「愛してる、そばにいて」
第6章 始まりの刻橋①

愛してる、そばにいて0405

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 「今のあんたに会ってみて、よけいにそう思った」 
 優紀は組んだ両手を広げ、まるで自分の中から言葉を探すようにジッと見つめ静かに語りだした。
 「あたしもさ、この4年の間にいろいろなことがあったよ。そりゃあ、つくしみたいに波乱万丈なものなんかじゃなく、平凡なものだったけどさ」
 「……そんな、あたしは」
 口ごもる。
 あたしは、…なんなのだろう。
 平凡を絵に描いたような少女だった彼女が、英徳で司という非凡な男と出会ったことで、人生すべてが一変した。
 この十数年という年月…すでに彼女の人生の半ば、まさしく波乱万丈そのものだったのだ。
 「こんなあたしでも何度かお付き合いする人ができたり、一時期は結婚を考えるくらいに真剣な人もいた」
 「…そうだね」
 その話は、折に触れる度に電話やメールでつくしも聞いていた。
 もっとも互いに仕事に家庭にと多忙で、いくら再び交流を再開したとはいえ、中学時代までの二人のように…とまではいかなかったけれど。
 しかし、ずっと友達でいようね、という言葉のまま、没交渉だった十年の空白は互いへの友情を壊しはしなかった。
 「失恋するたびに、死んじゃいたいくらいに苦しくて、もう二度と恋なんかできないなんて、バカみたいなことを思ったりもしたけど、…そうじゃなかった」
 「うん」
 つくしが知らない普通の恋。
 出会って、少しづつ想い合って…かつて憧れた平凡で、だが素敵な夢が優紀の話の中でいつも燦然と輝いていた。
 「そして、そんな辛い過去はさっさと忘れてしまいたい、そんな風に思ったこともある。でも、そうした経験も、あたしにとって何一つ無駄なものじゃなかったんだって、最近では思えるようになったの」
 優紀がはんなりと笑う。
 派手やかでもなく、個性や才能に満ち満ちているわけでもなかったが、誰よりも優しく強いつくしの親友。
 「毎回泣いちゃうんだけどさ、でも一つ強くなった自分を感じた。10年ぶりに再会した…高校時代に戻ってしまったあんたは、なんだか折れてしまいそうに痛々しくて、いつも苦しそうで張り詰めていたよね?」
 「…そうかな」
 そうかもしれない。
 一人で歩こう、自由なんだと片意地を張るたびに、その自由な足でどこへ向かって良いのかといつも不安だった。
 14年前には、溢れるほどにあったはずの望みや夢、希望が、いざ再び与えられて、いやそれ以上の選択肢を示唆されても、つくしには何一つ思い浮かばなかったのだ。
 『先輩は自由になったら、何をしたいと思いますか?』
 かつて桜子に問いかけられ、答えられなかったまま。
 守りたいと思っていた家族ですら、それぞれの道をすでに歩いていて、つくしが守らなければならない存在ではなくなっていたから。
 …あたしには何もない。
 「でも…今は、あの頃よりはずっといい顔してる。そう思うよ」
 「優紀」
 「また強いつくしに戻り始めてる、そんな気がするんだ」
 本当にそうだろうか?
 つくしには優紀が言ってくれるほどには確信できていなかった。
 それでも、彼女の言葉を否定することなく、曖昧に微笑む。
 親友の気持ちが泣きたくなるほどに嬉しく、彼女を失望させたくなかったから。
 「隼斗さんとの結婚生活に関しては、あんたから伝え聞く範囲のことしかあたしは知らない。でもさ、隼斗さんや陽太クンの話をするあんたは悪くなかったよ?あの人たちのことが本当に好きなんだって、ちゃんと思えたし、そういう愛のカタチもあるんだろうなってね?」
 「…うん」
 隼斗との夫婦生活は、つくしにも苦悩があった。
 そしておそらく隼斗もまた、そうした彼女の気持ちに気がつき、苦しんでいた部分があったに違いない。
 しかし、そうした些細なすれ違いはどんな平穏な毎日の中にもあることで、それが些細なまま歳月によって解決したり、あるいは亀裂が広がり修復できないこともあるのだろう。
 それはきっと誰のせいでもなかった。
 同時に自分のせいであり、隼斗のせいでもあって、巻き込まれた陽太には本当に申し訳ないことではあったが、…人生を生きる限りかず数え切れないほどにある経験と過ちの繰り返しの一つなのだ。
 …本当に、あの人たちのことが好きだった。
 いや、今も好きだし、彼らの幸福を祈っている。
 「だから、いいんじゃないかな」
 「…優紀?」
 しめやかだった空気が、その優紀のイタズラッぽい表情と一言で180度変わってしまった気がした。 
 いったい何が言いたいのか分からず、つくしが怪訝に首を傾げる。
 「新しい恋!この場合は、復刻愛?学生時代の初恋の王子様と再会して…!なんて、すっごい理想的じゃない!?」
 「…復刻ってあんたねぇ、本じゃないんだから」
 いやいや、焦点はそこじゃなかったと、自分で自分に突っ込んで気がつき、つくしは額を押さえた。 
 「何言ってるのよ!あたしたちはまだ32才!花も恥じらう…っていうのは、まあ、さすがにちょっと図々しいかもしれないけどさ。もう一花も二花も咲かせてもいいんじゃない?」
 ズズズッと指先を突きつけられ、思わずつくしが仰け反る。
 「いや、一花も二花もって言われても…」
 そもそもまだ戸籍上ではつくしは既婚者だ。
 それ以前に、誰と一花を咲かせろと言うのか。
 「独身の御曹司!ジジババ…はまあ、この際しょうがないにしても、バツがついてなくて子供もいない。お金はある。昔助けてくれたくらいだから、優しい人なんだろうし、いきなり同居だなんて、これも一つのチャンスじゃない?」 
 「……もしも~し?優紀さぁん?」
 年齢的にはかなり厳しいが、夢見る乙女よろしく両手を組んでうっとり宙なんか眺めちゃってる優紀のテンションに、つくしの顔が引き攣る。
 「ま、道明寺さんの関係者だとか、夢遊病だとか、なんかちょっと引っかかるところもないわけじゃないけどさ」
 「…ないって」
 「そうお?」
 疑わしげな優紀に邪険に片手を振って、大きくため息をつく。
 「あくまでも仕事よ、仕事。こっちもそうだけど、あっちだってなおさらそんなこと思いもしないことだよ」
 「でも、いくら古馴染みだからってさ、十何年も会ってなかった…それも異性を自宅に連れてきて泊まらせたり、いきなり同居を持ちかけたり、普通はしないって」
 「…まあ」
 それはつくしにしても、解せないところではある。
 いったい彼女の何を気に入って、部屋の管理など任せるつもりになったのか。
 「でも、あの人は昔からああっていうか、宇宙人みたいなものだから、あたしたちみたいな一般人には理解できない思考回路ってものがあるんだよ、きっと」
 結局はそれに尽きる。
 「ふぅん?でもさ、花沢さんの方はともかく、あんたにしても、そんな突拍子もない提案を受け入れて、いきなり同居しちゃってるだなんて、やっぱり何か思うところがあったからなんじゃないの?」




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