「愛してる、そばにいて」
第5章 罰②

愛してる、そばにいて0373

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 「ど、道明寺」
 小さく震えを帯びた声を上げ、驚愕しているつくしをなおいっそう司はぐっと抱き竦め、身動きできないように封じてしまう。
 対峙する類の方は、一方的に敵意をブツけて威嚇してくる司や動揺しているつくしとは真逆に、表向きどこまでも冷静だった。
 しかし、わずかに視線を上下させ、言葉に迷っているようだと思ったのは司の穿すぎだったのか。
 「…ハァ。なにを話してたか…と言われも、大したことなんて話してないし、それはそこの彼女に聞けばいいんじゃない?」
 空惚けた物言いに、司がさらに目を険しくする。
 「触った…とか言われても、俺としてはなんのことやらとしか言えないんだけど…」
 「…触ってねぇって言うのかよ」
 あきらかに疑ってかかっている司の喧嘩腰の物言いに、たまらず総二郎が割って入る。
 「なに、見当違いの嫉妬こいてんだよ?たかが女のことで、ダチ相手に目くじら立てたりよ、みっともねぇことすんな。お前、らしくねぇぞ?」
 類に向けていた怒気を、一瞬だけ総二郎へと移して怒鳴りつける。
 「うるせぇっ!関係ねぇヤツは黙ってろっ。らしくねぇも、らしいも、てめぇに言われる筋合いはねぇんだよ。何が嫉妬だ。そんなんじゃねぇっ!俺が言ってんのは、自分のモノを俺の預かりしれねぇところで、勝手に弄られるんのが我慢できねぇって言ってんだっ!ダチならなおのこと、俺の性格知ってんだろっ!?」
 類や総二郎、あきらよりもむしろ胸の中のつくしの方が、司の怒声にあてられ小刻みに震え出す。
 それを感じながらも、司は止められない。
 いつか見せられた映像が、毒を含んだ言葉が、脳を焼き心を蝕んで嫉妬に身悶えさせる。
 ―――牧野さんって、花沢さんのこと好きなんですよ。
 ―――二人でジッと見つめ合ったりして、傍目に熱々の恋人同士のような雰囲気でしたわ。
 「司、お前が何をどう疑ってんのか知らねぇけどよ。こいつら別に二人っきりだったわけじゃねぇし、お前がこっち来た時だって、類と牧野は離れて座ってたよな?」
 「…総二郎、お前、ずっとこいつらと一緒だったのかよ?」
 「あ~」
 突っ込まれて、総二郎が視線をさ迷わせる。
 言葉を濁したことが答えだった。
 「まあ、ちょっとだけだ。ホンのちょっとだけ、知り合いの女見かけたからよ。席外しはしたけど、それもあきらがお前を探しに出かけてた束の間だけのことだって」
 バツが悪そうな総二郎を視線で黙らせ、今度は矛先を腕の中のつくしへと向ける。
 「なに話してた?」
 それでも司は激情を抑えていた。
 どうしても憤りを隠せない眼光の鋭さはともかくとして。
 だが、その冷たい表情と抑揚のない声音が、あきらかにつくしを怯えさせ萎縮させてしまっていた。
 それでも黙秘する無益と危険を熟知しているからだろう。
 つくしが消え入りそうな小さな声で口を開く。
 「大したことは話してない。ただ、しばらく会ってなかったから、元気だったかとか、ここのところどうしてたのかとか、…そんな挨拶程度だよ。すぐに西門さんが戻ってきて、その後は花沢類と西門さんが二人で喋ってるのを、あたしは見てただけだから」
 ジッとつくしの顔を見下ろす。
 「本当に、それだけか?」
 「後は、その…、あんたと付き合ってるのかって。…あんたに言われたからって、花沢類が」
 「…ふぅん?」
 類の方は元々自分の気持ちを容易に他人に悟らせるような男ではない。
 親友の司相手に平然と嘘をつくとまでは言わないが、何食わぬ顔でシラを切るくらいのことは平気でする。
 つくしの顔は、隠しきれない司への怯えを浮かべてはいたが、疚しさは見えない。
 「で?お前はなんて答えたんだよ?」
 「…………そうだって。だって、あんたがそう言ったんでしょ?」
 不本意そうなその顔に浮かんだつくしの表情があまりに正直で、わずかに司の怒気が薄れて苦笑させられてしまう。
 そんな風にすぐに顔や態度に出る女だったから、そこは嘘ではないのだろう。
 しかし、なにを話していたかと聞いた司の問いに、一瞬動揺を見せたように思うのは司の嫉妬の見せた妄想に過ぎなかったのか?
 …心はわかんねぇ。
 たとえ実際に何かがあったわけではなくても、つくしの中に、あるいは類の中に、司の恐れるなにかの兆しがあったのではなかったか。
 「せっかくのクリスマスパーティなんだぜ?そうカリカリすんなよ?」
 適当な頃合を見計らって、あきらがいつのものように仲裁に入る。
 あきらのセリフに虚を突かれ、すでにある程度頭が冷え出していた司も、剣呑な雰囲気を引っ込め威勢を緩めた。
 カッカと頭に血を昇らせている間は、司になにを言っても仕方がないことをあきらもよくわかっている。
 だから、わずかに彼が気を反らせたその絶妙なタイミングで、その場の雰囲気をさっさと変えてしまおうとあきらが総二郎へと目配せする。 
 それに応えた総二郎が、司の肩に手を置いて、俯いてしまっているつくしの顔を覗き込んだ。
 「へぇ?」
 「…近寄んな、総二郎」
 「司、お前なぁ…ハァ」
 つくしに興味の欠片もない総二郎にさえ威嚇して、牽制してくる司に呆れ果てる。
 「総二郎、やめとけ」
 制止するあきらの声音も、苦笑い。
 男は女によって変わると言うが、司の変わりようはあまりに激変というもので、彼のつくしに対する独占欲の強さには、総二郎とあきらも戸惑わずにはいられなかった。
 …これが、女は醜い生き物だとか言って、毛嫌っていた男かよ?
 …マジ、この目で見ていても信じらんねぇ。
 目と目で語り合う。
 そして、そうしたものから来るのだろう、司のつくしの所有権を主張した示威行為には、幼馴染みの彼らをして空恐ろしささえある。
 だが、それがよけいに彼のつくしへの…つくしの司への気持ちに対する自信のなさの表れなのが、百戦錬磨で色恋沙汰には先見の明がある二人からすれば丸分かりだった。
 しかし、総二郎は素知らぬふりで、あえて全く別のことを口にする。
 「まあ、司の気持ちもわかんねぇじゃねぇよな」




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