「愛してる、そばにいて」
第6章 始まりの刻橋②

愛してる、そばにいて0433

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 「ま、デートって言ったって、別に深く考えることもないわよね」
 隠家風イタリアン・レストランのメニュー看板を眺めながらの独り言。
 デートなんて、今時小学生だってしている。
 とりあえず男女揃って遊びにでかければ、そこに恋愛感情があってもなくてもそれだけでデートだ。
 本当か?
 とかいう内心でのツッコミはともかく、二人で出かけたということに関してだけで言えば、すでに何度か外食程度は一緒にでかけているし、デートくらいで意識するには年齢的にも薹が立ちすぎている。
 第一、デートどころかある意味、もっと凄いこともしている二人なのだ。
 …添い寝とか、他人に言えやしない。
 今朝も目が覚めれば、バッチリ目の前に美しい天使の寝顔。
 まあ、深く考えなければ、朝から眼福だったのだが。
 「…お?牧野じゃね?」
 ス―――ッとガードレール越しに横付けされた高級車の、半分下がった窓ガラスの向こう側で、よく知る人物が彼女へと手をヒラヒラとしていた。
 ちょうど数日前に見たばかりの顔だ。
 …なんだか知らないけど、今日は眼福日和だわね。
 半ばうんざりとそんなことを思う。
 「よ!」
 「西門さん」
 「お前、こんなところで何してんの?」
 「何してるって」
 レストランのメニュー看板を前にして、店に入ろうかどうか迷っている以外の何があるというのだろうか。
 「もしかして、夕飯?」
 「…ええ、まあ」
 父親紹介の見合いとかで、今夜は久しぶりに類の弁当作りから解放され、気儘な独り身のこと。
 たまには外食でもしようかと、買い物がてら店を見歩いていたのだ。
 たまたまお洒落なイタリアンの店なんかで立ち止まっていたが、おそらく適当な定食屋に収まるだろうとは思いつつ、それでも、
 …そういえば、最近、こういうお洒落な店なんかには縁がなかったなあ。
とかなんとか思案していた。。
 「へぇ、ちょうどいいじゃん」
 何がちょうどいいのやら。
 開いていた車窓がスルスルと上がり、出車するのかと思えば今度はドアが開いて、現れた長身の美形に眉根を寄せる。
 「なに、車から降りたりしてんのよ」
 「俺もこれから帰るとこだったんだけど、飯がまだでな、ちょうど腹減ってたんだ。奢ってやるから、お前、メシ付き合えよ」
 「は?」
 「けっこう悪くなさそうな店じゃねぇか。ほれ、行こうぜ」
 いいともダメだとも言わないうちに、美貌の若宗匠様はさっさと先に地下へとお降り遊ばしてしまった。
 思わず唖然とその背中を見送って、ヒクヒク顔を引き吊らせながらボヤく。
 「…って、おいっ。あんたらって人に聞くフリだけは一応するくせして、どうしてやっぱり返事聞かないわけ?」
 そもそも自分が断られることがあるとさえ、思っていないのかもしれない。
 …馬鹿らしい。付き合ってらんないっつーのっ。
 しかし、だからと言って黙って立ち去る勇気も出ない。
 …結局は、従っちゃうあたしも悪いんだけどさ。
 「はぁ~、しょうがないっか」
 総二郎には一時期、茶道を習っていた一宿一飯?の恩義もある。
 仕方なく、つくしも地下へと消えた総二郎の後を追った。
 「おい!何してんだ、さっさと来い」




*****




 「お前、嫌いなものとかあるか?」
 「…いえ、好き嫌いとかないですから」
 堂にいった態度で、閑散とした店内の一角、店の一番いい席をさっさと確保して、総二郎がテキパキと料理を注文してゆく。
 腹減ってる、の言葉通り、本当に空腹だったらしい。
 「コースとかタラタラ持ってこなくていいから、出来た料理から一気に持ってきちゃって?」
 お上品なお方らしからぬ身も蓋もない注文に、別につくし的にも気にならないが、一応は店員の微妙な顔に意義を唱えてみる。
 「…ちょっと、いくらなんでもそれってなくない?」
 「お前相手に、気取ってもしょうがないだろ?」
 「いえ、そういうことじゃなくね」
 とはいえ、特にマナー違反なわけではないし、そこまで格式が高い店でもないこともあって、案外総二郎の要望もあっさりと了承してくれた。
 「はぁ~、今日は忙しくて昼抜いたからな」
 「そうなんだ」
 バクバクというほどではないが、類や司などよりはよほど食欲旺盛で、人間らしく総二郎の食欲は外見相応だった。
 …これが普通よね。
 あきらの方はどうだかわからないが、類や司はある意味、総二郎たちに比べてさえ別人種のように思える時がある。
 生きている人間の息吹が希薄とでもいうべきか、やりたい放題のようでいて、実際には彼らには人間としてあって当たり前のものがどこか足りない気がするのだ。
 「でも、一人でこんなお店に入って良かったの?」
 「こんな…って、お前なにげに失礼なヤツだな」
 一応それでも声を潜めたのだが、さっと周囲を見回す総二郎の視線に慌てて彼の言葉を否定する。
 「いや、そういう意味じゃなくってね」
 「ま、わかるけどよ、言いたいこと。類や……司みたいにSPつけてなくていいのかってことだよな?」
 「…そういうことだね」
 類の話題が出れば当然のように司の名前も出る。
 だいたいが、総二郎自身が彼らの関係者だ。
 そして、つくし自身も彼らと顔を合わせれば、どうしても司のことを思い出さずにはいられない。
 隼斗と暮らした2年余の間には、ほとんどなかったことだというのに。
 …忘れていられるはずだった。
 それが―――。
 「俺は単なる茶人だからな。そういうキナ臭い目に遭うことはそうそうないしな」
 「でも…」
 「まあ、それでもアメリカとか治安の悪いとこ行くと、誘拐とかもあるからそれなりに護衛も付ちゃあいるが。日本じゃ中々成人の男を誘拐するヤツもいねぇしよ、そんな七面倒くせぇヤツら一々引き連れてられるかっつーの」
 「……なるほど」
 ましてや、総二郎たちは子供の頃から護身術を教え込まれている。
 並みの日本人男性よりかなり体格のいい総二郎を誘拐するのは、たしかに相当に至難の業だろう。
 「むしろお前の方がヤバいんじゃねぇの?」
 「は?」
 「慰謝料…司から貰ったんだろ?」




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