「愛してる、そばにいて」
第6章 始まりの刻橋③

愛してる、そばにいて0457

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 『とても元気…って感じゃないか』
 答えあぐねているうちに、勝手に答えを導き出したらしい。
 つくしにしても、ウソをついてまで意地や見栄を張る義理もないとあっさりと肯定した。
 『そうだね』
 『牧野』
 『……っ』
 総二郎とあきらが顔を見合わせバツの悪い顔をする。
 彼らとて気がついていて、素知らぬフリで知らんぷりしていた事実だっただろうから。
 『こんなところで、見世物パンダよろしく立ち話してることもないだろ?』
 『ああ、今、あきらと牧野にもそう言ってたところ』
 『牧野、あんたもおいでよ?』
 差し出された類の手をつくしはマジマジと見つめ、その手と誘いかけてくる彼の顔を交互に見回して、迷い戻しつ、おずおずと手を差し出した。
 つくしの手が再び戻りかける。
 だが、そうしてしまう前に、大きな、だが司とはまるで違う…どこかひんやりと冷たい手が彼女の手をぐっと掴んで、彼女を引き起こす。
 『あ~、まったくもう』
 『……あきら』
 窮したようなあきらの声と、苦笑する総二郎の声をバックに、引き起こされて一瞬走った足首の痛みに、つくしはよろめきかけた。
 『あ…』
 しかし、つくしの体は倒れることはなく、縋った力強い腕に支えられて事なきを得る。
 『平気?』
 『あ、…ありがとう。ごめんさい』
 類の腕から手をパッと離して、慌てて飛び退る。
 類もそれ以上は特につくしに構うことなく、掴んでいた手も離してさっさと踵を返してしまうのに、総二郎がすぐに従った。
 『…牧野、行こうぜ?』
 『うん』
 再びあきらに促され、仕方なくつくしもそのあとを追う。
 類が導いたのは、パーティ会場の各コーナーの柱影に設置された休憩ブースで、他の箇所よりも大ぶりのソファが設置され、会場からは死角になって衆目も少ない。
 総二郎が間口にあたる柱と柱の間の真正面に、自身の姿を誇示するように立つと、それだけでその場は彼ら専用の個室のように他の人間は近づかなくなった。
 『……お』
 つくしをエスコートして最後尾に続いていたあきらが、スラックスのポケットを探って携帯電話を取り出して、…ため息。
 『なんだよ?彼女から?』
 『………まあ』
 言葉を濁す様子と芳しくない表情から、デートの約束の類の嬉しい連絡ではないようだ。
 『牧野、俺、ちょっと席外すな?』
 『あ、うん。あたしなら大丈夫だよ』
 一応、司から頼まれた手前、彼女に対して責任を感じているらしいあきらに許可をとられ、つくしも頷いて了承する。
 『ついでになんか、飲み物持ってくるか?』
 『いや、あたしは別に』
 『俺、シャンパン』
 『マティーニ』
 聞かれたつくしではなく、次々に総二郎と類が便乗して注文してくるのに、あきらが顔を引き攣らせる。
 『俺はウェイターじゃねぇよっ!野郎どもは自分で持って来い』
 『なんだよ、冷てぇな』
 『ケチ』
 『……………』
 さしものつくしも、あきらに同情してしまった。
 『ま、なんか飲みたくなったらこいつらに頼め、牧野。こう見えても総二郎はフェミニストだし、類にしても一応はレディファーストを心得てるからな』
 困ったように曖昧に笑むつくしへと、あきらがウィンク一つを残して去ってゆく。
 『こう見えても、ってなんだよな?どう見ても俺はフェミニストだろ』
 『のべつくまなく、女の子を騙して遊ぶ男は、フェミニストなんかじゃないでしょ』
 『………ぷっ』
 ズバリと間髪入れずつくしに切り捨てられた総二郎が唖然とする横で、類が吹き出した。
 『…本当だ』
 『お前らなぁ。俺は騙してなんか…おっ』
 抗議しかけた総二郎が、ふと視線を流して、寄りかかっていた壁から体を起こす。
 出口の向こう側へと片手を上げ、お愛想を振りまいている方を見れば、お目当ての誰かが通りかかったようだ。
 『俺も、ちょっと野暮用』
 『言ってるそばから』
 『うるせぇよ、類。お前だって、ここんとこの行状は人のこと言えた義理じゃねぇだろ?』
 つくしが思わず類を見てしまう。
 そんな彼女を、類もチラッと見た気がした。
 だが、その秀麗で怜悧な美貌にはなんの変化もなく、単なるつくしの願望から、そう見えただけのことだったのかもしれなかった。
 ウキウキと携帯を眺めながら出てゆく総二郎の背中を見送ると、類と二人っきりになってしまった空間が、なんとも気まずく居た堪れない。
 以前も…まだ類と出会ったばかりの頃も、やはりつくしは緊張した。
 それでも、今感じている気まずさは、その時のものとはまるで違うものだった。
 『あんた、ずっと学校休んでたみたいだけど?』
 『…あ』
 類が彼女の不在に気がついていたことの意外さに、ビクッと肩を震わせ、つくしは思わず俯けていた顔を上げる。
 しかし、
 ―――悪いけど、俺はもう何もしてやれない。…自分のことで精一杯だから。
 類の言葉が脳裏に蘇って、真っ直ぐに彼を見れなかった。
 彼にブツけられる…投げ捨てられるだろう言葉が怖かったのだ。
 『は、花沢類こそ…その…どうしてたの?』
 『俺?』
 『…う、うん』
 『学校、通ってたよ』
 『そ、そう』
 必死にひねり出した話題は、それだけで終わってしまう。
 本当は別に聞きたいことがある気がした。
 けれど、類が言ったように、彼が自分のことで精一杯なのと同様、つくしもまた同じなのだ。
 …あたしも自分のことで精一杯。
 そして、類もまた、つくしに何をして欲しいとも、知って欲しいとさえも思ってはいないだろう。
 『…………』
 『…………』
 揃えた膝の上に置いた手に手を重ねて、ぐっと握り締め俯いたままつくしは唇を噛む。
 それでも、いつ戻ってくるともしれない総二郎やあきらを待つ間中、この沈黙が続くのが耐えれずに再び声を上げた。
 『あのっ』
 『……の?』
 『え?』
 類とつくしの言葉が同時に被って、つくしが聞き返す。
 『あんた、司と付き合ってるってホント?』




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