「愛してる、そばにいて」
第5章 罰②

愛してる、そばにいて0366

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 「いいから乗れって」
 戸惑って躊躇しているつくしの手を強引に掴んで、司は彼女の腕を自分の首に回させてしまう。
 「たく、なにグズグズしてんだよ。毎回毎回一々、いまさらだろっつーの」
 なんとなく照れ臭くて、つい語気の荒いぶっきらぼうな物言いになってしまう。
 「ほれ!しがみつけ」
 「…………わかった」
 それこそ今更なのに、首筋に触れるつくしの甘い吐息にさえドキドキして、一々ときめいてるのは自分の方なのだ。
 無言の時間が妙に落ち着かなくて、さっきまではまったく気にもならなかった、下生えを踏むサクサクという音さえもが妙に耳につく。
 …やっぱ、あれ見せるか。
 日が落ちて、すっかり夜の闇に閉ざされてしまった夜空を見上げ思いつく。
 見えてきた別館の玄関口ではなく、建物の周囲をぐるりと回り込んで、司は裏口へと移動した。
 キョロキョロと周囲を見回してるところからして、つくしも彼がわざわざ裏へ回ったことに気がついたのだろう。
 「下ろすぞ」
 一声かけて、小さな体を慎重に背中から下ろした。
 「……?」
 暗闇に慣れてきた目に、中庭の低木が作る垣根や植栽が見えてくるが、地面に埋められた外灯のわずかな光で見えるだけのそれは、今はまだ特に目を惹くようなものではない。
 不審げなつくしをそのままに、司は壁際を探って設置させておいたスイッチを見つけて手をかける。
 ガッチャン。
 ポ、ポ、ポポポポ。
 「え…………」 
 一ヶ所を起点にライトアップした電飾の灯が、まるで川の流れのように庭中を広がって、壮大なイルミネーションを作り出す。
 赤や黄、青いライトが一固まりになり、あるいは散らばって、植栽をキャンバスに飾り立てた。
 元々動物をモチーフに刈り込まれた低木が、そのキャンバスにアクセントを作って、まるで庭全体が一つのアトラクションのようだ。
 「…凄い」
 「けっこういいだろ?」
 玄関のモミの木のイルミネーションよりもさらに派手やかなで壮大な光の饗宴に、つくしは言葉を失い棒立ちに見入っている。
 「なんで、こんな」
 こんなところに、こんなものを作ったのかと聞きたいのだろう。
 柔らかく微笑んだ司は、隣に立ってイルミネーションの輝きに釘付けになっている彼女の華奢な肩を抱き寄せ、その白いうなじに口づけて、できるだけの優しさと愛しさをこめ、そっと甘く囁く。
 「お前のためだ」
 「………………」
 ビクリと肩を震わせたつくしが、ゆっくりと司を振り返り、目と目が合い…見つめ合う。
 「お前の為になら、なんでもしてやるって言っただろ?それなのにお前が何もいらねぇっつーから、俺がしてやるんだ」
 …たとえお前自身が望まなかったとしても。
 「お前のためだけの庭だ」
  ジッと彼を見るつくしへと顔を傾け、小さく開いているその唇へと柔らかなキスを落とす。
 「……ん」
 小さく溢れたつくしの甘い声音に、2度、3度と触れるだけのキスを繰り返し、ギュッと抱きしめた彼女の尻の下に腕を入れ、司は軽々とつくしを縦抱きに抱き上げた。
 「…きゃっ。こ、怖いよ」
 「俺がお前を落っことすわきゃねぇけど、しっかり俺の首ったまに掴まってろよ」
 にやけながら、しがみつかせたつくしを腕に、司は光の庭へと足を踏み入れてゆく。
 「本当はXmasイブの日のサプライズにしようと思ってたんだけどな。上手く行けば雪が降って、ホワイトクリスマスでよけいにいいんじゃねぇかってさ。でも、どうも期待どおりとはいかなそうだし、今日見せちまった。どうせだから、雨が降り出さないうちに、もうちっと見ていこうぜ」




*****




 ざっと身支度を済ませ、つくしの支度が終わるのを待ってかれこれ30分。
 見るともなくネットサーフィンで時間を潰していた司だったが、ざあああっという雨音に手の中の携帯電話から窓の外へと視線を移した。
 やはり予想していた通り、今日は雪ではなく雨のようで、先程まではどうにかこうにかもっていた天気も、ゲリラ的な激しい豪雨になり、司はうんざりと溜息を落とす。
 ガーデンパーティではないのは幸いだし、ほとんどドアtoドア、彼が屋外を歩くことはないとはいえ、それでもやはり雨の中の外出は憂鬱だった。
 …ま、今回はかったりぃ付き合いでも牧野がいるしな。
 傍らに着飾ったつくしを侍らせ、自分のモノだと見せびらかせると思えば、いつもは億劫な付き合いもそれはそれで悪くないものだと思う。
 昨日、イルミネーションを見せた後、つくしと二人で一緒に食事をし、そのあとの時間をそれぞれに読書をしたりネットサーフィンをしたり…ここのところのつくしはだいぶ回復してきたのか、何もしないでボウッとしてるだけという時間が減ってきている。
 昨日も、特に何かしていたというわけではないが、それでもテレビを観て、少しはその番組の内容に笑ったりしていたから、ちゃんと内容も頭に入っていたのだろう。
 そして、何より彼女の態度が軟化しているように感じられて、司は嬉しかった。
 もちろん、相変わらず自分から話しかけたり、アクションしてくることはほとんどない。
 しかし、それでも概ね司が話しかければ返事くらいはするようになってきている。
 また、多少なりとも口数が増えているような気がするのは、彼の希望的観測というやつだけではないはずだった。
 …雨じゃなきゃ、やっぱイブにもう一度イルミネーションを見せてやりたかったよな。
 この様子からして、天気予報のとおり数日は晴れ間が覗きそうにもない。
 それでも部屋の窓から見下ろしながらというのでもいいかとか、あるいはまた違うロマンチックなシチュエーションを作ってやるか、などなど、司は内心であれこれ画策しては一人でニヤついてしまう。
 彼は、イブの日につくしにもう一度告白するつもりだったのだ。
 今度こそ勢いやヤケ、あるいは怒りに任せてではなく、真摯な気持ちを伝えたい。
 この出口の見えない悪循環を断ち切りたかった。
 そして、妊娠のことを告げなければならない。
 一度にあれこれ告げても、つくしを混乱させてしまうのではないかという危惧もないではなかったが、それでもおそらく現在、彼女の腹の中には司の子がいるのだ。
 いつまでもグズグズと思い悩んでいる暇はない。
 こうしている間も、その週数は進んで胎児は待ったなしで育っているはずだ。
 「早いとこ検査も受けさせねぇとな」
 告白して、次の日には婚約指輪を枕元に置いてやる。
 そこまでしてやれば、前回…つくしの親の前で‘結婚’を持ち出した時にはありえないと拒絶反応を起こし、彼の本意には半信半疑のようだったつくしも、さすがに彼が本気だと理解するだろうし、腹の中の子供のこともあるのだ。
 ―――もはや彼からは逃げることなどできないのだと諦めるだろう。
 いやむしろ、彼の真摯な気持ちがわかって喜ぶのではないか。
 『あんたも意地になってるだけで、あたしを好きなんじゃない』
 …そんなことはもう二度と言わせねぇ。
 遊びや嫌がらせなどではなく、彼が本気なのだとわかれば、今までのいきさつが単なる不幸なすれ違いにすぎず、司のような凄い男に見染められて、どれだけ自分が幸運に恵まれたのか、鈍感で強情な彼女だとて気が付くに決まっている。
 …そうだ。
 つくしの両親も言っていたではないか。
 誠意ある話だ。
 望もうと思ったとしても望めない素晴らしい話なのだ。
 これで苦もなく、幸せになれる、と。
 まさに自分なら、それこそどんな演出だろうと、未来であっても、彼女の望むものすべてを叶えてやれるのだ。
 …それこそ毎日が、クリスマスパーティみたいな人生だって送らせてやれるんだからな。
 腕時計を確認して、舌打ちする。
 「チッ、ずいぶん長げぇな。いったいいつまでかかってんだよ」




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