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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第四章 夢の続き①

夢で逢えたら145

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 ここのところ、あきらが日本に定住しているせいか、わりと頻繁に総二郎と顔を合わせるようになった。
 そうはいっても、互いに多忙な身、気が付けば数週間とか過ぎているが、パーティ会場で会えばその帰りに一杯よそでひっかけて帰るくらいの時間はある。
 類とはこの十数年両手で足りるほど、司にいたっては片手にも満たないのだから、その頻度は伺い知れるだろう。
 その日も、さる大手商社の社長令息の婚約披露パーティの帰り道でのこと。
 時間が時間なため、あきらの車で送ってもらいがてら、先日から懸念のことを話し合った。
 「…どう思う?」
 唐突に総二郎からふられた話題に、それでもあきらも気になっていたからすぐに思い当たった。
 「桜子と滋の話か?」
 「ああ」
 「どうにもこうにも荒唐無稽な話で。あいつの気持ちもわからないでもないけど、司や類が惚れたから、即牧野が生きていた…つうのもな」
 「だよな。類はともかく、司にとっちゃ、牧野は初恋の女だったんだ。似た雰囲気や仕草の女に惚れたって、全然不思議じゃない。むしろ自然だと思うぜ」
 だというのに、なぜか、無視できないのだ。
 理性で理解しようとするから信じられないのか、果たして本能の理解であるのか、2人には判別しがたい。
 2人にとっても、牧野つくしは忘れがたい友人だった。
 あんたたちは井ノ川の蛙なのだと真っ向から言い放ち、立ち向かい、戦い、そして彼らにそれを思い知らせた。
 その中で、司と類がつくしに執心し、あきらや総二郎にも鮮烈な印象を残した。
 そして、あきらにとっても、誰にも言えないことであるが、司や類に準じるような思い入れもある。
 マダムたちとの恋愛遊戯に悦に入っていたあきらにとって、もしかしたら、ある意味初恋と言ってもいいような淡い純粋な想いだったのかもしれない。
 それだけに、判断に慎重を期する。
 思い思いに自分の思考に囚われていたが、ふとあきらは思いついて、総二郎に問い掛けた。
 「それよか、お前、麻紀乃のことは司と話したのか?」
 「あ~、実はまだ。一度、司から連絡あったんだけど、ちょうど俺は講演会の真っ最中でな。その後もなんだかんだとすれ違って、思う様に連絡がとれていない」
 途端に苦虫を潰したような顔になった総二郎に、あきらも同情を禁じ得ない。
 総二郎にしても、麻紀乃は困惑の種。
 元々麻紀乃に関わるのは火中の栗を拾うようなものだという覚悟が総二郎にもあったのだが、よもや一歩間違えば殺人未遂罪にも問われようと言う重大事件を引き起こしておきながら、この期に及んでまたも問題を引き起こそうとは思っていなかった。
 「…お前、例の記事読んだのか?」
 「ああ、そりゃあな。こっちではともかく、あっちではよく売れたそうだぜ?司の写りが良かったと、絵夢の奴がわざわざ送ってよこしやがった」
 「マジかよ~」
 まさかのあきらの妹のミーハーぶりに、総二郎が頭を抱える。
 あきらにしても、我が妹ながら相変わらずのピントの外しようだったが、そもそも母親からしてああなので、今更改めての感慨もない。
 ただ…。
 「暴露本の方はまだだけど、そのうち送ってくるだろ?お前はもう見たんか?」
 「まさか、いまさら猛獣の夜の生活なんぞ、垣間見たくもねぇしな。あの牧野がいた頃だったら、奴らをからかうネタにまだ面白味もあっただろうけど、今じゃあ、本当のことすぎて、シャレにもなんねぇ」
 「…」
 「……」
 総二郎が出した名前に、結局二人の思いは堂々巡りに舞い戻ってしまう。
 「どちらにせよ、明々後日には類が、来週早々には司が日本に帰国する。麻紀乃の問題も、あるいは桜子の懸念も、このまま無視するわけにはいかねぇだろうよ。少なくても、桜子のことはともかく、麻紀乃の問題はな」
 言及はしなかったが、あきらの視線が総二郎に腹をくくれと覚悟を求めてきている。
 そもそも、麻紀乃の引き起こす厄介ごとに怖気づくくらいだったら初めから、よけいな手を差し伸べるべきではなかったのだ。
 そして、それくらいのことはとっくにわかっていた総二郎のわずかな困惑も、自ら乗り越えるべき問題だと十二分に自身で理解していた。
 「…これは俺のケジメだったんだ。何度、あの時点に戻れるとしても、やっぱり俺はこの道を選択した。だが、それによって司やDr.マーベルに迷惑をかけるつもりじゃなかったし、尻拭いさせることになるのは俺の失態だ」
 真剣な眼差しで、手にした缶ビールをグイッと口にする友の肩に手をやり、あきらはできるだけの労いを込めてポンポンと軽く叩く。
 どうやらまた再び、猛獣の巻き起こす傍迷惑な騒動に、巻き込まれざる得ないようだった。


 類が1週間前、司が3日前に渡日し、特に道明寺側の動きもないことから、いったんはマスコミの過熱報道も冷却されたように思われる。
 実際問題、騒いでいるのはゴシップと言われる信頼性の薄い娯楽誌ばかりで、まともな経済紙やらテレビなどのメディアなどでは取り上げられてはいない。
 だが、物見高いニューヨーカーたちにとって、美貌のセレブであり、独身の司は格好の娯楽の的であり、彼に心酔するものも、逆に反感を覚えるものにとっても注目度は高く、それが根も葉もないものであったとしても、人の悪い興味と好奇心とで司に関わる人々の一挙一動を固唾をのんで見守っていた。
 半地下の駐輪場にバイクを止め、ガードマンの眼前でヘルメットを外し、顔にかかった前髪を掻き上げて、レンは顔馴染みのガードマンに会釈で通り過ぎる。
 久しぶりに帰ってきた自宅マンションのポストには、それほど長いとはいえないが、それでも数日のうちに溜まったダイレクトメールやら
新聞で溢れ返っている。
 中にはつくしが定期的に購読している医学雑誌も入っていて、ポストの入れ口から半ば飛び出た雑誌の端端からは、いまにも下に落ちないのが不思議なくらいに無理やりに突っ込まれた紙片が、垂れ下がっていた。
 レンがポストを開け、中身を引っ張り出すと、やはり何枚かは床に落ちて、ついつい溜息が洩れる。
 心身ともにタフなレンであったが、ここのところ降りかかる義母の受難を思えば、確かに溜息がもれることもあるだろう。
 だが、実際には、それはそれ、つくしの受難の原因であるはずの男性が遠く日本へと一時的にとはいえ留守にし、一時の平和を甘受できるはずだったが、別の問題がレンに差し迫っていた。
 実のところ…その問題は、かなり以前からの懸念であり、それがここのところ急速に切羽詰って現実のものへと姿を変えようとしてきているだけだ。
 …そう、いま指先に触れたこの一枚。
 明らかに他のダイレクトメールとは一線を画した高級紙にあて名書きされた名前に、レンは眉間に拳をあて、ぐしゃりと手紙を握りしめた。
 もう少し、もう少しだけ時間が必要なのだ。
 だが、周囲の状況はいつも流動的で、人の動きや心の機微を容易に見透かすことのできる彼の特技をもってしても、把握しきれない問題が人生には多種多様で。
 自分だけで解決できる事態ではすでにもうないのかもしれない。
 そういう意味でも、道明寺司や花沢類の存在は重要味を帯びていて、自分だけのことだったらレンは事態の進行の引き延ばしを図るだけで逃げ切るつもりだったが、つくしという唯一無二の大切な存在にも危険が伸びるやもしれないとなったら、彼らに頼らざる得ない段階にきている。
 このような現在の状況…つくしがレンと離れ、人知れずメイプルホテルに缶詰めとなっているのは、果たして吉と出るのか凶とでるのか。
 10日ぶりに帰宅したマンションのエレベーターを待ちながら、携帯のアドレスはいったいどちらの男の名前を優先して探し出すべきか、たっぷりと思案した。




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