらだし?」
 不義理をなじられるが、悪びれることなく司が肩を竦める。
 「お前らがマメ過ぎんだろ。ただでさえ13時間の時差じゃ、思いついても早々連絡なんかできっか」
 「…よく言うぜ。必要があれば、こっちが真夜中だろうが夜明けだろうが、平気で連絡してくるくせによ」
 まさにあきらの言うとおりで、マメな彼らとでさえそうなのだから、司以上にものぐさな類が相手ではなおさらのこと。
 意図したわけではなかったが、類とは高校を卒業して以来、互いに秘書を通した仕事関連の連絡くらいで、ここ数年顔を合わせるどころかまったく個人的な連絡さえとりあっていなかった。
 「当初は一日くらい顔を出す予定みたいなことを秘書を通して言ってきてたが、どうもヨーロッパの方でのトラブル発生らしい。その余波を受けて、今回は渡米を見合わせると言ってきてる」
 「ああ、あれか。直接花沢には関係なさそうだが、立場上丸無視ってわけにもいかねぇだろうしな。一時はてんやわんやだったんだろうから、さすがの三年寝太郎も駆り出されてんのか。…それでも、来年のお前の結婚式にはあいつも出席すんだろ?」
 「たぶんな」
 遥香との再婚は、経緯が経緯だったから、つくしの時とは違う理由でだが、やはり派手な結婚式や披露宴を催さなかった。
 しかし、今回の滋との再婚はまるで事情が違う。
 道明寺と大河原という日系企業を代表する二大財閥の結びつきだ。
 威信をかけて大々的なものになることは否めない。
 「しかし…因縁つーか、凄い縁だよな。高校時代、お前と婚約話があった女と、十何年つー年月を得て、再婚することになるなんてな」



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※アルザス=ボルドーと同じくフランスで有名なワインの産地。


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