「愛してる、そばにいて」
第6章 始まりの刻橋②

愛してる、そばにいて0432

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 「なによ、それ」
 「褒め言葉だよ?」
 どこらへんがだと、ため息が溢れる。
 よりによって珍獣―――絶世の美男にそんな形容をされてどこの女が褒め言葉だととって嬉しがるものか。
 …まあ、わかってはいたけどさ。
 つくしにしても類に妙な夢を見るつもりもなければ、いまさら何を期待しているわけでもなかったけれど、それでもあまりな言い草にガクッと項垂れ脱力しかける。
 「それ、生菓子でしょ?冷蔵庫に入れておいた方がいいんじゃないの?」
 「ああ、いや、常温保存でいいらしいよ。ほら、こういうのって冷蔵庫がない時代からある食べ物じゃない?」
 そんなどうでもいい雑談を交わし、お茶でも入れるかと迷って、だが時間を確認すればすでに時刻は0時を回りかけている。
 「えっと、類、お茶飲む?」
 「ん?」
 「良かったら、これをお茶菓子にお茶でもどうかなって」
 「う~ん、今から?あんたは?」
 「あたし?」
 逆に問い返されたものの、寝入ってしまう前に夕食を食べてそう何時間も経っているわけではなかったから、夜食を食べるという気にはとてもなれなかった。
 …そうじゃなくっても、これ、思いっきりカロリー高そうだよね。
 今のところ平均体重で中年太りしてきているというわけではなかったけれど、それでも抜群のスタイルを誇る絶世の美男を前にすると、さすがに色気も洒落っ気もないつくしでさえそうしたことが気になってくる。
 「あたしはもうそろそろ寝るし、特に小腹が空いてるわけでもないから明日でいいかな」
 「じゃあ、俺もいいよ。っていうか、甘いもの苦手だし」
 「…ああ、そういえばそうだっけ。こういうのもダメなんだ?」
 と、いうか、類の場合あれもこれも嫌いなものが多すぎて、あえてどれが苦手と言われても、逆に好きなものを言ってもらった方が断然早い。
 「俺のことはもう今日はいいから、風邪引くし、寝るならちゃんと部屋に戻ってベッドで寝ちゃいなよ?」
 もっともな忠告に、つくしも素直に頷く。
 「うん、じゃあ、そうさせてもらうね」
 類の方も、時間が時間だ。
 夕飯は会社で済ませてきているのだから、あとは寝るだけだろう。
 寝室に戻りかけた類が、ああ、とつくしを振り返る。
 「ああ、そうだ。明日、夜の弁当いらないから」
 「え?」
 やっぱり仕出し弁当か何かを頼むことにしたのだろうか?
 しかし、うんざりしたようなため息をついた類が、そんなつくしの疑問をあっさりと否定する。
 「急遽、親父の知り合いの娘とかいう女と会食することになってさ」
 親父の知り合い…はともかくとして、類の言い方や某かの役職についている当人ではなく‘その娘’と、となると、どう考えても仕事の話というよりは、違う方面のような気がするのはつくしの気のせいか?
 「えっとぉ、それってもしかして?」
 「男も30才を過ぎると、結婚だなんだと煩いんだよね」
 やはり。
 「お見合いってこと?」
 「まあ、そういうのかな」
 意外ではない、当たり前のこと。
 類の言うとおり、彼ももう33才。
 世間一般で所帯を持っていてもおかしくはない年齢だし、すでに子供がいる人間も普通だろう。
 ただでさえ、普通とは言い難い身の上だ。
 なんだかんだとしがらみもある。
 …ちょうど、デートでもしなよ、って言ってたところだしね。
 タイムリーというべきか。
 けれど、なんとなくいざそういう機会が類に回ってきたとなると、それはそれで複雑な気がするつくしだ。
 「そうだ。あんた、俺と結婚するつもりない?」
 「はあ!?」
 突拍子のない提案に、あんぐりと口を開けたまま絶句する。
 そんなつくしの顔を見てイタズラぽい顔をした類に、自分が揶揄われたことに気がつく。
 ムッと顔を顰め、類を睨めつける。
 「揶揄わないでよ」
 「別にからかってないよ。……まあ、そうするにはまず、あんたが正式に離婚しないと話にならないんだけどね」
 「それ以前の問題でしょ?!」
 …結婚するつもりない?って、なんなのよ、それ。
 そもそも類とつくしは結婚云々を語り合う仲ではない。
 どこまで本気なのか、いや間違いなく冗談だろうが、飄々とした類の言動は突飛がなさすぎて、冗談だと思っていると本気だったりということもあって油断ならなかった。
 …いやいやいや、でもさすがに結婚のことまではね。
 「単純に、誰かとどうしても結婚しなければならないとしたら、あんたとするのもいいかと思っただけなんだけど」
 「それこそ、意味がわからない」
 掴みどころのない類のキャラクターなら、そんな奇妙な理由でも有り得そうで怖い。
 下手に真面目に受け止めるとと、そのまま現実になってしまいそうだ。
 「そ?ま、いいや。どのみち、今そんな話をしても意味ないことだから、それはそれで冗談ってことでもいいよ」
 「類…あのねぇ」
 …冗談でもいいって、冗談以外のなにものでもないでしょ。
 つくしの困惑をよそに、やはり彼はどこまでもマイペース。
 サクサクと話を終わらせ、すでに話題は次へと。
 「それよりさ。明日不本意な仕事に行く代わりって言ったらなんだけど、俺、明後日は完全オフなんだ」
 「あぁ、そう」
 自分が動揺していることに動揺してしまっていて、答えるつくしの返事もおざなりだ。
 …動揺なんてしてないし。
 「て、ことで…」
 「はい?」
 「牧野、明後日、俺とデートしよ?」
 「……………」
 「……………」
 「は?」
 「デート」
 「デートぉっ!?」
 吠えた。
 さすがに高音での絶叫は類にしてもうるさかったらしく、それでも面白そうな顔のまま片耳に指を突っ込んでニッコリ。
 「気晴らしをしたいなら、デートでもしろってあんたが言ってたんじゃん」
 それはそうだが、そこにつくしはまったく自分自身を含んで想定していなかった。
 呆気にとられて唖然としている彼女を置き去りに、当の爆弾を落とした張本人は、呑気にあわわとあくびなんぞをしていらっしゃる。
 「あふぅ、眠ぅ。…とりあえず詳しい話は…まあ、どうせ一緒に暮らしてるんだし、当日でいっか。じゃ、俺寝るから。あわわわわ」
 再び大欠伸をして、言いたいことだけを言いおいた類は、さっさと踵を返して寝室へと向かってしまっている。
 「……詳しい話は当日って、いったいいつの間にデートすることが確定したのよ!一応、あたしに尋ねたんじゃないわけっ!?ちょっとこらああぁ~!!」
 つくしの虚しい雄叫びを聞くべき当の本人は、すでに寝室へと消えていた。
 「デートの相手の承諾はとれぇ―――っ!!」
 …つーか、あんたは明日見合いでしょうよっ!
 つくしは誰もいない空間に向かって、虚しく突っ込んだ。




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