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「愛してる、そばにいて」
第6章 始まりの刻橋②

愛してる、そばにいて0414

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 どうして…。
 それこそつくしが聞きたいところだが、しかし、端的に言えば、
 「偶然です」
 「偶然?」
 「偶然だね」
疑わしげに復唱した総二郎の後で、類がつくしに同意する。
 「あと成り行きかな」
 「……まあ、そうかも」
 つくしとしては同意しかねるが、そう言われてしまうとそんな気もする。
 「お前ら意味分かんねぇよ。偶然だか成り行きだか知んねぇけど、馴れ合うにはワケアリすぎんだろ?」
 「別にワケアリだったのは、司とで、俺と牧野は単なる学校の先輩後輩だよね?」
 「……まあ」
 ‘単なる’と言われてしまうと、疑問のような物悲しいような、複雑な気分ではあるがつくしはそれにも概ね同意する。
 たしかに類にしてみれば、彼女は一時期同じ学園に在籍していた後輩にすぎないのだろうから。
 「とりあえず、時間なくなるし、食べながら話そ?別にそんな深刻な顔して雁首並べて話すようなことでもないけどね」
 どこまで本気なのかわからないが、相変わらず飄々とした顔の類が、苦虫を潰したような顔で手元のお茶を一気飲みした総二郎と困惑顔のつくしへと食事を勧めてくる。
 「あ…じゃあ」
 つくしも一応は総二郎の顔色を伺ってチラッと視線を走らせたが、目の前のスペシャルランチの魅力にあっさりと屈し、開き直って食べ始める。
 …この人たち午後一で打ち合わせがあるんだから、あたしだってここでいつまでもグズグズしてられないものね。
 第一、つくしにしてみても、総二郎に何を言われる筋合いもないと思っている。
 司や類と親友の彼が苦々しく思うのもわからなくはなかったけれど、赤の他人の総二郎には関係ない話なのだ。
 …あたしと道明寺はもう関係ないんだもん。
 それこそ何を言われ、指図される道理もない。
 たとえつい最近まで司に監視され、その手のひらの中で踊らされていたにしても。
 それにどちらにせよ、もし今も司がつくしの動向に関心を寄せ監視を続けているのだとすれば、類のところに彼女がいることもすでに報告されてしまっているだろう。
 干渉してくるつもりなら、総二郎がどうこう言わずともどうとでもしてくるに決まってる。
 「ハァ……食うよ。俺にしても、類と午後の打ち合わせが終わったら、息つく間もなく講演会に行かなきゃなんねぇんだからな。今、メシ食っとかないと、後がキツイ」
 「…あ、お茶、お代わり淹れます?」 
 「いらねぇ。つーかなんだよ、お前、このお茶。曲りなりにとも俺が教えた弟子だろ?」 
 「え~、そんなこと言われたって、もうあらかじめポットと急須が置いてあって、お茶っ葉を入れた状態で出されてたんですよ?美味しい淹れ方もなにも、どうにだってできませんから」
 「バカ、そんなのはいいわけだ。本物の茶人ってヤツはな、どんなシチュエーションだろうが、素材だろうが、それなりの最高の淹れ方で最高に美味い茶を献じるんだよっ!」
 「…てか、あたし全然っ茶人じゃないし」
 あー言えばこう言う、こう言えばあー言うの、いきなりの喧々囂々だ。
 「なんか、意外に親しいんだね?」
 怪訝そうに類が尋ねてくるのに、口喧嘩していた総二郎とつくしが顔を見合わせる。
 つくしとしてはどう答えていいのかわからず言葉に迷っていたが、総二郎があっさり類の問いかけに頷いた。
 「まあな。道明寺家の若奥様時代に、半年くれぇか、ちょっとこいつに茶道教えてたんだよ」
 「へぇ?」
 こいつ呼ばわりだ。
 …別にいいけどね。
 事実には違いない。
 器用に肩眉を上げての類の揶揄に、今度はつくしの方が仕方なく答える。
 「昔のこととか思い出して、その…今度は道明寺家にいる間のことを忘れてしまったんです」
 「…へぇ?」
 「それで…混乱しちゃってたから、少しでも何かをしたくて…」
 実際には、そこに至るまでにさまざまな思惑や葛藤、多くの理由があったけれど、一言では答えられずに簡潔に説明してしまう。
 「そうだな。せいぜい週一の手習いだし、それで一気に親しくなったってこともねぇんだけど、多少は雑談しねぇこともなかったし。それにお前にとって牧野が高校時代の後輩だったって言うんなら、俺にとってもそうだろ?」
 「そう?」
 「………」
 微妙な間を作られ、総二郎が咳払いして正確さを付け加える。
 「ま、学生時代は…そんなに親しくなる前に、こいつが司と付き合うようになったからな。そんであいつがバリバリ牽制して、自分以外の男を近づけさせなかったけどよ。それでも司とツルんでれば、それなりに牧野と話すこともあったんだよ」
 友達というには微妙だったが、つくしもそれほど内向的な性格ではなかったので、完全に病んでしまってからは別にして、傲慢でキレやすい司などよりは、よほどあきらや総二郎の方が話しやすく、気安かったのはたしかだった。
 「まあ、総二郎は元々馴れ馴れしいか」
 「言い方に若干不満はあるが、そりゃあ、ヒッキーで人間不信の塊のお前や身内以外虫けら認識の司に比べりゃ、誰だって社交的だぜ」
 「ぷっ」
 笑いごとではないが、あまりに的確な総二郎の表現につくしが噴き出してしまう。
 注目を浴びて、
 「いえ、ごめんなさい」
 「面白かった?」
 「マンマだっただろ?」
 それぞれに聞いてくるが、肯定して良いものやら、いまさら取り繕ってもわざとらしいかと悩んでしまう。
 「でも比較対象が、下半身同様口もユルユルの総二郎と年増専門八方美人のあきらじゃ、それはそれで極端じゃないの?」
 「ぶはぁ!」
 「おいっ!!」
 そんな類の歯に衣着せぬ言い草に、今度こそつくしは本格的に噴き出してしまった。
 「あはははは、い、いくらなんでもそれこそまんま言い過ぎですよ」
 「…否定してないだろ」
 「否定してないね…ぷっ」
 「あははは」
 間髪入れずにノリ良く突っ込んでくる類と総二郎がなおさら可笑しいと笑い合う。
 不思議に気安くて和やかな空気に、つくしは内心で驚いてもいた。
 …この人たちといて、平気だとかって。
 総二郎の言う通り、手習いや彼自身の社交的な性格もあって、多少親しくなっていたのは本当のことだったが、それでも隔意がなかったわけではなかったのだ……当時は。
 おそらくそこには歳月の存在も無視しえないのだろう。
 しかし、司と関わりがある人間だというのなら、類も同様なのだ。
 たぶん彼の醸し出す非現実的で、ほんわかとした雰囲気やトボけた飄々とした物言いが、いつのまにか頑なだった自分を解きほぐしていたのだと、つくしも気がつかされた。
 屈託なく笑うつくしの笑顔に、総二郎も毒気を抜かれたのか、やがては苦笑して肩を竦めた。
 「ま、いいけどよ。…なんか、牧野、お前、また変わったな?」 
 「……そうですか?」
 「学生時代は…まあ、あの頃のことは論外なんだろうが、司の女房をイヤイヤやってた頃よりは、ずっといい顔して笑ってるじゃねぇか」
 「………西門さん」
 そんなことをよもや総二郎から言われるとは思っていなかったつくしが、笑いを収めてマジマジと総二郎を見返す。
 「なんか類の方も、悪くない感じに落ち着いてるみたいだし、……お前らやっぱり、本当は付き合ってんじゃねぇの?」
 「……付き合ってるの?」
 何を言ってるのだと呆れてるつくしへと、類までもが聞いてくるのにつくしが唖然とした。
 「何言ってんの、あんた?」




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