「愛してる、そばにいて」
第5章 罰①

愛してる、そばにいて0359

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 「ちょっ、なにすんのよっ」
 驚いて抗議してくるものの、それでも落とされるのが怖いのか、咄嗟に首に細い腕を回され抱きつかれて、ニンマリ口元が緩むのが抑えられない。
 「おとなしくしてろよ、落ちるぞ」
 さっさと二階まで上がりきってしまう。
 小柄で華奢なつくしは羽のように軽くて、抱えて階段を登っても、まったく苦にならなかった。
 それどころか、その柔らかく温かい感触にドキドキと胸が高鳴る。
 何度となく抱いて、好きにその体を自由にしてきて今更とも思うのに。
 それでもそのウキウキとする気持ちはいつでも新鮮で、薄れるどころか彼女の仕草一つ一つ、声や表情、匂い、体温さえもが彼を刺激して、もっともっととその執着を深めてしまう。
 「…何考えてるのよ」
 眉根を寄せたつくしが、上目遣いに睨んでくるのに司も何食わなさを装う。
 「お前、貧血気味だろ?けっこう最近目眩とかでフラついてる時もあるし、階段を転げ落ちでもされたら、いろいろ面倒だからな」
 「………バッカじゃないの」
 気分を害したようではなかったが、そっぽを向いてしまったつくしの顔色を伺う。
 しかし、彼女は別に言葉じりほどには嫌ではなかったようで、わずかに上気している頬の赤味が、怒りや嫌悪によるものではないことを密かに司は期待した。
 どうせだからと運んでやった今夜の寝室になる部屋の前で下ろすと、とたんに、つくしがパッと離れてしまうのに苦笑する。
 「いまさらだろ、何恥ずがしがってんだよ」
 「…別に恥かしがってなんかないから」
 それでも入れと促せば素直に部屋に入って、当然のように入室する司のことも咎めることはない。
 ここのところ、すっかり司はつくしの部屋に入り浸りで、自室に戻ることはなくなっていた。
 「ほら、こっち来いよ」
 本館と同じように居間と続きになっている寝室へと案内する。
 「わぁ」
 屋根裏部屋のように斜面になっている天井がベッドのすぐ傍まで差し掛かって、大きくはめ込まれた複数の窓が、道明寺邸の深い緑と遠く見えるビル郡と星空を一枚の画布に収めた絵画のように見せている。
 幻想的な光景に見入って、つくしがうっとりと呟く。
 「ホントだ、凄い綺麗」




*****




 つくしを風呂に入らせて、一緒に入ったベッド。
 時間的にはまだそう遅くはなかったが、引きこもって外出をすることもなく、ロクに体を動かしてもいなかったつくしの疲労を鑑みて、早々に寝ることにしたのだ。
 しかし、いつものように抱きしめた腕の中の華奢な身体は、さっきからやたらとゴソゴソと動いては寝づらいのか体の向きを変えている。
 「寝れねぇのか?」
 「ん………」
 「寝るにはけっこう眩しいか」
 さすがに昼間のようだというほどではなかったが、これだけ天井が近く窓が大きいと、斜め角度から入ってくる星明かりは常夜灯の灯りよりはかなり明るかった。
 ましてや、今夜は月までも満月に近く、燦然と夜空を照らしている。
 「……眩しいってことはないけど」
 「じゃ、さっきちょっと寝たから寝れそうもねぇ?」
 「まあ…」
 しかし、そんなつくしとは裏腹に、ここのところつくしに合わせて早寝早起きが習慣になりだしている司の方はかなり眠気が強い。
 しかも、彼の場合は滾る欲望を散らす為に、毎朝早朝からかなり泳ぎ込んでいて、今日こそは夕方には泳いでいなかったけれど、つくしを屋外に連れ出すのにいつもは使わない気遣いをしていたからなおさらのこと。
 「ふわぁ…ねみ」
 大きなあくびが出る。
 「あふぅ…寝れないなりに、目を瞑ってろよ。お前のことだ、そのうちに寝入るだろ?」
 喋る端からあくびが出てしまい、眠気にウツラウツラとしてしまう。
 なんとはなしにつくしに回した手を彼女の胸元に移して、やわやわと触れては撫で、布地の上から柔らかい感触を確かめてはゆるゆるとした愛撫を繰り返す。
 さすがに素肌に直接触れてしまえば、我慢できなくなるのが司自身もわかりきっていたから、パジャマの上から触れるに止め、それ以上のことはしない。
 以前は一々体を強張らせ、小刻みに震えていたつくしも今は慣れにか諦めてか、たまに小さく吐息を溢して身動ぎするくらいで、特にイヤがったり抗うこともなかった。
 そうした動作はここのところの司にとって、欲望からというよりはほとんど習慣に近かったかもしれない。
 …柔くて、すげぇ気持い。
 ただ触れていたい。
 彼女の温もりを感じていたい。
 ただそれだけで、満たされる何かがある。
 もしかしたら、赤ん坊が母親のおっぱいを恋しがる、そんな感覚に近かったのだろうか。
 「……………の?」
 ほとんど寝入ってしまっていた耳が、密やかなつくしの声を聞き逃してしまう。
 ともすれば寝入っていまいそうな意識を振るい起こして、聞き返す。
 「あ?」
 「……………」
 「なに?」
 寝ていないようなのになぜか答えないつくしを怪訝に思って、目をしょぼつかせながら司が顔を覗き込むと、彼女の目はしっかりと開いてた。
 開いていて、奇妙な光を帯びた目で司を見上げている。
 これまでのように虚ろでも、憎しみを込めた怨嗟の眼差しでもなく、ただ不思議そうに…初めて司を見るかのようなそんな目で。
 「なに、牧野?」
 スッと眠気が覚めた。
 その眼差しの意味が知りたい。
 なぜか、いま、彼女が近づいてきている、そんな気がしていたから。
 「しないの?」
 「…………は?」
 「セックス。…どうしてここのところ、あたしのことを抱きしめて眠るだけで、抱かないの?」




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>チムチム様

こんばんは^^
初めまして。

ご要望通り、公開のコメントを削除させていただきましたm_ _m
とても素敵な応援コメントありがとうございました^^!

全然マナー違反ではないですよ^^
(むしろ、コメント返信怠ってる私の方が><;)

私のお話を楽しいと思って読んでくださることが、一番嬉しいです♪(楽しい内容ではなくても)

どうぞこれからも私の世界で私と一緒に楽しんでくださいm_ _m

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