「愛してる、そばにいて」
第5章 罰②

愛してる、そばにいて0376

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 シドロモドロに言い訳をしようとして、上手く言い繕えずに司が悪態をつく。
 …ちゃんと言わねぇと。
 もしかしたら、つくしは類の前で恥をかかされたのを哀しんでいるのかもしれなかった。
 だが、たとえそうなのだとしても、司が彼女をむやみやたらに傷つけることの言い訳にはならないのだ。
 「牧野…」
 「…あたし、ちょっとお化粧室に行ってきてもいいかな?」
 しかし、つくしの口から出てきたのはまったく別のことで。
 「は?」
 「…おトイレ。なんかちょっと気分が悪いから」
 「あ、ああ」
 皮肉ではなくどうやら本当に具合が悪いのか、わずかに顔を青ざめさせ、吐き気を堪えるように、つくしは口元に手を当てている。
 別館で過ごすようになってからは、彼女のつわりの症状もだいぶ和らいでいるようではあったが、どうやらつくしの場合は精神的なものが大きく影響しているらしく、収まったりぶり返したりを繰り返していた。
 ただでさえ、栄養失調を医者に危惧されているのだ。
 そうそう無理をさせたり、これ以上の打撃を与えるわけにはいかない。
 …仕方ねぇ、もう帰るか。
 パーティに出席して、まだそれほどの時間が経ったわけでもなければ、めぼしい人物たちに紹介できたわけではなかったけれど、彼女の体調が第一だと司は帰宅を検討する。
 「…大丈夫か?」
 「たぶん」
 「俺も一緒に…」
 「男の人についてこられるのはかえってイヤだから、あんたはここにいて。あたし一人で行く」
 「あ、……ああ」
 さっきの今だ。
 司にしてもつくしに対して負い目があったから、それ以上無理強いすることなく、しかたなく承諾する。
 先ほどの失言を取り戻したい気持ちがだんだんと強まっていて、司としてはどうにも落ち着かないが、いくら傲岸不遜の彼にしても、つくしがサックリと終わらせてしまった話をいまさら蒸し返すこともできずに歯噛みして、為すすべもなく席を外す彼女の後ろ姿を見送るしかなかった。
 結局、総二郎とあきらも、いまだにその場を離脱するタイミングを逸して、それぞれに腰を下ろしたまま。
 しかし、いつまでもここで燻っていても仕方がないと、まずは総二郎が口火を切る。
 「えっとよ、司も戻ってきたことだし、そろそろ俺は帰るわ」
 「なんだよ、総二郎。ずいぶん今日は早いじゃねぇか?」
 「…いや、目星い女でもいれば、と出向いてきたけどよ。なんか雲行きも怪しいし、誰かさんたちのおかげで、ちょっともうそういう気分でもなくなっちまったからな」
 あきらかに司へと当てこすってくるのに、司が鼻を鳴らす。
 「家にまっすぐ帰るのか?」
 「いや…約束あったんだけど、どうすっか」
 白けた表情からして、言葉の通り総二郎的にもかなり気疲れしているのかもしれない。
 とは言え、
 「ま、適当にバーかクラブにでも繰り出して、今夜、一緒に夢見る相手探してもいいし、あきら、お前はどうすんだよ?」
 「…ん、俺の方もちょっと会いたくない顔ぶれにチラホラ出くわしたしな。さっきも司が来なかったら、七面倒くせぇことになるところだったし、…俺も今日のところはお前と一緒に繰り出して、適当にナンパでもすっか」
 「お、いいねぇ」
 やはり総二郎は総二郎で、あきらもあきらというところだろう。
 とりあえずはと、阿吽の呼吸で合意して、
 「類、お前はどうする?」
火種になりそうな類を、あきらが回収を図る。
 「さっき向こうでメモ渡してきた女と待ち合わせてんのか?」
 「…まさか。ああいう化粧臭い女、俺の好みじゃないし」
 お前に静以外の女で好みの女などいるのか、そうツッコミたいところをそれぞれの内心で留めるのみにする。
 「じゃ、俺らと一緒に来いよ」
 「………ホント、すっかり骨と皮だったね」
 あきらの誘いに返事を返すことなく、突然ぶっこむ類のセリフに口を噤んで、とっさに総二郎と顔を見合わせ、そのまま司へと視線を流す
 当然、司もその言葉を聞き逃すはずもなく、一時は収まったかに見えた緊迫感が再び戻った。
 しかし、そうした空気を呼び込んだ男は、あいかわらずの飄々とした態度で何食わぬ顔をしたまま、なおも爆弾を落し続ける。
 「司、お前の趣味って、自分の女を骸骨みたいに変えることだっけ?」
 「どういう意味だ」
 オクターブ低くなった声音には、あきらかな恫喝。
 さすがに幼馴染みの彼らでさえも、たじろがずにはいられない危険を孕んだ声音に、さっさと離脱しようとしていた総二郎とあきらも、そのままこの場を離れては取り返しのつかない決定的な事態が発生するのを危惧して、しかたなくその場に留まざる得なくなってしまった。
 「…類、やめとけよ。昔から、ことわざでも言うじゃねぇか?ほら、人の恋路を邪魔するやつは…てよ」
 「恋路…ね。まあ、司はそうみたいだけど、あんなになってるあいつ見て、お前らは可哀想になんないの?」
 「「可哀想っ!?」」
 思わぬ人物からでた思わぬ言葉に、総二郎とあきらがハモって素っ頓狂な叫び声をあげる。
 しかしすぐにも周囲の目を気にして、さりげなく注目していて目があった相手が女性の場合に限っては、ニッコリ愛想笑いでケムに巻く。
 「可哀想?可哀想っつーたか、お前?」
 「だね。俺もあんまそういうの感じたり思ったりすることないから、自分でも意外だけどさ。司…お前はいったいどうしたいんだよ?」
 いつか総二郎も司に問いかけた疑問。
 「お前のやってることを見てると、とても惚れた女にすることのようには見えない。…ガキの頃から、お前を知ってる俺からしてみれば、それもある程度理解できなくはないけどね。でもどうすんの?あいつ囲って、飼い殺しにでもするつもり?」
 「てめぇっ!言うに事欠いて」
 ガッ!
 ソファを蹴倒す勢いで司が立ち上がる。
 存外に大きな音がたって、今度こそ周囲の注目を浴びてしまう。
 …いや、もともと彼らは注目を浴びてはいるのだ、常にどこにいても。
 ただ彼らの勘気を恐れて、許されぬ限り阿る人間たちは遠巻きに眺めているだけのことなのだ。
 「つ、司、寄せよ、こんなところで」
 「…まじぃぞ。さすがにここで暴れてみろ、お前だってただじゃすまねぇだろ」 
 小声でコソコソと総二郎とあきらが嗜めようとするが、怒れるライオンさながら、司が前のめりに類を睨み据える。
 一方ソファに腰掛けたままの類の顔は、あくまでも怜悧に冴えて淡々としている。
 実際に、つくしに対して真剣に惚れ込んで、叶わぬ想いに鬱屈を溜め込んでいる司の方が、あくまでも第三者でしかない立ち位置の類よりも、ずっと余裕などあるはずもなく切羽詰っているのだ。
 「類、お前こそ、どうしてぇんだよ?静以外のヤツになんかロクに興味も関心もないくせに、やたらと牧野のことには構ってんじゃねぇか?まさか、静がダメだったから、あいつに乗り換えようって言うんじゃねぇだろうな」




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