「愛してる、そばにいて」
第5章 罰②

愛してる、そばにいて0377

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 「……おいおい、司ぁ。まさか、そりゃねぇだろうよ」
 「いいかげんにしろよ、司」
 司がいま見ているのは類だけだ。
 だから、総二郎やあきらがなにを言おうと、今の彼の耳にまったく入っていない。
 ただ目の前の、幼馴染みで親友であるはずの男が妬ましくて、憎くて仕方がなかった。
 自分が望んだつくしにとっての立ち位置を、容易くに手に入れ、それを価値がないものだと顧みることもなかったくせに、今更賢しげに自分へと忠告してくるこの男が。
 …俺とあいつのなにをわかってるっつーんだッ。
 「ハァッ、この前からやたらとお前に敵意をぶつけられるのも、いいかげんうんざりなんだけど。…お前がここのところ俺に突っかかってきてたのって、ようはそういうことなわけ?」
 「あいつの気持ちに気がついてなかったとか言うつもりかよ、まさか?」
 火を吹くような目で類を睨み、皮肉に笑う司の言葉に、さしもの類も一瞬言葉を飲み込み、だが力なく小さく笑んで首を傾げる。
 「知ってるよ、もちろん」
 「「……っ!」」
 「てめぇ!!類っ!!」
 飛びかかりかけた司を、総二郎がとっさに羽交い締めて止める。
 「でも、それこそ俺に関係ないことじゃん」
 「……類、もうよせ」
 あきらが類の肩を掴んで、止める。
 しかし、類もまたその手を振り払い、ソファから立ち上がってしまう。
 「別に司、俺はお前が心配してるような意味で、牧野にかまってるわけじゃない。…成り行きってだけだけど、ただ、ちょっと……」
 類からどんな言葉が飛び出してくるのかと、総二郎やあきらがヒヤヒヤと見守るなか、類らしくなく言葉をつまらせ迷っている風だった。
 「ただ、ちょっとなんだっつーんだよ?」
 「………ふぅ。悪い、なんでもない。らしくないお節介は辞めるよ」
 類が投げてしまう。
 「逃げんのかよ?類」
 司の挑発にも肩を竦めるだけで応じようとはしない。
 だが、司の顔は少しも晴れることなく、敵意と嫉妬もあらわに宣言する。
 「俺はあいつと結婚する」
 「「「…っ!」」」
 類を含めた全員の視線が司に集中した。
 「二度と…俺とあいつの間のことに、誰も口を出すんじゃねぇ。…あいつに構うな。俺の警告に従わねぇつもりなら、たとえお前たちといえどただじゃすまさねぇぞ」
 司の恫喝を含んだ宣言に、ホンの一瞬驚きを表に出した類だったが、すぐにいつもの無表情が彼の顔を覆ってその真情を隠してしまう。
 「そう、わかった。…お好きに?」
 「おい!類、どこに行くつもりだ」
 「帰るよ、自分の家にね」
 呼び止めるあきらの手を振り払って、ヒラヒラと手を振り、あとは振り返ることなくその場を立ち去ってしまう。
 ざわつく周囲の好奇の目を厭い、あきらがため息をついて司と総二郎を促した。
 「俺たちもここ移動しようぜ」
 「わり、俺も帰るわ」
 「総二郎!ずりぃぞっ」
 「あとは頼むな、あきら。じゃあな、司。牧野にもよろしく言っておいてくれ」
 要領のいい総二郎は、これ以上の面倒はゴメンだと、さっさとあきらに司のお守りをフって、そそくさと挨拶を残し退散してしまう。
 居残らされてはたまらないとあきらも離脱しようとして、牛も絞め殺しかねない凶悪さで類の立ち去った方向を睨んでいる司の形相に諦める。
 「仕方ねぇ。そんな顔したお前を一人残してここから俺まで帰っちまったら、マジで何が起こるかわかりゃしねぇしな」
 「お前も帰りたいなら…さっさと帰れっ」
 「どれだけそうしたいか…まったく。とにかくとりあえずはここ移動しようぜ?牧野も具合が悪そうだったし、トイレで倒れてる…なんてこともあるかもしれねぇぞ?」
 もちろん司の気を引くためのまったくの口から出任せだったのだが、カッと目を見開いた司が、踵を返してつくしを追いかけてしまったので、慌ててあきらもその後を追う。
 そのまま野となれ山となれと、司を放置して帰る誘惑に大いに駆られもしたのだが…結局、断念する。 
 「…しょうがねぇ、毒食らわば皿まで。これも俺の役回りだもんな。はぁ~」




******



 司がつくしを追って化粧室へと向かうと、意外にもつくしはトイレではなく、そのすぐ傍に設置されている休憩用のソファに腰掛け、携帯電話を片手にぼんやりと画面を眺めていた。
 なんだかんだとここに辿り着くまでに、知り合いに声をかけられ、中には無視できない相手の雑談に付き合わされ、それなりの時間が経過していた。
 「……おい?」
 司が間近に立ってもすぐには気がつかず、声をかけられ、初めてハッと彼を仰ぎ見る。
 その頬には涙の痕はなかったけれど、虚ろな彼女の目に罪悪感が強くこみ上げた。
 再び俯きがちに前を向いてしまい、彼から視線を外したつくしの横へと、司も黙って腰を下ろす。
 ゴクリと何度も唾を飲み下して、乾いてしまった喉を潤す。
 そして、痩せた小さな手に手を伸ばして、そっと握り締め、つくしを見ないままに口を開いた。
 「さ、さっきは、わ、悪かった」
 「……………」
 どうしてもどもってしまう。
 これまで、司は他人に礼をいったり、謝るということをしたことがほとんどなかった。
 それ以前に、他人に対して、感謝したり申し訳ない気持ちになったこと自体がなかったからなのだが、つくしの寂しげな横顔に言わずにはいられなかったのだ。
 突然の謝罪にキョトンとしているつくしを司は真っ直ぐに見れず、どうしても誠意ある態度とは言い難かったが、それでもつくしにしてみれば晴天の霹靂だっただろう。
 「な、なんか言えよ」
 「……なんかって」
 「あ、謝ってるだろ?」
 「……………」
 謝罪しておいて、偉そうなものだったが、それでもどうにかこうにか言いづらかった言葉を言い切ることができたので、司の方の気まずさもわずかに和らいだ。
 「お前を侮辱するつもりじゃなかった。…これまでもずっと。ただ、お前に俺の気持ちを上手く伝えられなくって…もどかしくて、お前に八つ当たりしちまって…ごめん」
 「……………」
 「おい!なんとか言えってっ!」
 恥ずかしさに耐え切れず、一人テンパって、無言のつくしを振り返って、結局はいつものように返事を強要してしまう。
 が―――、
 「お、お前、な、な、なに、泣いてんだよ?」




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