「愛してる、そばにいて」
第4章 凍える牙②

愛してる、そばにいて0303

 ←愛してる、そばにいて0302 →愛してる、そばにいて0304
◇更新情報他雑文 『こ茶子の日常的呟き』へ
【君を愛するために】オススメ作品!?
ランキングもよろ(・ω-人)
ブログランキング・にほんブログ村へ
いつも応援ありがとう♪
**************************************

 普段は滅多に行くことができない一流レストランで夜景を眺めながらのディナー。
 前々から観たかったロマンス映画を観て、素敵なシティホテルの部屋へ。
 やはり危惧していたとおり、結局隼斗は映画の上映中ほとんど寝ていたが、つくしは感動して涙ながらに堪能できた。
 それだけでも驚きなのに、部屋についてソファに腰を下ろして一息ついたところで、シャワーを浴びると先に浴室に行ったはずの隼斗がすぐに戻ってきて、差し出した物に驚かされる。
 「え?これって…」
 「…早く受け取れよ」
 テレテレと半ば押し付けるようにして渡されたのは、かなり大きなサイズのブランドロゴの入った紙袋。
 中を覗けば、美しくラッピングされた一輪挿しのバラの入った長箱と、ロゴのブランド製のバックパック。
 職場に背負って行くのにちょうどいいサイズで、いつも彼女が持って行っているお弁当を入れるのにもちょうど手頃なものだった。
 ただ…身だしなみこそキチンとしているが、ファッショナブルとは言い難い隼斗が選ぶにしては妙にオシャレで、センスに別の人間の影を感じてつくしは戸惑った。
 「なんだよ。ずいぶん反応が淡白なんだな、やっぱり」
 ガッカリしたような声音に慌てて笑顔を作って、手にとったバッグを掲げ燥いで見せる。
 「そ、そんなことないよっ。凄い素敵!ありがとう隼斗さん」
 「……ああ」
 「でも、これ…どうしたの?」
 我ながら探りを入れているような自分の声音に、つくしの胸がドキンと鳴った。
 奇妙と言えば、いくら陽太に言われたにしても、今日のデートコースは結婚前でさえなかったようなベタなもので、そこに不審さを感じずにはいられないのはつくしの穿ちすぎなのだろうか。
 「あっと!ヘソクリとか、家計費からちょろまかしたとかじゃないぞ?」
 「え?」
 「女房孝行したいとは思ったものの、陽太の治療費や何やらでウチはわりと家計を詰めてるだろ?余裕がないわけじゃないが、堅実な君のことだから、給料や貯蓄に手を出すようじゃあ逆に喜んでくれないと思ったから、同僚に相談したんだよ」
 「いや…そんな」
 聞きたいこととは微妙にズレた返答が返ってきたが、そういえば高級レストランでの食事にしても、ホテルの宿泊代にしても、普段の節約生活にそぐわないものだったのだと今更ながらに気がつかされる。
 …このバッグ、グッチだよね。
 かつてはグッチだのプラダのを見せられても、区別のつかなかったつくしだが、今の彼女はたとえタグやロゴを見なくても、デザインを見れば見当がつくし、手に取ればホンモノかニセモノかの区別くらいはできる。
 しかし、高い物であるのはわかってはいたが、これまでのつくしの人生では、こうした高級ブランド品は、まったくの無縁の生活か、値段を見ないままで湯水のように与えられた生活かの両極端だったから、今プレゼントされたバッグが果たしてどれくらいの値段帯の物なのかわからなかった。
 「…前々から、実家の部屋を占領してた古書」
 「うん、ああ…あの漫画ね」
 いきなり変わった話題に戸惑いながらも頷いて、微妙な隼斗の形容をサクッと訂正する。
 「あれ…売ったら30万ちょっとになったから」
 「ええっ!!」
 あまりの驚愕にがくんと顎が落ちた。
 忙しすぎて最近ではロクに読書をする暇もないようだが、隼斗は子供の頃に収集していた漫画をいまだに後生大事に実家に保管していた。
 「いいかげん邪魔だから、引き取るか処分してくれって言われてたからさ」
 「…まあ、そりゃあね」
 あれだけあれば、いくら持ち家とは言え、隼斗の実家の両親だとて迷惑だろう。
 「で、前々からそんな話を同僚にしてたら、そいつの知り合いに趣味で集めてるヤツがたまたまいてな。…超プレミアとかついてるやつもあったらしい」
 「そ、それで30万円?」
 「一冊2万円とか、高いのは10万で売れたな」
 「ええ、えええええっ!」
 「ああ、でも全部が全部じゃないぞ?あの中で、状態のいいやつの数冊だけな?」
 「そ、それはそうだろうけどさ」
 それでも驚愕だ。
 つくしの認識からして、漫画は漫画だし、しかもさらに古本なのだ。
 …昔のお札とか、壺とかを買う人と同じ感覚なのかな。
 思えば、昔テレビでもなんなら鑑定団とか言って、どう見ても興味のない人間からしたら、廃品回収品にしか見えないものまで、高値がついていたことを思い出す。
 「でも、…良かったの?」
 この年まで取っておいたのなら、よほど大事なものだったのだろうにと、つくしが心配する。
 さすがに苦笑しはしたが…。
 「まあ、いいよ。もうさすがにガキの頃みたいな執着があるわけじゃなし、欲しい奴のところにある方が、双方メリットあるだろ?」
 「…まあ」
 隼斗の実家の両親にしても万々歳だろう。
 しかし、それにしても…、
 …いくらあぶく銭とは言え、貯蓄に回さないところがやっぱり隼斗さんもお坊ちゃんだよね。
 溜息。
 もちろん、隼斗の場合は、英徳にいたような富裕階層の子女とは異なる。
 舅は銀行の支店長まで勤め上げた人間で、お金に困るような生活をしたことがないというだけのことで。
 そんな彼女の溜息の意味に気がつかれたようだ。
 「全部、使ってないから」
 「え?」
 「ここもほら、もっといいホテルのスウィートルームとかにした方がいいかとも思ったけど、さすがに予算的にキツかったから、悪い」
 「いやいやいやいや」
 たしかにいわゆるラグジュアリーやハイエンドと呼ばれる一流ホテルではなかったが、隼斗が用意してくれたデラックスダブルの部屋は、素泊まりのビジネスホテルなどとは違い十分に広かったし、清潔で美しく、非日常感を与えてくれた。
 そしてなによりも、自分が大切にしていた物を売って、それでプレゼントしてくれたことが嬉しかった。
 「…ありがとう、隼斗さん」
 心を込めて礼を告げる。
 「喜んでくれるか?」
 「すごく嬉しいよ」
 隼斗の顔も満足げに破顔する。
 「……つくし」
 そしてそのまま、つくしが座るソファへと伸し掛るようにして屈み込んだ隼斗が、彼女の首筋へと顔を埋めてくる。
 「あ…、ま、待ってシャワー」
 慌てて隼斗の口元に手を当て押しとどめるが、返ってグイッと膝を割られて、足の間に入り込まれて動きを封じられてしまう。
 「一眠りしてから、明日ここを出る前にシャワーすればいいさ」
 「で、でも」
 もちろん拒むつもりはないが、目の前にベッドがあるというのに、こんなに狭いところで性急に求められるのに戸惑ってしまう。
 「ベ、ベッドに行こう?」
 「一回ヤってからにしよう。…いいじゃないか、こういうところでするのも燃えるだろ?いつもは陽太がいてどうしても集中できないみたいだけど、ここでならいくらでも声を出せばいいし、たまにはハメを外したセックスをして乱れるつくしが見たい」
 「………ぁっ」




web拍手 by FC2

関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png イベント
総もくじ 3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ 3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ 3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ 3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ 3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ 3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ 3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ 3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 倉庫
総もくじ  3kaku_s_L.png イベント
総もくじ  3kaku_s_L.png だから今日も I'm so happy…百回分の花をあなたに
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【司×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 
総もくじ  3kaku_s_L.png 百万回の微笑みを愛の言葉にかえて
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽のあたる処でシリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png Fly me to the havenシリーズ…36話完
総もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ…全171話完+α
総もくじ  3kaku_s_L.png ******【類×つくし】******
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話+
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編+
総もくじ  3kaku_s_L.png パッション…①24話②22話完
総もくじ  3kaku_s_L.png 陽だまりの詩シリーズ(短編集)
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【総二郎×つくし】****
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編-
総もくじ  3kaku_s_L.png ****【あきら×つくし】****
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手小話^
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編^
総もくじ  3kaku_s_L.png ***【その他CP】***
総もくじ  3kaku_s_L.png 中・短編'
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png ストック
もくじ  3kaku_s_L.png R短編集
もくじ  3kaku_s_L.png アネモネ R
もくじ  3kaku_s_L.png 恋愛の品格 R
もくじ  3kaku_s_L.png 愛妻生活 R
  • 【愛してる、そばにいて0302】へ
  • 【愛してる、そばにいて0304】へ

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【愛してる、そばにいて0302】へ
  • 【愛してる、そばにいて0304】へ
にほんブログ村 小説ブログへ💛
スポンサーリンク

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘
女性に大人気!ビジネスから恋愛相談まで全部500円~!  
価格満足度97%、日本最大級のココナラに今すぐ登録!!

┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘┘