「愛してる、そばにいて」
第6章 始まりの刻橋③

愛してる、そばにいて0454

 ←愛してる、そばにいて0453 →愛してる、そばにいて0455
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 「は?」
 聞き違いだろうか?
 「だから、いつものように俺があんたのベッドに朝方潜り込むんじゃなくて、今晩は最初から添い寝しないかって、俺、言ってるんだけど?」
 聞き違いではなかったらしい。
 柔らかな微笑みを浮かべた類の顔は、からかってるようではなかったけれど、それでもそれほど真剣なものにも見えなかった。
 固まったまま言葉に困っているつくしのポカンとした顔に、彼女が何を言わずとも自ら勝手に合点したのだろう。
 「やっぱ、ダメか。ま、しょうがないね。じゃあ、お互い無理しないで適当に寝よう。おやすみ」
 引き際も鮮やかに、言うや否や特に未練も見せずにさっさと踵を返してしまっている
 「いいよ」
 だからだろうか。
 咄嗟に飛び出してしまった言葉は意識したものではなかった。
 だが、立ち止まって半身だけで振り返った類を見ても、つくしは後悔する気持ちにはなれなかったし、自分の中でストンと何かが腑に落ちた気がした。
 「添い寝だけでしょ?」
 「…今はね」
 「じゃあ、…今夜は一緒に寝ようか?」
 「うん」
 微笑んだ類の顔はいつもにもまして美しく、本当に嬉しそうだった。
 見惚れる彼女を一人残して、今度こそ部屋へと立ち去ってゆく。
 その広い背中を見送って、つくしもキッチンへと立った。
 …今はね、って言ってたわよね。
 その言葉の真意はわからない。
 いや、もしかしたら、鈍い自覚のある彼女にしてみても、本当はわかっていたのかもしれない。
 しかし、それはさすがにまずい気がした。
 それでも、類が言を違えて、あえて彼女の意に沿わぬ真似をいまさらするとはとても思えない。
 そうするつもりなら、これまでもどうとでもできたはずなのだ。
 それに彼女の中でも、不可思議な解放感とでもいうべきか、自棄にも似たものが心に生まれていた。
 似ているのに、似て非なるもの。
 望んで道明寺家から逃れて、それでも逃れきれなかった―――影から。
 なぜなら、それは、
 …あたし自身の影だったから。
 軛から逃れられず囚われたままだったのは、彼女自身の固執からだったのだと今の彼女にはもうわかっていた。
 誰かをまた好きになるのもいいかもしれない。
 恋をして、誰かを愛して、そしてままならぬ人生に文句を言いつつも、そんな毎日を一生懸命に生きる。
 「…いいじゃない」
 それもいい。
 とりあえずは―――、
 「さ、さっさと明日の支度をしちゃって、今日はもう寝よう」
 明日も早いのだから。




*****




 不思議にリラックスした気分で類の部屋を訪れたつくしだったが、やはりそうは言っても、いざベッドに寝転がっている類も見てしまえば緊張する気持ちも否めない。
 一方、類の方はといえば、彼女とは真逆にどこまでも自然体。
 つくしの気配を感じて顔を上げ、彼女を認めると、手に持っていた紙の本をベッドヘッドの棚に置き、彼女を手招く。
 「どうしたの?入れば?」 
 「え、あ…うん」
 広いダブルベッドに寝転がったまま、わざわざ掛け布団を捲り上げてまで誘われる。
 …ままよ。
 思い決めると、必要以上の早足でベッドへと歩み寄って、えいやっとベッドへと潜り込んだ。
 つくしとしては、同じベッドに入ることは同意したものの、どういう形状?で寝るのかまではハッキリと意識していなかった。
 しかし、布団に入ったとたん、グイッと腰に回った腕に抱き込まれて、さすがに息を飲む。
 「眠…い」
 「…っ!?」
 …そ、そりゃ、そうだろうけどさ。
 うっかりそのまま類に寝入られそうになって、慌てて声をかけた。
 「ね、ねぇ?添い寝するって、こ、こ、こんなに密着して寝るわけっ?」
 「うん」
 「うんって」
 「添い寝するのに、端と端に寄って寝るのもなんか変でしょ?」
 「そ、そうかなぁ?手を繋ぐとかじゃダメ?」
 テンパりながらも、一応は打診を試みる。
 が、
 「いいよ、はい」
 抱きしめられたまま、手を差し出されて、思わずポンと手を乗せた。
 「おやすみ」
 「…は?」
 「Zzzz」
 …マ、マジ?
 つくしの提案は半分は受け入れられたものの、結局のところ、手を握られただけでそのまんまの状態だ。
 …い、意味ねぇ~。
 彼女的にはイマイチ納得しがたいが、それでも確かにここまで来たら、もはや毒食らわば皿までの心境で諦めるしかないだろう。
 それにしても、
 …よ、良かった。裸じゃない。
 さすがに気を使ってくれたのか、類が珍しくしっかりとパジャマを着込んでいた。
 もっとも、いつも彼がつくしのベッドに潜り込んでくる時にしても、パジャマの下だけ履いて上半身裸なのだから、それこそ今更の話なのだが。
 寝る前から一緒のベッドに入って寝るのは、さすがに初めての経験なのだ。
 上半身だけとは言え、もしこの上素肌でいられたりしたら、とてもではないが居た堪れずに眠ることなんかできなかったに違いない。
 類の方は本当に意識していないのか、間近で聞こえる寝息がさらに深いものへと変わりかけていた。
 「あ、電気」
 ガサゴソと動き腕だけを頭上に伸ばして、ベッドヘッドの棚のあたりからリモコンを探り出す。
 パチリ。
 常夜灯を残して電気を消し、仄かなオレンジ色のライトを、見るともなく見つめる。
 いつもだったらベッドに入ってすぐに訪れる眠りも、今はさすがにすぐには訪れてくれそうにもなかった。
 意識すまいと思えば思うほど、返って意識してしまうものらしく、胸のドキドキする鼓動の音がひどく煩い気がする。
 しかし、それにもだんだんと慣れてゆき…。
 …男の人なのに、この人もいい匂い。温かくて凄くいい気持ち。
 
 


web拍手 by FC2

関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛してる、そばにいて
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【愛してる、そばにいて0453】へ
  • 【愛してる、そばにいて0455】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【愛してる、そばにいて0453】へ
  • 【愛してる、そばにいて0455】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘
女性に大人気!ビジネスから恋愛相談まで全部500円~!  
価格満足度97%、日本最大級のココナラに今すぐ登録!!

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘