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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第四章 夢の続き①

夢で逢えたら138

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 久しぶりの夫婦同伴パーティに、桜子の気合いは並大抵のものではない。
 なんだかんだと、上流階級の付き合いを嫌がって逃げ回る夫の代理を務め、その役割を苦も無く勤め上げることに否やのない桜子だったが、それでも夫の腕に手を添え、腕を腰に回されてエスコートされることは心地よい。
 この機会を無駄にせず、今まで桜子が懸命に培ってきた人間関係を夫に飲み込ませ、できるかぎりその付き合いを夫の仕事に有利に役立てたかった。
 「…今日は最後までいてくださいよ。いつも途中で逃げちゃうんですから」
 「はは、ごめん。最後まではちょっと無理かな。夜から相模商事の取締役連との会合があるんだ。悪いね、いつも、如才ない奥さんで助かってるよ」
 少年の頃は丸顔の童顔で、頼りなさばかりが目立っていた和也も大学生になり、家業の仕事を手伝う様になってからは、大きく成長した。
 それは精神的なものだったり、仕事をこなす能力的な者だけでなく、遅まきの成長期だったのか、小柄だった背もグッと伸び、どちらかといえば可愛らしい顔立ちだった容貌も精悍さを帯びて、大人の男になった。
 もちろん、元から持って生まれた造形というものもあるので、F4のような他の追従を許さない圧倒的な美貌というものではなかったけれど、柔和な微笑みの魅力的な、中々にハンサムな男性となった。
 昔は桜子と肩を並べていた身長は彼女よりも頭半分高くなり、華奢だった体も細身ながら桜子の腰をガッチリと支えてエスコートする力強さを持っている。
 いつの間にか惚れ惚れと夫の顔を見上げていることに気が付いて、桜子は相手に気が付かれる前に照れ隠しでゴホンと一つ咳払いをした。
 「あれ?あれって滋さんじゃない?」
 「あ、ああ。この間、日本に帰国してらっしゃるのを私も迎えに行ったって言いましたよね」
 「うん、そうだね。君とすごく仲が良かったから、嬉しいよね」
 ニッコリと桜子に優しく微笑みかけてくれる夫の眼差しが愛情に満ちていて、とても温かく、そんな眼差しをそそがれる度に、この人と結婚して良かったと噛みしめる。
 …この幸せも、牧野先輩が運んでくれたんだ。
 そう思うたびに、あの愛すべき人がここにいてくれたら、と思わずにはいられない。
 「あー、桜子!来てたんだ~?」
 「こんにちは、滋さん。今日はパートナー同伴ですけど、旦那さん、いらしてないんでしょ?どうされたんです?」
 「ん~、独身の類君に頼みたかったんだけど、今、NYでしょ?しょうがないから、社の秘書を連れてきた。って、もしかして、和也君?」
 「久しぶり、滋さん」
 「うわあ、なんか、ずいぶん立派になったんじゃない?かねがね、青池商事の急成長はパパにも聞いてるし、ジュニアとしての活躍も聞こえてる。すごいよ。もしかして、なんか背も伸びた?」
 「はは、ありがとう。昔からの友達にそんな風に褒められると、照れる。でも、さすがにもう背は伸びないよ。最後に会ったのって、桜子との結婚式以来だもの」
 「桜子の内助の功も音に聞こえてるよね」
 「…いえ、そんな私は」
 滋のヨイショを、桜子が照れて謙遜しようとするのに覆いかぶさるように、和也が大きく頷き微笑む。
 「ありがとう、そうなんだ。僕がこんなに頼りないからね。すごい頼りがいのある奥さんをもらったって、周囲の人も、僕の両親もみんな褒めてくれるんだよ。もちろん、僕が一番、その幸運を噛みしめてるんだけどね。僕にとって桜子は最高の奥さんなんだ」
 恥ずかしかいもなく、堂々と言い放つところは昔も今も変わらず。
 素直じゃない桜子も夫の無邪気な賞賛に、赤面を隠せない。
 さすがに滋が言うほど背は伸びなかったが、子供っぽかった一面は少年のようなという言葉に置き換えられ、大人の男として大きく成長した和也は、見た目的にも大きくなったように見える。
 だが、人の好さはそのままに、ビジネスセンスと広い度量を身に着けた和也は傍目にも十分に魅力的だった。
 このこの、ラブラブじゃない…と陰で滋に肘鉄され、見た目的には何食わぬ顔をしながらも、社交辞令ではない滋の夫への賛美に桜子も嬉しさを隠し切れない。
 「じゃあ、僕もせっかく来たんだから、挨拶回り行ってくるよ。滋さんは?」
 「あたしも、あとでそれなりに回らないといけないんだけど、少しは気の置けない友人たちとの時間を楽しみたいから後にするよ」
 「そうか、じゃあ、桜子のこと頼める?僕、後1時間ほどしかいられないから、残れないけど、桜子は大丈夫だから」
 「いえ、私も和也さんと挨拶回りに出向きますよ」
 和也の後を追うとする桜子を和也がやんわりと制する。
 「いいって。いつもは桜子が代わってくれてるし、ざっと見たところ、以前に桜子に紹介してもらってある程度懇意になることができた人たちだから、僕一人でもなんとかなるよ。それより、あっちの方に西門さんと美作さんが来たみたいだよ」
 和也が指し示す方向、女性たちの騒めきの中心に一際華やかな空気がある。
 「あー、ホント。相変わらず、目立ってるねぇ」
 「本当ですねぇ。F2でもあの注目度なんですから、花沢さんと道明寺さんがいらっしゃればさぞや華やかでしょうねぇ」
 自分で言った同意の言葉と思わず口からこぼれた名前に、桜子は先日2人の間で交わされた会話を思い起こした。
 「あとで僕も西門さんたちに挨拶するけど、一応よろしく言っておいて。今いっても、近づけなさそうだしね」
 「はは、そうだね、もうちょっとすれば落ち着くと思うけど。わかった、愛妻さんのことはバッチリ!任せて?」
 「頼むよ。ここのところ桜子の気を使わせる仕事ばかり押し付けちゃってるから、滋さんと一緒に過ごせればいい気分転換になると思うんだ」
 「…和也さん」
 いつも和也の細やかな心配りに、ほんのりと心を温められる。
 どんな愛の言葉より、豪奢なプレゼントよりも、そんな小さな思いやりと優しい言葉が心を安らがせてくれると、この人とつくしが教えてくれた。
 たぶん、司や類がつくしに心底惚れまくったのも、そういったつくしの温かさだったのだろうと、おこがましいと思いつつ、桜子も共感する。
 和也が去り際、そっと桜子の耳元で囁いてから離れてゆく。
 「あのことももっと話してごらん?気になって思い悩んでいた気持ちが楽になるよ?」
 またね~と、手を振る夫に手をふりかえし、一緒に和也を見送っていた滋に向い合う。 
 「いやあ、ホント、イイ男になったねぇ。チンチクリン呼ばわりしてたあんたが、惚れちゃうわけだ」
 「からかわないでくださいよ、今更。それはそうと、私、滋さんに相談というか、話したいことがあったんです」
 「ん?何なに?」
 目を瞬かせて小首を傾げる滋を真剣な眼差しで見つめる。
 「この間空港で話題にした、道明寺さんのお好きな方のことなんですけど…」
 桜子の脳裏に、先日の和也の耳に入れた時の会話が蘇った。




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