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「愛してる、そばにいて」
第5章 罰②

愛してる、そばにいて0369

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 「あきら」
 「……美作さん」
 「お、牧野じゃないか」
 ちょうど司の影、死角になっていたからだろう、つくしがそこにいることにあきらが驚いて目を見開いている。
 「ずいぶん久しぶりだな」
 「………あ、…かな」
 さすがにあからさまにではなかったが、あきらが密かにつくしを観察して眉根の寄せているのに、司も気がついていた。
 毎日見ている司などは今はもう見慣れてしまっていたが、久しぶりに彼女と会ったあきらなどからしたら、つくしの更なる変貌に目を見開かずにはいられないのだろう。
 それが良い意味か、それとも悪い意味なのか、あるいはその両方の意味であるのかもしれなかったけれど。
 「元気だったか…っていうのも変な話か。めったに学校になんか行かねぇ司だけならともかく、毎日登校していたお前まで通学しなくなって、いったいどうしたのかと思ってたんだぜ?」
 「……………」
 つくしの曖昧な笑みはどこか冷たく、彼女の心のうちを覗かせない。
 あけっぴろげで、裏表などなく分かりすぎるほどにわかりやすかった少女が、こんなにも変わってしまったのだ。
 「総二郎は?来てないのか?」
 ざっと司が見回した範囲に、あの洒脱な男の姿が見えない。
 「それとももうどっかの女引っ掛けて、フケやがったのかよ?」
 「まあ、それも時間の問題だろうけど、まだあっちにいるぜ。今日は総二郎と俺だけじゃなく、類とで3人だからな。賑わいすぎて、逆にツーショットになりにくいんだよ」
 「…え?」
 たいして司とあきらの会話に興味を示しているようではなかったつくしが、驚いて声を上げてこちらへと視線を向けてくる。
 そんな彼女を冷たく見やり、司が問い返す。
 「類、来てんのかよ?」
 「ああ。最初は来ねぇとか言ってたんだけど、気まぐれな奴だからな」
 「……………」 
 「……………」
 一瞬、類の名前に反応したように見えたつくしだったが、結局それ以上は、何かをあきらや司に問いかけることもなく、手の中の皿をジッと見下ろしたまま、会話に加わろうとはしなかった。
 だが、司だけは彼女が唇を噛んだことに気がついていた。
 たったそれだけのことが、むしょうに腹立たしい。
 …牧野は、類のことを気にしてる。
 そう憶測するだけで、腸が煮えくり返るような嫉妬に突き動かされて、つくしを引きずって帰りたい衝動に苛まれた。
 F4の中ではわりに気遣いで、フェミニストでもあるあきらが、会話の輪から外れて一人黙りこくるつくしを気にして、何くれとなく話しかける。
 「青池だっけ?牧野、よくお前と一緒にいたやつ」
 「え?和也くん?」
 「おお。あいつ、お前がいなくて学校で孤立してるみたいだけど、めげずに頑張って学校来てるぜ?」
 ハッとつくしが司を見上げた。 
 「道明寺!あんた和也くんにまだひどいことっ」
 俯いてばかりで、まともに司を見ようともしていなかったつくしの久々に強気な声に、司が片眉を上げ、しかし、拗ねたように唇を歪めただけで、両肩を竦めて投げやりな態度をとる。
 つくしが自分以外の男のことに興味を示したり、関心を示すのが気に入らないのだ。
 たとえ、それがなんの理由からであったとしても、彼女が気にするのは自分のことだけでいい。
 「…知らねぇよ」
 つまらなそうで投げやりな司の物言いに、つくしの眉根も寄ってしまう。
 しかし彼女にしても、もはや司の天邪鬼な性格は重々承知している。
 下手に問い詰めて機嫌を損ねてしまったら、今はどうやら忘れていてくれるらしい和也のことを、逆に虐げるくらいのことは平気でする男だと思い至ったのだろう。
 つくしはさっさと司に見切りをつけ、彼よりはよほど常識人のあきらへと向き直った。
 「美作さん、和也くんどうしてるんですか?赤札はまだ撤回されてないんですよね?」
 あきらはチラリと司を見やり、あまりご機嫌がよろしくなさそうではあっても、特にがなりたてる様子もないのを見てとって、つくしの問いかけに頷く。
 総二郎同様、あきらも司を恐れているわけではないが、それでも司の天邪鬼具合はつくし以上に熟知しているのだ。
 こんな場所で波風を立てるほど酔狂ではなかった。
 とはいえ、彼女ほどに和也に同情を寄せているわけではなくても、あえて加虐を推奨するほど歪んでもいなかったから、和也を心配するつくしの気持ちもわからないではない。
 ただわざわざ司を止めるほど、善人ではないだけのことで。
 「撤回はしてないっつーか、司が一度貼った相手の赤札を撤回したことねぇんだよな。こいつバカだから、貼った相手のことなんか一々憶えてもいねぇしよ。そもそも赤札貼られて、みんなそんなにもたねぇうちに学校辞めてくし、わざわざ司や俺らが手を下すまでもなく、周囲の連中があれこれやるだろ?」
 そこらへんはつくしもわかりすぎるほどにわかっていた…経験として。
 「………ホント、サイテー」
 潜められずそのまま吐き出された憎々しげなつくしの声は、存外司やあきらの耳にもそんままに入って、あきらを苦笑させ、憮然とした司の顔をなお渋いものにさせた。
 以前はなんとも感じなかっただろう。
 他人にどう思われようと、言われようと気にしたりしないし、気に入らなければ踏み潰してきたのだから。
 とはいえ今もなお、司が気にして気になるのは、結局のところつくしの言動…気持ちだけなのだ。
 「まったくだな」 
 あきらの同意の言葉に、つくしばかりか司も驚く。
 意外さに思わず顔を向けた司に、あきらが肩を竦めた。
 「だって、本当のことだろ。…サイテーなことだとわかっていて、そのサイテーなことをするのも平気だっただけだ」
 「……ふん」
 鼻を鳴らす司も同意だということだ。
 別に彼らにも、善悪の認識や常識がないわけではなかった。
 彼らのーーー彼らの親が持つ強大な権力や財力が、たとえ悪を成したといても、彼らを咎めることも排斥することもできずに、むしろ悪の象徴のように力強く…魅惑的な存在として君臨させてきただけのことだったのだ。
 「曲りなりにとも学校も辞めずにいるっていうのは、お前とあの青池ってやつだけだな」
 「………それで、和也君は」
 つくしの顔が心配そうに歪んで、すがるような顔であきらを見上げる。
 ―――自分にはけっしてしたことがない表情。
 そんなつくしの顔を見ているうちに、司がイラつき出す。
 「和也、和也、うるせぇな」
 「司?」
 「…道明寺」
 司の顔に歪んだ笑みが浮かび、ここしばらくすることのなかった昏さを覗かせる。
 つくしがさんざん思い知っている彼の狂気の一面。
 「そんなにそいつのことが心配なら、それこそ後腐れねぇように退学にしてやろうか?わざわざ俺自ら手を回すっつーのも面倒だけどよ、自分から辞めねぇつーもん仕方ねぇよな。サクッと辞めさせてやんよ」




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