「愛してる、そばにいて」
第4章 凍える牙②

愛してる、そばにいて0314

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 今度こそ隼斗の目が驚愕に見開かれ、唖然と口が開いた。
 「あたしを見張って、ずっと飼い殺しにする為に近づいたの?」
 「な、なにを」
 「…道明寺の弱味や秘密を誰にも話したり、世間に暴露したりしないように?」
 …バカにしてる。
 いや、元々あの男はつくしを見下していたのだ。
 胸の奥底に沈めたはずの…司が、彼女に好きだと告げた司の顔が哀しそうに歪んだ気がしたけれど、それを見ないフリでつくしはあえて偽悪的な顔を作って、泣き笑いの引き攣った笑いで隼斗を睨みつけた。
 「全部、お芝居。…あなたもあいつとグルだって、そういうことでしょっ?」
 「違うっ!」
 ガタンッ。
 「きゃっ」
 つくしの憎悪の叫びを受けて立ち上がった隼斗の勢いに、小さな悲鳴を上げたつくしが頭を抱えて縮こまる。
 そんな彼女を見て、ハッとした隼斗がソロソロと再び椅子へと腰を下ろし直して、つくしを脅かさないよう穏やかさを作って、もう一度否定した。
 「…違う。それだけは絶対に違う」
 「隼斗さん」
 つくしから顔を背けた隼斗は、大きな片手の中に顔を埋め、大きく息を吐き出した。
 「初めは…本当に、ただのターゲット(対象者)だった」
 「…………」
 「俺は仕事に私情を挟んだことはなかったし、当然、護衛対象や調査をしている相手と恋愛関係に陥った経験も、君以外には一人たりともなかった」
 静かに自分語りを始めた隼斗を、つくしはジッと見つめ、彼を見守った。
 「君はごく若い頃、性犯罪に合ったことがある。そのせいで男の怒声や暴力が怖くて、男性不信なところがあると、以前に俺に言ったよな」
 「……ええ」
 それは隼斗との交際に至る以前の一コマ。
 当時は、彼と結婚はもちろんのこと、交際することさえ念頭にはなかった。
 だが、ひょんなことで過去のトラウマを彷彿とさせる出来事に出くわして、それを助けてくれた顔見知りの男性へとつい零してしまった告白だったのだ。
 「実際に俺との交際や結婚生活でもそうした風情があったから、たとえそうだと君から聞いてなくても、付き合いを続けてゆけば誰でも気が付くだろう」
 隼斗との‘初めて’を思い出す。
 司と隼斗以外の男性とは経験のないつくしだったが、それでも隼斗がとても気遣って慎重にコトを進めてくれていたのは、当時も感じていた。
 しかし、やがてはそうした行為や関係が日常的になり、慣れてしまった―――お互いに。
 隼斗がつくしの心の闇の深さに気がつかず、甘く見がちだったのは仕方がないことだったのかもしれない。
 つくし自身ですら、自分は過去を克服できたのだと勘違いしていたくらいなのだから。
 「君は若い頃、という限定的な言い方をしていたが、…本当はそうじゃなかったんだろ?」
 「…隼斗さん?」
 うっかり自分の中の思念に埋没しかけていたつくしが目を瞬かせ、我に返る。
 手のひらに埋めていた顔を上げ、つくしを真っ直ぐに見た隼斗の顔は、かつて彼女を守ると告げていくれたかつての顔のまま、彼女への労わりと…愛情に満ちていた。
 「道明寺に暴力を奮われていたんだろ?」
 「………」 
 「よくあることだ。道明寺のような権力者ではなくても、自分の妻に暴力を奮う男の存在は。それでいて浮気を繰り返したり、妻を蔑ろにしておいて支配欲から妻も手放さない」
 誤解の上に積み重ねたものは、更なる誤解を生んで、遠からずであっても真実とは程遠いのだと、あらためて悟らされる。 
 「…だから同情はしていたが、一々それで絆されて惚れるほど俺もウブな男じゃない。仕事は仕事、プライベートはプライベートとして切り分けて、個人的な感情を持たないように自制していたし、そうした感情を持ち込んだ挙句、護衛対象者と懇ろになるボディガードたちを軽蔑もしてた…その俺がまさか、だったよ」
 「道明寺からの指示だったんじゃないの?」
 「俺が指示されていたのは、君のプライベードに近づいてくる人間の監視と報告、護衛だけだ。知人友人の背景に関しては、俺の報告によってまた別に調査する人間がいて、その人間が道明寺に報告していたはずだ」
 「……………」
 それだとて、自分の身辺を監視されていて、付き合ってる人間のことまで調べられていたと聞いては気持ちの良いものではなかった。
 「差し迫った危険があったわけじゃないから、俺は直接君の前に姿を現すつもりじゃなかったし、依頼主からもそう指示を受けてた」
 「…本当に偶然だったというの?」
 「もちろんだ。陽太のことがなければ、たぶん直に会話を交わすことさえなかったはずだ」 
 それはそうだろう。
 そもそも個人的な会話を交わしたのは、陽太の交通事故がきっかけだった。
 つくしが勤めていた大学病院は近隣の病院の中でも特に大きな病院だったから、命に別状はなかったとはいえ、かなりの大怪我を負った陽太が緊急搬送されてきたのは、まさに必然の偶然だった。
 どう考えても作為の入り込みようがなかっただろう。
 それに元々はといえば、先につくしが親しくなったのは隼斗とではなく陽太だったのだ。
 あえて言えば、戒の面影を陽太に重ねた彼女の方こそが、彼ら父子に近づいたと言えなくもなかったかもしれない。
 「じゃあ…、どうしてあたしと結婚する時に本当のことを言ってくれなかったの?その前のことはどうあれ、せめて結婚してからでも、道明寺の依頼であたしを護衛したり調査してたんだって、なんで教えてくれなかったのよ!?」




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