「愛してる、そばにいて」
第6章 始まりの刻橋①

愛してる、そばにいて0394

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 ちゃっかりとされた細かい注文に、思わず無言になりながらつくしがソファを立って、キッチンに立つ。
 先ほど磨き上げた薬缶に水をいれ、コンロにかけた。
 「抹茶ミルクって、まさかお抹茶から点てろってことじゃないですよね?」
 「出来るの?」
 「…できないとは言わないですけど、お茶一杯飲むのに一々それやらされるのは勘弁なんですけど?」 
 そこまで求められるのなら、やはり類のメイドをやるのはつくし的には無理だ。
 そんな危惧を、類があっさりと否定する。
 「別にそんなことしなくていいよ。普通に粉で。抹茶もミルクも粉のが戸棚にあるから、それ入れてくれればいいかな」
 「…それでいいなら」
 「本格的なやつは、今度、総二郎に点ててもらって飲むからさ」
とかなんとか言語道断なセリフは、あながち冗談とも思えない。
 …次期家元にお茶点ててもらって、抹茶ミルク?まさかね。
 「えっと、戸棚の中、見ていいですか?」
 「どうぞ?」
 いつのまにか隣に立った類が、なぜかニコニコ…とまでは言わないが、わりに楽しそうな顔でそんな彼女の作業工程をジッと見守っている。
 「あの…そうやってジッと見られてると、やりづらいんですけど?」
 「そ?別に気にしなくていいよ」
 …いや、あんたが気にしなくても、こっちが普通気になるでしょ。




******




 なにが物珍しいのか知らないが、つくしがご希望の抹茶ミルクを淹れる間中、ずっとついてまわっていた類が満足げにその抹茶ミルクを飲んでいる。
 「苦くないんですか?」
 「ん?それがいいんじゃない?」
 「…うーん」
 甘いものが苦手だとかで、類の抹茶ミルクは砂糖抜きだ。
 それはともかくとして、
 「いくら見知らぬ人をマンションに入れるのがイヤだからって、なんであたしなんですか」
 「一応、知ってるし?」
 ガクッ。
 …なんで疑問形なのよ。
 しかも、一応、つきだ。
 「あんたなら、俺の財産目当てで、妙な色気だしたりしないでしょ?」
 「…は?」
 「けっこうウンザリなんだよね。そうした手合いに妙な色目使われたり、迫られたりするの」
 「なるほど」
 ありそうな話ではある。
 つくしは実際には直接見聞きしていないが、既婚者であるにも関わらず司にもそうした誘惑がたびたびあったらしいと、道明寺邸の誰だかから聞いた覚えもある。
 …タマさんだったかな。いやいや、絵里ちゃんからだったかも?
 色目、というわけでもないだろうが、あの神崎遥香にしても、既婚者であると知っていてなお司に惹かれた。
 名目だけとは言え、司の妻だったつくしのことも、よく知っていたのにも関わらず。
 司にしても類にしても、虫に群がられる花のように、女たちにとってはこの上なく魅力的で無視し得ぬ存在なのだ。
 あらためて思い起こしてみれば、そうしたことは彼らが社会に出るずっと以前から、学生時代にも十分つくしも見聞きして思い知っていたことではなかったか。
 「それなら、年配の人とかにお願いすればいいじゃないですか。それか、男の人とか?」
 「…だから、そうピッタリの条件の人が見つからなかったから困ってるんでしょ?男は…ちょっとなんかゾッとしなくない?」
 「うーん」
 女は面倒だと言うくせに男はダメだと言う類のこだわりがよくわからず、つくしが首を捻る。
 「それに…」
 どこから本気でどこまでが冗談なのか。
 捉えどころのなかった口調が改まって、つくしがそんな類を仰ぎ見る。
 「それに、…悪くないって思ったんだよね」
 「悪くない…ですか?」
 「そう、悪くない。あんたと二人でこうして喋ったり、一緒にいることがあんがいイヤじゃなかったというか、居心地が悪くなかったからさ」




******




 結局なんだかんだで、いつの間にか丸め込まれてしまった気がする。
 やはり一番は―――、
 『車の修理代?あの程度なら保険かかってるし、別にいいけど』というありがたいお言葉を断り、女気?を見せてしまったことが裏目に出たと言えるだろう。
 やはり類が乗っていた車は、つくしの予想どおり億を越える超高級車で、車体の後部にホンの少しかすり傷をつけただけだというのに、かかった修理金額につくしは再び意識を喪失したくなってしまった。
 …花沢類に怪我がなかったのは、良かったけど。
 結果…、
 『条件に合うメイドが見つかるまで』ということで、類の申し出を受けることになってしまった。
 車の修理代に関しては、本来ならつくしの任意保険で賄うところだろうが、事情が事情で警察を呼びたくなかった双方の合意で、今回は類が自腹で修理代金を賄うことに。
 類にしてみればよけいな出費だ。
 本人はあまり痛痒を感じていなさそうではあったけれど。
 …さすがに、悪かったよね。
 そうは思うが、かといってつくしが今すぐ自腹を切るにはあまりに痛い金額だった。
 とりあえず、雇用関係は明日からという約束で、類の寝室(現在の)とは対面側の一室を借り受け、住み込みで働くことが決まった。
 しかし、案の定というべきか、部屋の惨状は予想通り、脱ぎ着した類の下着まで転がっていたのには思わず青筋が浮かんだ。
 …子供かっつーのっ!
 すわ半月前の下着かと、いくら美男の履いていたものでも戦々恐々とした。
 しかし、その下着が転がっていた部屋は、つい昨日まで彼が寝室にしていた部屋だそうで、…最悪1週間前のものである可能性はあったが、少なくても半月前のものではないことが判明しつくしは胸を撫で下ろしたものだ。
 トントンとノックの音がして、
 『もうそろそろ支度できた?』
類に声をかけられる。
 「あ、はい、今行きます」
 今夜はさすがに台所の事情からして、即炊事というわけにもいかず、また連チャンでデリバリーの夕食というのもあまりに侘しくて、類の提案で二人で外食に出ることになっていた。
 …いいのかな。
 そんなことを思わなくもない。
 とりあえずはと、フォーマルとまではいかないが、それなりのおしゃれ着に着替えて、バックを片手に部屋を出る。 
 「すみません、お待たせして」
 「…ん?」
 ドアの前で待ち構えていた美男が、目を細めて柔和な笑みを浮かべた。
 「そうでもないかな。女の身支度は時間がかかるものって相場が決まってるし、30分程度なら御の字だよ」
 「ははは」
 かなり女慣れしたセリフに苦笑い。
 …やっぱりなんか変わったな、花沢類。
 昔はそんな風ににこやかな応対をしたり、さらりと受け答えするような人ではなかったように思う。
 それが何とは無しに寂しい気もしたが、つくしがどうこう言う筋合いではないことだ。
 「でも、やっぱりカロリーメイトとか、サプリメントばっかり食べてるってわけじゃなかったんですね」
 「え?」 
 「量は少なかったけど、ちゃんとお昼ご飯もデリバリーでそれなりのものを食べてたし」
 「ああ、そうかな。ここのところはオフでずっと家食だったからそんな感じだったけど、普段仕事の時は会食もあるし、弁当も出たりするからちゃんと食品も口にしてるよ。まあ、さすがに家で自炊まではしないけどね」
 しないではなく、できないの間違いだろう。
 「ああ、たしかにここで自炊とか、フツーに食中毒起こしそうですものねぇ」
 ついシミジミと本音が出てしまった。
 つくしもすぐに気がついて、あっと口を抑える。
 キョトンとつくしを見た類の顔がすぐに綻んで―――苦笑。
 「なにげにけっこうあんた、ひどいね」
 …あっちゃあ~。




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