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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第四章 夢の続き①

夢で逢えたら155

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 「…道明寺さんの好きな人ですか?」
 優紀が困った様に眉尻を下げる。
 司が数多くの女性と関係を持っていたのは知っていた。
 それは道明寺の関係者のみならず、NY…アメリカ在住の数多くのゴシップ好きの人々では公然のこと。
 普通、真偽は確かではなかったが、司の場合、ゴシップ誌に載る数々のスキャンダルの大半が真実だった。
 そのことに、亡き親友を想い、かつてホンの一時期だけ司の本質の一端に触れたこともある優紀は心を痛めていた。
 司は確かに、傲慢さもあり、傍若無人で人でなしな部分もあったかもしれないが、親友に対する想いは傍から見ていても真摯で、とても純粋だった。
 そんな男が、人が変わった様に女漁りをしている。
 元から荒んでいたが、たまに本社ビルで見かける司は、あの生き生きとした少年の頃を知っている優紀には、哀れな抜け殻…幽鬼のようにも思えた。
 そして、そんな息子を密かに心痛めていた母親…楓の苦悩も身近で見て感じている。
 彼ら親子は似た者同士なのだ。
 愛情を素直に示せず、不器用に接するしかできない。
 かつて、つくしがそう言っていたことも思い出しては、亡き友の不在の大きさを実感していた。
 その司に好きな人?
 そんな人がいるのなら、亡き友もどんなにか救われることだろうかとは思う。
 けれど…。
 「えっと、その、道明寺さんには、えー、お付き合いしてらっしゃる方は、その、いらっしゃるとは思いますが」
 歯切れの悪い優紀の言葉に、桜子と滋が顔を見合わせる。
 「知らないの?優紀ちゃん。司が好きな人がいるって」
 「ええ、はい。私はただ、ありとあらゆる副社長の雑事について、お助けするようにと指示を受けているだけですので」
 西田から聞いていたのは、西田と司のパイプ役ということだけだった。
 先入観を与えない為だろうか。
 司の交友関係はもちろん、ある程度は業務に支障がないように情報を与えられ、把握してはいた。
 そして、現在、司が執心している人物のことも。
 だが、その執心というのが、どの程度司にとって真剣なのか、友へ示していた真摯な愛情に匹敵するものなのかは優紀にはわからなかった。
 できるかぎり司の力になりたいとは思う。
 それは司に仕える道明寺財閥の一歯車としての忠誠心に限らず、司本人への、亡き親友への義理と友愛でもあり、それは私情とも言えるもので、どこまでも義務的なものとは異なっていた。
 だからこそ、西田は彼女を司につけたのだ。
 もしかしたら、いつかそんな日が来ることを西田は直感し、優紀を拾い上げたのかもしれないとすら思う。
 優紀はそれでも別段かまわなかった。
 それがせめてもの、14年前、司という生涯忘れえぬ存在だった恋人を失ったつくしに何も力になってあげることのできなかった不甲斐ない自分の、友への償いでもあったのだから。
 桜子は考え込む様に、優紀をしばし、見つめると溜息を一つ零した。
 「…これは、私の独り言だと思って聞き流してください」
 「桜子?」
 「桜子さん?」
 二人が怪訝に桜子を見つめる。
 「14年前、先輩の…牧野先輩の本当の意味で力になれなかったことは、ここにいた誰もが感じていたことだと思います。先輩が道明寺さんを忘れられず、無理に笑って私たちに心配をかけまいとしていたことはわかっていました」
 一同は沈鬱に、俯く。
 それは、皆が共通して持っていた思いだったからだ。
 もちろん、T3だけに留まらずF3にとっても同じこと。
 類にいたっては、彼らの想像できぬ、複雑で悲痛な思いもあっただろう。
 皆つくしの司への想い、類のつくしへの想いを知っていた。
 「…もしかしたら、そんな私たちの先輩への気持ちが、むしろ先輩を追い詰めていたのかもしれない。そういった気遣われることこそが先輩を追い詰めて、海外にでるなどという先輩らしからぬ行動にでさせたのかもしれないと、先輩が亡くなった当時、何度も考えました。先輩の力になりたかった」
 「「……」」
 「もし、これはもしもの仮定ですよ?先輩が愛した道明寺さんに、他に誰か、好きな女性が現れたとしたらどうします?」
 「ちょっと、桜子」
 その女性こそつくしではないかと疑っているはずが、まるで別人のように優紀に話し出す桜子の真意がわからなくて、滋が首を傾げる。
 それを黙ってろと、目で制し、桜子が言葉を続ける。
 「…私は正直、複雑な気持ちでした。先輩が愛して、先輩をあれほど愛していたはずの道明寺さんが他の女性を愛して幸せになるなんて…私のエゴだとわかっているのに、赦せない気持ちがあったんです。もちろん、道明寺さんの責任じゃなかった。先輩のことを忘れたのは。なのに!あれほど、先輩を振り回しておきながら、先輩を不幸に…」
 そこで感極まったのか、桜子が目を瞬かせながら言葉を詰まらせ、顔を皆から背けた。
 心配そうに見ていた滋が、その肩を抱き、優紀も目元を潤ませる。
 「…私たち、つくしのことが本当に好きだったね。つくしはきっと、桜子さんの気持ちも、滋さんの気持ちも、私の気持ちも…そして、道明寺さんの気持ちもわかってくれているよ。本当は桜子さんも、道明寺さんの幸せな姿を見たいと思っていることも、ね。赦せないんじゃないよ、ただ、つくしが愛しいだけ。忘れたくないだけだもの。せめて、道明寺さんに忘れられたくない思いでいるだけだけれど、道明寺さんが幸せになってくれることこそ、天国にいるつくしが一番望むことだって、私たちみんな知っている」
 「…だって、つくしはそんな子だったものね」
 「ええ、本当に」 
 みんな涙を堪えて、微笑み合う。
 その眦の向こうに、それぞれ懐かしいつくしの姿を思い浮かべながら。
 「優紀さん、言わずもがななことだとは思うのですが、何かこの先、道明寺さんのことに限らず、優紀さん個人のことであっても私たちに助けられることがあったら何でもおっしゃってください。もしかしたら、思わぬ真実が現れることもあるかもしれませんが、私たちは絶対に味方です」
 「そうだよ!昔も今もそれは一緒。仲間だもん。司が頼りなくってダメダメな時は私たちに言って?」
 何かを感じ取って優紀は、不思議に思いながらも大きく頷く。
 西田がこの時期に自分を司につけた理由。
 荒んだ顔をしていた司が、あの親友がいた頃のような豊かで温かな表情を取り戻し、数多くあった女性関係を清算してまでも執心しているという女性の出現。
 十何年も別れ別れだった仲間たちが一堂に会したこの奇跡。
 何かが動き出している。 
 優紀は、小さな不安と、それを上回るどこか温かな期待にそっと胸を抑えた。
 

 麻紀乃の話題から、どこか重ぐるしい空気に変わったのを嫌って、あきらが他愛無い会話を探し出し、切り出した。
 「お、そうだ。司、お前、最近、女関係綺麗にしたんだって?」
 「んあ?」
 「あれだけ荒んだ生活して俺らに心配かけやがって、ゾンビみたいだった顔もなんだか晴れ晴れしてんじゃねぇかよ」
 あきら的には話題転換を図る意味での軽い気持ちだったが、それはそれで十分に地雷だったらしく、隣の総二郎が脇腹を突っついてくるのに、
 『何すんだよ』
 と、顔を向け額を抑えて顔を沈鬱に顰めているのに、ハッと我に返る。
 「あ~っ!!」
 突然、叫んで立ち上がって、更にドスンとソファに座り込んだあきらの奇態に、司の疲労と酒で痛む頭に響き、寝に入っていた類が顔を顰める。
 「…あきら、煩い」
 「お前な、ガキみたいに何燥いでんだよ。ガキが増えて浮かれすぎて、滋の落ち着きのなさが移ったんじゃねぇ?」
 「ほっとけ!つーか、司、お前さ」
 そこで、言葉につまり、結局総二郎に視線を移し、目で相談するも、『お前が言え』と逆に促がされる始末。
 口にしてしまったものは仕方なく、貧乏くじを引くハメになるのはいつものことなので諦めて口を開く。
 「…お前さ。好きな女ができたのってマジ?」
 「なんだよ、藪から棒に」
 キョトンと見返す司の顔が妙に邪気がなくて、それだけで長年の友人であるあきらと総二郎は答えを悟った。
 「誰だ?ずっと生き腐れていたお前を再生させて、それだけイイ顔にさせた女はよ」
 「生き腐れて…とは、言い草だな、総二郎」
 「本当のことだろ?いつ会っても死んだようなツラしやがって。仕事だけこなすビジネスマシーンかってーの。寝たふりしてんじゃねぇよ、類。お前もだろよ」
 唐突にまわってきたお鉢に、類が苦笑して体を起こす。
 「なんだ、俺に矛先が向くわけ?司の恋愛問題なのに?」 
 「言えよ。俺らに秘密はないだろ?お前ら、本当にあの…キャサリン・マーベルに惚れたのか?」
 「あの女、何者なんだ?」




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