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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第四章 夢の続き①

夢で逢えたら147

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 『…。なんで朝っぱらからそんなに、鼻息荒いの?』
 寝起きにがなり立てられたのが頭に響いているのか、息も絶え絶えな小さな呟き声が返ってくる。
 「ちょっと、あんたまさか二日酔いだなんて言わないでしょうね?!」
 『正解…頭、痛いんだからあんまりデカイ声ださないで』
 弱々しい声音は哀願を帯びていて、レンを溺愛するつくしにしてみればメロメロになってしまいそうだが、ここは母として一言言ってやらねばならない場面だと、奮起する。
 「あんたね!どういうこと?大学復学してまだ日も浅いっていうのに、何よ、その自堕落な生活?いくら、単位や成績は足りてるからって、まだ親のスネ齧った未成年のガキが、二日酔いで昼まで寝てるってどういうことよっ!あんたを信用して自由にしている私の立場がないじゃないっ!?」
 『はう~、頭に響く~。頼むから落ち着いて。昨日は、世話になってたゼミの助手やってた先輩が、海外の研究機関に
引き抜かれての送別&祝賀パーティだったんだけど、俺がカモにされて呑まされまくったんだよ』
 「はあ?何よ、カモって」
 『…いや、まあ、いいんだけど。俺、この間、彼女にフラれちゃってさ』
 「何それ?彼女って、前の彼女と別れて、この間付き合い始めたばかりだって言ってなかったっけ?」
 呆れるつくしに、電話の向こうの息子は苦笑する。
 『俺まだ若いんだからイロイロあるでしょ?わざわざ、親に言うことでもないから言わなかったけど、まあ、その現場、ゼミの女友達に目撃されててさ。みんなの前で暴露されたわけ。で、けっこう彼女って大学内でも目立つタイプだったし、前の彼女のことも知られてたから根堀葉堀、飲まされてゲロしろってさ』
 自分も学生時代に身に覚え(もっぱら、司との関係をF3やT2に、だが)ある事ながら、当時はともかく大人になった今思うと本当に無邪気というか、バカバカしいというか。
 よくも他人の腫れた惚れたに、そう興味を持てるものだ。
 それに、フラれたと言いながらもあっけらかんとしているレンに、ジェネレーションギャップを感じる。
 単に、性格的な問題なだけなのかもしれなかったけれど。
 「まあ、お子ちゃまなあんたたちの交友関係はともかく、いい加減にしなさいよ?この間も、昼近くまで寝てたでしょ。あの時は、旅行から帰ったばかりで疲れてるだろうからって大目に見てたけど、もしかして、あんた私が仕事で忙しくて留守がちにしてたから気が付かなかっただけで、けっこう自堕落してたんじゃないでしょうね?」
 大真面目で問い詰めるつくしに、レンが困ったような甘え声を出す。
 『ないよ。ホント、信じてよ。同窓の連中も、みんなだいたい進路が決まって浮かれてるんだよ。俺の友達、もう単位も取り終わって研究室なり企業なり、もう進路が決定している奴がほとんどだからね』
 「あんたはどうなのよ?」
 『まあ、俺もある意味、結果待ち?単位はとれるだけとっちゃったし、卒論ももうだいたい概論は固まってて、文章に起こすだけだしね。日本に渡航する前に、メイルズフォート病院のバイトはいったん辞めちゃったから、次が決まるまで俺、フリーだし。なんだったら、キャシーの研究手伝うからバイト代出してよ?キャシーが辞めちゃった病院に、今さら俺が顔を出すのも気まずいよね?』
 お道化るレンに、追及を諦めるものの、どうやら、当初レンに電話した目論見が外れたようだ。
 「…まあ、いいけど。バイトの件は、あんた在学中かなり頑張ってたし、食うに困ってるわけじゃないから別に急いで探さなくてもいいわよ。あんた、そんなに浪費家じゃないから、今までのバイト料、なんだかんだで貯金してるんでしょ?」
 『う~ん、毎年日本旅行いってるから、そうでもないよ。今回は、ちょっと足を伸ばして遠出もしちゃったし…』
 そういえば、2ヶ月近くもの間家を留守にしていたというのに、レンが結局どこへ行っていたのか聞いていなかったことに、つくしは気が付いた。
 だが、チェックアウトの時間も近づいていることだし、その話は帰宅後にと思い決め、半ば諦めながらもレンに確認する。
 「…その様子だと、バイクで迎えに来て、って頼んでも無理だよね?」
 『事故ってもいいなら』
 「好きなだけもう一眠りしてちょうだい。大人しくタクシーで帰るわよ」
 やっぱりな返答にムクレながら、携帯を切ろうとしたつくしをレンが呼びとめた。
 『冗談だよ、話してたら目が覚めた。迎えに行くよ』
 「え~、事故って死ぬのはごめんよ~」
 『大丈夫だって。荷物、大丈夫?』
 「ちょっと増えたけど、あんたの背中と私のお腹の間に挟んで置けば大丈夫」
 『あ、そ。じゃあ、1時間くらい待ってて。一応、眠気覚ましにシャワー浴びてから行くよ』
 「わかった。じゃあ、ロビーにいるからよろしくね。適当に時間つぶすから、急がなくていいわ」
 電話を切ると、簡単に室内を点検して部屋を出る。
 そして、久しぶりのレンとのバイクでの二人乗りに、年甲斐もなくわくわくとしながら、1Fへのエレベータを待つ。
 高級ホテルのほとんど振動を感じさせないエレベーターを出ると、さすがに平日の昼前。
 ほとんど人の通りはなく、チェックアウトする客が数人フロントに見えるだけだ。
 つくしもチェックアウトと支払を済ませ、広大なエントランスロビーの一角、ソファセットの並ぶ窓際の席へと腰を下ろした。
 脇に設置されているマガジンラックには、今日の朝刊や雑誌が取り揃えられている。
 さすがにセレブも御用達の高級ホテルだけあって、司が取り上げられた三流ゴシップ誌などはセレクトの中にはなかったけれど、それほど需要があるとも思えないが、世界五大医療雑誌と言われるJAMA(アメリカ医師会発行)が置かれていて、レンが来るまでの時間潰しにパラパラと捲ってみることにした。
 もちろん、自宅ではこれらの雑誌は常に取り揃えていて、時間がある時にざっとは目を通している。
 けれど、その雑誌の裏に隠れるようにして重なっていた司の顔が表紙になっていた経済紙を見たい気持ちを誤魔化すために、わざわざ職業意識を高めて、雑念を払おうとしているのかもしれなかった。
 それでも、見るともなく目を通しているうちに、前々から注目していた医学者の論文に行き当たり、ついつい読み耽ってしまって、いつの間にか目の前に立っていた女にすぐには気が付かなかった。
 ふと手元の雑誌に落ちた影に、怪訝に顔を上げると、見覚えのない白人の女がニッコリ笑ってつくしに会釈する。
 つくしもつられて会釈を返すと、女は彼女の許可も取らずに目の前の席に腰を下ろした。
 「…初めまして、マーベル先生。ウーゴ・カルドーサの使いで参りました」
 「Mr.カルドーサ?どなたです?…えっと、私は存じ上げないのですが…」
 つくしの戸惑った顔に、女は愛想よく頷き、組んだ長い足の上で両手を組み合わせた。
 「あなたのご子息、レン・ローレンス・マーベルの祖父ルイス・アヤラの甥だと言えば、お分かりになるかしら?
私はロザーナ・ドミンゲスです」
 昼日中に空に昇った太陽の陽ざしが、雲に遮られて陰りはじめたようにつくしには感じられた。




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