「愛してる、そばにいて」
第5章 罰①

愛してる、そばにいて0345

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 「こ、これはこれは、道明寺さん、よく来てくださいましたッ!!」
 「ささっ、どうぞ、お上がりになってください。あらやだ!パパッ、スリッパ、踏んでるじゃないっ、」 
 当然のことだろうが、司に対するつくしの両親の態度は下にも置かない歓迎ぶりで、緊張して戸惑っている進はともかくとして、晴男と千恵子は完全に舞い上がってしまい、数ヶ月ぶりに顔を見せたつくしを迎えるよりも、司を歓待することに執心してしまっていた。
 それでも…、お前のウチだという司の言葉に怪訝そうに周囲を見回していたつくしが、家族の姿にじんわりと目尻に涙を浮かべ、顔をクシャクシャにして泣き出してしまう。 
 久々に発現したつくしの生の感情。
 「ね、姉ちゃんッ?」
 「ヒクッ……進ぅ」
 いち早く気がついた弟が、焦ったようにつくしへと駆け寄ろうとするが、傍らに立つ司にすっかり萎縮してしまい、姉と司の顔を交互に眺めて戸惑っているのが司にも見て取れる。
 「よう」
 「ど、どうも、こんにちは」
 「なんかずっとホームシックで、久しぶりに家に帰れて気持ちが昂ってるみたいなんだ。お前の姉ちゃんも自分ちとはいえ、こっちの家はまだ初めてだし、自分の部屋でも案内してちょっと落ち着かせてやってくんねぇ?」
 「は、はいっ!」
 司の気遣う言葉に、カァッと進の顔が真っ赤になる。
 その顔が思わぬほどつくしに似ていて、他人に全く関心のない…それどころか同じ人間とすら思わぬ傲慢な司をして微笑ませてしまう。
 …パッと見、あんま似てねぇけど、やっぱ兄弟だな。
 「あらあら、どうしちゃったの、この子ったら、赤ちゃんみたいにベソベソ泣きだしたりしてっ」
 妙に上滑りにハイテンションだった千恵子も、つくしの尋常ではない様子に気がついて、戸惑ったように首を傾げ、それでも母親らしい気遣いを見せる。
 「パパ、道明様を居間にご案内して。あたしはちょっと、この子を新しいお部屋に連れて行って、少し落ち着かせてくるから」
 「え?ええっ」
 「進も」
 「え?俺?」
 「そうよぉ、パパだけだと心配だし、進の方が道明寺様と年も近いし、まだお話が合うでしょ?ちゃんとおもてなししてね!」
 「うーん」
 あきらかに司とでは話が合うとも思われなかっただろうが、客の前で言い争うほど進も強固に断れなかったらしく、ドキマギと気後れしているのが丸わかりの顔で首を捻っている。
 面従腹背、顔と思っていることが真逆なのが普通の世界で生きてきた司にしてみれば、この一家のわかりやすさは嫌いではなかった。
 「じゃあ、少しあたしとつくしは席を外しますね」
 「いえ、今日はこちらにお返しするつもりですし、ぼくはもう少ししたらお暇するつもりですからお構いなく」
 「「「ええっ!!」」」
 大げさなリアクションを見せる一家の素っ頓狂さに内心ドン引きしつつ、めったに見せることのない社交辞令の笑みを柔らかく浮かべて、あくまでも如才なく友好的に振舞う。
 「いや、そんなぁ。狭いところですが…とと、道明寺様にお世話いただいた家に不満があるわけじゃないんですよ!と、とにかく、よろしければ道明寺様もゆっくりしてらしてください」
 「そうっすよ!姉ちゃんも久しぶりの我が家で、逆に戸惑っちゃってるみたいだし、道明寺さんがいてくれる方が落ち着けるかなぁ、なんて、ははは」
 進までもが両親に合わせておもねって、つくしの名前を出したことに、ただ小さな手で口元を覆って俯き、泣きじゃくっていたつくしがビクリと肩を震わせる。
 おそらくその時彼女が感じた気持ちに気がついたのは、司だけだっただろう。
 そんなことに思いあたって、司の胸に奇妙なおかしさがこみあげる。 
 「…プッ」
 「………」
 「あははははは」
 「ど、道明寺様?」
 戸惑う一家に、司が片手をあげ、謝意を示して軽く頭を下げた。
 「す、すみません。ちょっと、おかしくなってしまって…思い出し笑いをしてしまいました」
 「えっと、あのぉ?私どもが何か?」
 「いえ、こっちのことですから、おかまいなく」
 「…そ、そうですか」
 普通だったら失礼な話だっただろう。
 しかし、司がかまうな、と言えば、それだけで一家はもう何も言えなくなってしまう。
 「とにかく…すみませんねぇ、つくしったら、いつまでもネンネのままで。道明寺様のお宅でも子供っぽいところをお見せして、ご家族の皆さんに呆れられたり、困らせてしまうことがあったんじゃないかと実は心配してたんですよ」
 「いえ、そんなことはありませんよ。…ただ、いきなり環境が激変して彼女も戸惑ったり、苦痛に感じることも多かったようで、ずいぶん無理をさせてしまっていたみたいです」
 「…あらまあ」
 そう言われてみればと、顔を押さえたままそっぽを向いて俯いているつくしの横顔を千恵子も覗き込んで、娘の痩せ具合にやっと気がついたらしい。
 「そうですね…うちは根っからの庶民ですから。道明寺様のお宅のような上流のお宅とではあまりに違いすぎたんでしょうねぇ」
 「…すみません。ぼくが至らず」
 殊勝に謝る司の礼儀正しい態度に、一家が感じ入って、逆に恐縮する。
 「いやっ、そんなっ」
 「道明寺様っ、うちの子のことなんかで、謝ってくださるなんてもったいないことですわっ」
 「…道明寺さん」
 「って、進!あんた、さっきから何、道明寺様のことを、さん呼ばわりしてるのよ!」
 「ええ?」
 へりくだりすぎて、今にも床に這いつくばりかねない態度の千恵子が、進の司への呼び名を聞き咎める。
 「失礼でしょ!」
 「…いや、それこそお気になさらないでください。進君には別の呼び名で呼んで欲しいくらいだし、お父さん、お母さんにしても、ぼくのことは、苗字ではなく名前で呼んで欲しいと思ってるんですよ」
 「は?」
 「え?」
 「ええっ…それって?」
 小さく小刻みに震えていたつくしの顔が上がる。
 その目には、いったい主が何を言い出すのかと、彼への不信と不安、そして、恐れが色濃く浮かんでいた。
 そんなつくしの目を真っ直ぐに見つめ、司がこの上なく美しく微笑む。
 「いずれ、ぼくと皆さんは家族になるんですから」




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