「愛してる、そばにいて」
第6章 始まりの刻橋①

愛してる、そばにいて0385

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 …パ、パンツ履いてたんだ。
 じゃなくって。
 「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!!」
 下はパジャマのズボン、裸の上半身の肩にバスタオルを引っ掛けて、精悍な背中を見せる男に声をかけ、つくしが慌てて引き止める。
 「……なに?」
 「あ、あのっ、こ、ここ、どこなんですか?」
 いざ聞き返されるとあまりにいろいろと聞きたいことがありすぎて、何を話していいかわからず、とりあえずは無難なところから。
 が…、
 「俺んち」
 ガクッ。
 「い、いや、それはわかってるっていうか、たぶんそうだろうなっとは思ってました」
 「うん」
 それでなにがいけなのかと、キョトンと見つめ返される。
 髪の毛と同じ金茶色の髭に覆われた顔や裸の素肌は、かなり色味の濃い茶褐色で、あまり表情がわからなかったが、なぜか今彼が本当に不思議そうにしているのがわかる気がした。 
 …な、なんか調子狂う人だな。
 一見したこところでは、中年以降、かなりつくしよりも年嵩の男に思えたが、声の調子や話し方、体つきからして、もしかしたらむしろ彼女より若いくらいなのかもしれない。
 男は、どういう人種なのかという以前に、年齢さえも不詳だった。
 「えっとぉ、その…あたし、どうしてここに?」
 「もしかして、憶えてない?」
 逆に問いかけられ、つくしは懸命に昨日の記憶を探った。
 「たしか、昨日…昨日ですよね?」
 「うん」
 「あたしが、あなたの車の後ろに追突しちゃって…」
 言語道断な話だが沿道の様子に気を取られ、慌ててアクセルを踏んだ結果、前方を走行していた男の車の後部に突っ込んでしまったのだ。
 いわゆるオカマを掘ってしまったという状態に冷や汗だらだら、テンパって中々運転席から出られずにいたところへ、被害者である男の方が先に運転席を降りてきてしまった。 
 …そ、そうだ。
 一つ手繰れば、次々に記憶が蘇って、とんでもない事の顛末に引いたはずの汗が再び流れ出す。
 「思い出した?」
 「は、はいっ」
 なんだか男が楽しそうだと思うのは、彼女の気のせいだろうか?
 そして、案の定、
 「ぷっ、あんたって年齢に見合わずおっちょこちょいとか、落ち着きがないとか言われない?」
 「な、なんですかっ、それっ!?」
 初対面の人間に言われたいことではない。 
 悪意はなさそうだが、それにしても妙に男の態度は馴れ馴れしく、それが逆につくしのなけなしの警戒心を誘う。
 …男の一人暮らし(たぶん)に知らない女連れ込んじゃうなんて、絶対に普通の人じゃないよ!
 とはいえ、そんなところへ一晩泊まってしまった自分もいわんやなのだが。
 「慌てて運転席から出てきたと思ったら、すっかりテンパっちゃってさ?シートベルトしたまま降りようとするわ、ドア閉めたら閉めたでスカート挟んで泡食ってるし」
 「……………」
 「で、開口一発目、ごめんなさいと同時に最敬礼で頭下げたのはいいけど、ロクに前を見ないで頭を下げたもんだから、自分の車のサイドミラーに思いっきり頭ぶつけたりして、俺、なんのコントかと思ったよ」
 …あたたたた。
 さっきまで、まるで感じていなかった頭痛を頭頂部のあたりに感じて思わず呻く。
 男の言葉は、つくし自身にも思いっきり心あたりのあることばかりだ。 
 できればもう一度記憶喪失になりたいくらいだが、男の言うことはけっして誇張でもなければ、嘘偽りでもなかった。
 彼の言うとおりさんざんテンパって、自分の車の被害を確かめている男へと頭を下げるまでだけで、かなりの恥を晒してしまった気がする。
 そもそもとんでもない価格帯の超高級車にブツけてしまったという事実だけで、十分に茫然自失の事態だったというのに、車の凹みの確認にだろう、出てきた当の被害者はその車以上にいかにも只者ではない人物だったのだ。
 …こうして話してみると、そんなに変な人じゃないみたいだけど。
 見た瞬間は大真面目にマフィアか何かの関係者ではないかと思ったことは、口が裂けても言えそうにもなかった。
 しかし、日本人にはそういない長身に、口髭顎鬚、中近東系の茶褐色の肌色、年齢不詳なのはともかくとして、どうみてもカタギとは思えない人相風体。
 つくしではなかったとしても、とても冷静ではいられなかったに違いない。
 「ちょうど沿道の方で、猫が車に轢かれてどうのって死体が転がってたから、それ見てあんたいきなり倒れちゃったらしいんだよね」
 「……すみません」
 ガクッと項垂れる。
 「ま、そんなこんなで、救急車呼ぼうか迷ったんだけどさ。どうもあんた怪我してる感じでもなかったし、ただの貧血みたいだったから、あんまり派手な騒ぎになるのは俺的にもイヤだったんで、勝手して悪いけど俺んとこに連れてきちゃったんだ」
 「……はあ」
 つくし的にも、疚しい事など何もないが、それでもできればよけいな騒ぎは起こしたくない。
 「とりあえずあんたの車はうちの連中に運ばせて修理に出してる。たぶん夕方にはなおってると思うから」
 「重ね重ね、ご迷惑をおかけして」
 もはやそうとしか言えず、つくしは男へと向かって深々と頭を下げた。
 「うん。で、他に何かある?」
 「……えっとぉ」
 何かあるかと聞かれれば、ないわけではなかったけれど、今はこの突然の事態を飲み込むことで精一杯、それこそこれ以上何を男に聞けばいいのかわからなかった。
 そして、男の裸のままの上半身へと見るともなく目を向け、…カッと顔を赤らめる。
 男の裸などつくしにしてもいまさらな話で、10代の小娘でもあるまいにと自分でも思う。
 だが、まるで別種の生き物のような男の見事な肉体美に、妙な気恥ずかしさを覚えてしまったのだ。
 そんな彼女の戸惑いやドキマギした気持ちに気がついたのか、男が揶揄るような眼差しをつくしへ向けクスリと笑う。
 「なに?もしかして、昨晩のこと?」
 「えっ!」
 「ひどいな。……あんなに情熱的な夜を過ごしたのに、憶えてないとかってありえないんじゃないの?」




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