「愛してる、そばにいて」
第4章 凍える牙②

愛してる、そばにいて0304

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 ザアアアア―――ッ。
 一緒にシャワーを浴びないか、という隼斗の誘いはさすがに断って、先に彼一人で浴室に入らせた。
 久しぶりの情交に軋む体をなんとか起こして、手早く後始末をする。
 「…っ」
 ドロリと胎内から流れ出た残滓に顔を顰めて、ゴシゴシと拭ったティッシュに染み込んだ粘液に交じる薄赤い跡に溜息だ。
 ハメを外す――の宣言通り、いつになく激しく奔放な隼斗のセックスは、つくしの体と心にかなりのダメージを与えていた。
 乱暴だったわけではない。
 むしろいつも以上に、丹念な愛撫だった。
 けれど、触れられれば触れられるほどに冷めて、…嫌悪が増すことになってしまったのだ。
 いつものように悦んでいる演技をしていたから、隼斗には気がつかれなかっただろう。
 しかし、気持ちの浮き沈みは覿面彼女の体の方に影響を及ぼして、昨夜はほとんど濡れることさえできなかった。
 …これじゃあ、あたし、本当に欠陥品だよ。
 もちろんだからと言って、強引にコトを進められてしまったわけではない。
 だが、返ってそれが裏目に出てしまうことに。
 濡れないのなら、濡らせて見せるとばかりに執拗に全身を舐めしゃぶられ、よけいに怖気が増し乾いてしまうという悪循環に…延々と痴態を晒すハメに陥らされてしまったのだ。
 それでも丁寧な前戯を受けているうちに、なんとか多少は濡れることができたらしい。
 ところが今度は新たな受難に苛まれる結果となった。
 …ピルを飲んでるからいいものの。
 いつもは避妊に協力的で、そうでなくても性感染症予防的見地やつくし自身の希望もあって、隼斗は必ずコンドームをつけてくれていたというのに今日に限って、だ。
 …まさか、そのままされちゃうなんて。
 気持ちは隼斗を受け入れている。
 いや、夫婦なのだから、受け入れなければならないのだとわかっていた。
 ましてや、つくしの誕生日の為に隼斗がしてくれた演出は、彼女の心を温かく満たしてくれこそすれ、彼を拒絶する理由にはならなかったはずなのだ。
 それなのに、隼斗の吐き出す体液に胎内を満たされれば満たされるほど、犯される嫌悪や異物感が増して、滑らかになってゆく隼斗の動きとは真逆に乾いてしまう自分をつくしは感じていた。
 …気持ちが悪い。
 背筋から這い登る悪寒と、ジーンと血の気が下がるような感覚は貧血の表れだろうか。
 「あ、…そうだ、ピル、飲まなきゃ」
 時間がズレしまうと忘れてしまうからと、ここへも持ってきている。
 ズクズクと痛む下腹部の鈍痛を堪え、ヨロヨロとベッドから立ち上がると、つくしはコーヒーテーブルに投げ出したままのハンドバッグへと向かった。
 ガチャリ。
 「起きたか。シャワー、浴びないのか?」
 「あ…うん、今ちょっと。今日の分の薬をまだ飲んでないから、先に飲んでしまおうと思って」
 浴室から出てきたバスローブ姿の隼斗から視線をわずかに反らして、つくしはバッグを取り上げ中から薬袋を取り出す。
 「なあ?」
 「…うん?」
 銀のシートを手に取ったところで、隼斗に声をかけられる。
 「ピル辞めないか?」
 「え?」
 「…そろそろ、俺と君の子供を作らないか」
 一瞬何を言われたか理解できずに、ピルのシートを握り締めたまま、つくしは唖然と隼斗を見つめてしまっていた。
 「…子供って」
 立ち尽くすつくしをよそに、部屋隅に設置されているミニバーへと向かった隼斗が普通に問いかけてくる。
 「なんか、飲むか?」
 「…あ、えっと、水を」
 薬を飲むための水を所望すると、冷蔵庫ではなく水道の水をコップに注いで持ってきてくれた。
 「…ありがと」
 「ああ」
 特に今、ピルを飲むことに関しては反対しないのか、隼斗はピルのシートをチラリといちべつしただけで、彼女の脇を通り過ぎ、ドカッと無造作にソファへと腰を下ろした。
 プシュ――ッ。
 隼斗が開けた炭酸ジュースのプルトップを上げた音や、炭酸の弾ける音が妙に耳につく。
 シュワワワワッ。
 「朝食、6時からだったよな?どうする?シャワー浴びたら、飯行くか?」
 「…あ~」
 「まだ、体がしんどそうなら、俺だけ行ってくるから、君はもう一眠りしてれば?」
 「そうだね」
 さっき、隼斗から聞いたと思った言葉は、彼女の聞き違いだったのだろうか。
 腑に落ちない気持ちになりながら、とりあえずはと、手の中の薬を胃に収めてしまうことにした。
 しかし、
 「……で、今の話だけど」
 「……………」
 「もうそろそろ、いいんじゃないかと思う」
 「それって、…子供の話?」
 聞き違いなどではなかったのだ。
 つくしを見る隼斗の顔は真剣で、とても冗談だろうと茶化したり、あるいは誤魔化せる雰囲気ではなかった。
 「陽太も弟か妹を欲しがってる」
 「…でも、陽ちゃんの病気のこともあるから、しばらくはって話し合ったじゃない」
 永遠に…とまでは言わないが、かといっていついつまでと期限を切れるものではないから、これまで具体的に話したことはその一度っきり。
 「俺ももうそろそろ35才になるよな?」
 「……そうだけど」
 「君にしても、30才…いや、31才になった。子供を生むのに若いとは言えないんじゃないか?」
 「……………」
 まだ間があるとはいえ、34才で高齢出産と言われ、ましてやつくしはおそらく子供ができにくい体質だった。
 「今から子供を作っても、子供が大学生になる頃には俺は55才か56才。ましてや、必ずしもすぐにできるものとは限らないんだ。2年、3年なんかあっという間にすぎる。子供が成長するまでの年月を考えれば、俺がちゃんと働けて、家族を養える年齢というものを考えないわけにはいかないだろう?」
 堅実な隼斗らしい考え方ではある。
 だがしかし…なのだ。
 「でも…陽ちゃんの病気のこととか、あたしの仕事のこともあるじゃない」
 隼斗の収入なら、一家を養うだけならば、つくしが専業主婦になっても大丈夫だろう。
 けれど、陽太の治療には金がかかり、そこに新たな子供となれば、手間暇だけの問題でなはく、夫婦の負担が増大することは目に見えていた。
 「陽太と下の子の養育や仕事のことなんかのことは俺も考えた。それで事後承諾みたいですまないが…俺の親にも相談してみたんだ」
 「え?それって…」
 「こっちに来て同居してもいいと言っている。親父たちもまだ若いから、孫の面倒を見ることには否やがないし、以前は陽太を見てもらってたんだから、そこらへんの機微は問題ないだろ?もちろん君に仕事を続けてもらうことも承知している」
 「お義父さんたちが…」
 晴天の霹靂だ。
 もちろんつくしにしてみても、嫁として、隼斗の両親との同居に反対するつもりはなかった。
 いずれ介護等についても、積極的に担う覚悟もある。
 しかし、現在両親どちらも健在で、たびたび夫婦で旅行になど行って、老後の生活を悠々自適に過ごしている状態なのだ。
 さらには、隼斗の両親には東京に持ち家もある。
 正直、なぜ、あえて今なのだ、という気持ちだった。
 「…今でこそ陽太の状態はそう悪いものじゃない。もしかしたら未来に希望を持つことができるのかもしれない」
 「もちろんよ!」
 陽太にもしものことがあるだなんて、つくしにも考えられない。
 いや、考えたくなかった。
 「だが、病が病だ。絶対ということはない」
 「そんなっ」
 父親である隼斗が弱気でどうする、大丈夫だと激励しかけ…、
 「だからこそ、もっと家族を作ってやりたい。あいつの望むとおり。それに…あるいは、新しく生まれる俺と君の子が、あの子にとって、命綱になるかもしれないんだ。可能性や選択肢は多い方がいい」
  

 

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