「愛してる、そばにいて」
第5章 罰①

愛してる、そばにいて0339

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 「……………」
 「……………」
 「……………」
 三者三様の沈黙が広がった。
 総二郎は言うだけ言ってしまうと、もうあとは自分の出番は終わったとばかり。
 「なんか場がシラケちまったな。この店の酒もたいがい飽きたし、そろそろ場所変えるか?」
 「……………」
 「い、いや、それは、だな。…つ、司、お前もソロソロ今日のところは切り上げたらどうだ?顔色、あんまよくねぇぞ?それに、ま、牧野が待ってんじゃねぇの?お袋さんが昨日家に戻ってたんなら、いろいろ…あ~、…心細い思いしたんだろうし、そばにいてやった方が」
 冷や汗ダラダラ、いつもながら幼馴染みたちの間に立って、どうにかこうにか無難に収めようとあきらが詮無い努力を繰り返す。
 「…………類」
 「ギクッ」
 「……………」
 酒のグラスを覗き込み、怒りを濃厚に纏って昏い眼差しを俯けていた司が、突然小さく噴き出して、くくくとあきらかに陰惨で拗けた忍び笑いを溢す。
 「類…か。あいつこそ、腰抜けだな」
 「……………」
 「…………司」
 あきらに帰ってはどうだと打診されたことなど一顧だにせず、司は今日何杯目になるのかわからない酒を傾け、一気に飲み干す。
 「別に、俺のことなんか待っちゃいねぇよ」
 「え?…あ、ああ」
 一瞬、なんのことを言ってるのか戸惑い、しかし、それが先ほどあきら自身が口にした『牧野が待ってるのではないか』というセリフの答えであることにすぐに気が付く。
 投げやりなその司の表情は、どこか痛いものを堪えているかのように苦しげで、引き歪んな顔が憤りよりもむしろ哀しみが多く含まれているように思うのは、あきらの気のせいだったのか。
 「静が好きなら、さっさと自分のモノにしてどこにもいかねぇように閉じ込めちまえばいい」
 「……………」
 「それもできねぇくせにいつまでもウダウダと、あいつは昔から意気地も甲斐性もねぇ男なんだよ」
 「……まあ、俺もお前の言い分には一利あるとは思わなくはねぇが、それがあいつの愛し方なんだろうよ。静の意志を尊重して、邪魔をしたくねぇんだろ」
 司がなお一層嘲りを深くする。
 「ハッ、何が愛し方だ!笑わせんなよ、総二郎。そんなのそれこそヤツの単なるいいわけだろ?あいつは怖いだけだ。ガキの頃まんまに蹲って、静が気まぐれに振り向いて、お情けの残りカスを投げ与えられるのをただ待っているだけ…そんな臆病者のなにがヒーローだっ。そんな情けねぇ野郎にこの俺様が負けるわけねぇだろッ」
 「……司、やっぱりお前、そこまで本気で牧野のことを好きなんだな」
 どこか悲鳴じみた司のなじる言葉に、なるべく司の激情を煽らぬよう、真実の一端に触れないよう気配りしていたあきらが、思わずポツリと呟いた。
 しかし、そんなあきらの同情的な声音にむしろ怒り…いや、羞恥だろうか、それらの感情を煽られ、司がカッと顔に朱を散らせ逆上する。
 「だ、誰があんな貧乏女に本気だって言ったよ!!俺はただ、ババアや親父の吠え面見るのもおもしれぇかと思って、そばに置いてるだけなんだよっ。それこそ学生時代のお遊び、お前らもやってることの延長にスパイス効かせただけだっつーのッ!俺にとって婚約だの、結婚だの、そういうのもその程度の意味しかねぇんだよっ」
 「「……………」」
 今度こそ、総二郎とあきらに言えるべき言葉はなくなってしまった。
 一度意地になってしまえば、なにを言っても司は受け付けないだろうし、彼ら二人が容易に見えているモノ―――つくしへの気持ちを、司が自覚していないとは思えなかったからだ。
 彼女にちょっかいをかけ始めた頃とはまるで違う。
 今思えば、その頃さえ、司の好きな子イジメ…気になる女への子供じみたアピールにすぎなかったのだろう。
 俺を見ろ。
 俺だけに関心を向けろ。
 俺以外の男を見るな。
 あまりのあからさまさに、よもや…と彼らでさえ見逃してしまった司の気持ち。
 そして、司にとってはつくしが初恋なのだという事実に、総二郎とあきらも同情を禁じえない。
 それが司に対するものなのか、あるいは…司の激しく不器用な感情に突如として巻き込まれてしまったつくしに対するものなのか、彼ら自身にもしかとは判別付き難かったが、幼馴染みの彼らならばかろうじて理解することができる司の屈折した想いも、おそらくつくしにはまるで通じなかっただろうことが容易に察することができた。
 「…なに、デカイ声出して怒鳴ってんの?」
 話に夢中になりすぎて、背後に気を配っていなかった一同が驚きにバッと振り返る。
 簡易なガラスの間仕切りで、簡単に他のブースと区切られている隙間から、呆れたように類が顔を覗かせていた。
 「類ッ」 
 「……類」
 「類」
 「こっちで総二郎と飲むから顔を出せって、お前が誘ったんだろ?あきら。それなのにいくら電話しても出ないと思ったら、なにやってんだか。…司、お前、エキサイトしすぎ。何言ってるのかまではわからなかったけど、下まで怒鳴ってんの丸聞こえだよ?」
 無造作に司の対面側、総二郎とあきらの座る斜め横に腰を下ろして、類がテーブルの酒瓶の山に顔を顰める。
 「俺、眠いし、最後まで付き合わないから」
 「………類」
 「司、久しぶり。お前も来てるとは思わなかったな。この間、みんなで飲もうって無理やり引き出されて行ってみれば、お前はいないし…。それで?いったい何をそんなに吠えてたわけ?」




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