「愛してる、そばにいて」
第6章 始まりの刻橋①

愛してる、そばにいて0411

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 居間やらダイニング、水廻りをざっと片付けて、次に向かった類の寝室に足を踏み入れる。
 やはり予想通りだったかと、ガックリとつくしは項垂れて粛々と作業を続けた。
 「昨日片付けたばっかりなのに」
 毎日同じセリフを呟かされるこの脱力感は半端ない。 
 これもたしかに仕事だと思えばなんということはないのだが、それにしても一人でどうしてここまで散らかせるのか理解不能だった。
 まあそれでも、一日の大半、類は不在だからおそらくまだマシなのだ。
 日本での仕事初めからすでに一ヶ月が過ぎている。
 だが、さすがに花沢物産副社長兼日本本社社長という立場からだろうか。
 土日祝日なく出勤のハードスケジュールの中、類が丸一日家にいるということは、まだなかった。
 …これで、土日に家にいるとか言ったらどうなっちゃうわけ?
 魔窟再び?
 いや、きっと寝倒すだろうから、返って大丈夫かもしれない。
 戦々恐々とした気分を宥めた。
 足元に無造作に放り出されている本を拾い集め、本棚に収める。
 今はもうほとんど、紙の本は持っていないと類は言っていたが、愛蔵書なのか詩集や雑誌など、趣味の本は何百冊もマンションのいたるところにある本棚に並べられていた。
 …凄い読書家よね。
 類は寝てばかりで、いかにも自堕落な男だが、趣味は広いらしい。
 文学ばかりか、生物学やら心理学、果は宇宙工学にいたるまで、さまざまな分野の本を保有していた。
 それもただ置かれているだけでなく、繰り返し読んでいるようで、装丁は綺麗なままだったが、中身のページにはそうした痕跡が色濃く残っている。
 …いったいいつの間に読んでるんだか。
 電子の本はさらに持っているというのだがら、彼の読書量は相当なものだろう。
 「えっと、こっちはロシア文学だからこっちの棚。…って、これ廊下の本棚にあったやつじゃん」
 本なのでかなりの重さがある。
 ひーはー言いながら、あっちにこっちにと元の場所に収めて、今度はベッドメイキングに取り掛かる。
 掃除機をかけるのは後だ。
 …もうっ、寝入りっぱなはちゃんと自分の部屋のベッドで寝てるんだから、そのままおとなしく寝とけって言うのよ、まったく!
 とはいえ、最初からつくしの部屋に忍び込まれてしまっても、それはそれで困る話だが。
 「あれ?」
 ベッドのシーツの上、ポンとに無造作に置きっぱなしにされている封筒に気がつく。
 普通にA4サイズの、いかにも書類が入っている茶封筒。
 いつもなら、とりあえずは床に散乱してでもいないかぎり、手を触れもしないのだが、目に付いた今日の日付と『打ち合わせ用』の文字に躊躇する。
 封はされていないものの、それでもさすがに中身は確認しない。
 どうしたものかと悩んで、やはり忘れ物だろうと、つくしはエプロンのポケットから携帯電話を取り出した。
 一応、つくしは類本人や彼の第一秘書の遠藤の携帯電話番号を教えられている。
 しかし、これまで彼らの仕事中に連絡をいれたことはなかった。
 本当に忘れ物なら、遠藤の方から連絡があるだろうとは思うが…。
 「どこに置いたか、忘れてるってこともあるかもしれないものね」
 どうしても忙しければ、電話も取らないだろう。
 メールにするか迷って、朝一の資料だったら困るに違いないと、とりあえず電話を選ぶ。
 トゥルルルルルルルル、トゥルルルルルルルル―――、2コール。
 あと1コールででなければ、秘書の遠藤にかけ直すか、メールに切り替えようと思ったところで類が出た。
 『…はい』
 「えっと、あの…花沢さんですか?」
 類の電話にかけているのだから当たり前のことを、つい焦って問いかけてしまう。
 クスリと笑う気配。
 『そう、俺』
 妙に気恥ずかしかった。
 嫌というほど毎日顔を合わせているというのに、顔が見えない…ただそれだけのことで、まるでいつも見ている類ではない別人に電話をかけている様な不思議な感覚。
 『あ、ちょっと待って……ん、だね。了解』 
 断りを入れられ、電話の向こう、おそらく遠藤とだろう何事か打ち合わせしている気配に、やはりメールにするか、せめて秘書の方に連絡をいれるべきだったかと後悔する。
 『ごめん、OK。あんたが俺に電話してくるなんて珍しいね…なに?』
 「すみません、突然。あの、寝室に封筒を忘れられたみたいで」
 『封筒?今日の日付が入ってるA4サイズのやつ?』
 類もすぐに思い当たったようで、打てば響くように返事が返ってきた。
 「はい。どうしようかと思ったんですけど、取りに戻られますか?」
 『うーん、朝一に会議入ってるし、…それ別に朝使うやつじゃないから、どうしようかな』
 困っている風な類の言葉に、少しだけ迷って申し出る。
 「あの…もしよかったらですけど、あたしが会社まで届けましょうか?書類。それともバイク便とかに頼んだ方がいいですか?」
 
 


*****




 午後一まででいいからと言うので、彼の昼休み時につくしが届けることになった。
 それならばと、
 『ランチ一緒しようよ』
 奢るからと気軽く誘われたが、相手はあの花沢物産副社長だ。
 「…いえ、遠慮します」
 他人の注目もイヤなら、詮索されるようなマネもされたくない。
 気疲れするような高級レストランとかで、食事をするハメになるのはもっとごめんだった。
 とはいえ、
 …まあ、ずっと前にあの人と外食したのは、思いっきり大衆食堂だったけどね。
 ところがさすがは類?
 彼女の想像の上をゆく誘い文句に、つくしはあっさりと前言を撤回。 
 『うちの社食って、雑誌でも取り上げられた名物食堂なんだ。社員に超人気の200食限定のスペシャルランチでどう?』
 「ぜひともお供させていただきます!」
 女は美味しいものと限定品に弱い生き物なのだ。
 しかも、目にも嬉しい美形付き!




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