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愛人~2016年夏

Industrial Blue~真情~ 【類×つくし】

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※写真:by ulyankina
愛人

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 約三ヶ月前、つくしが類と数年ぶりに再会したのは本当に偶然だった。
 しかも、ちょうどその少し前、一緒にブライダルフェアを観る約束で鹿島と待ち合わせていたホテルに向かう道中、ビルの大型ディスプレイで、司の2度目の結婚を報道しているのを眺めていた直後だったから、ホテルのロビーで女連れの類とバッタリ会った時には本当に驚いた。
 …しかも、腕なんか組んじゃってさ。
 いかにもホテルの上階から一緒に降りてきた女性は、もちろん類の妻などではなかった。
 だというのに、つくしに気がついた類が開口一番、彼女へとかけた言葉は、
 『あんた、こんなところでいったい何してんの?』
だったのだ。
 …まったく、それはこっちのセリフだっつーの。
 その時は、類が連れていた女性の視線も痛いし、後からやってくるはずの鹿島の目も気になって、当たり障りのない挨拶を交わしただけで類とは別れた。
 しかし、それがこの爛れた関係の始まりになる再会になるとは、つくしだけでなく、おそらく類も思ってはいなかっただろう。
 「まさか、あんたがあたしのアパートに現れるとか、全然思ってなかったんだけどね」
 「…俺は薄情な牧野とは違うよ」
 それを類に言われてしまえば、たしかに彼女には言い返せる言葉などあるはずもない。
 たぶん、類にしても過ちを犯すつもりではなかっただろう。
 ただ…懐かしさとほんの少しのセンチメンタルだったのではないだろうか。
 アクシデントで急遽、会社の同僚の代わりにドイツへの長期出張となってしまった鹿島の留守だという気の緩みもあったのかもしれない。
 いくら旧友だとは言え、かつて男女の関係もあった男を部屋に入れてしまうなど、いくら迂闊な自覚のあるつくしにしてもどうかしてた。
 それでも…それをこそ運命だったのだろうか。
 …マリッジブルーだっただけ、そうじゃなきゃダメなんだよ。
 そう思わなければ、心の奥底に隠してきた想いを白日に晒してしまう。
 すべてがあるべき姿に、つくしの分にあった平凡な幸せが手に入ろうとしている今になって、すべてを振り出しに戻したくはなかった。
 司のことは当に諦めがついていたけれど、恋愛ではなく…ただ平凡な人生が欲しいからと、選んだ鹿島とそのまま結婚してしまうことにわずかな迷いがあったのだ。
 そんな時だった、類と再会してしまったのは。
 仲の良かった昔馴染みの男友達とただ普通に酒を飲み、語らっていただけのはずだったのに、気がつけば過去の過ちを繰り返し、あらたな罪を犯してしまっていた。
 以来、互いの伴侶への罪悪感を感じながらも続けてしまったのは、おそらく…自分も類に惹かれていたからなのだと、つくしにも自覚がある。
 …それでも。
 それでもおそらく、類と関係を続けられたのは、彼が既婚者だったからこそなのだ。
 「それで?」
 「…それでって」
 「俺、まだ返事もらってないんだけど?」
 類の言葉に大きく目を見開く。
 「返事って…まさか、この記事、本当だとか言うつもりなの?」
 「…もちろん、本当だよ?」 
 しかも、類の話の流れからして、その離婚の理由というのは、もしかしなくてもつくしが原因だということなのではないだろうか。
 「それも一つではあるかな」
 「え?あたし…今」
 どうやら彼女の長年の癖である、思っていることが口に出てしまっていたらしい。
 「もちろん、あんたの責任だとか言うつもりじゃないんだ。…俺が離婚するのは、あくまでも自分の意志だし、そういう意味ではあんたとのことは関わりがない」
 「…でも」
 そうは言われても、今の妻と別れて、類がつくしと公然と付き合いだしてしまえば、世間はそうはとらないだろう。
 「世間体や細々としたことを気にするあんたの性格はわかってるし、その気持ちも理解できる。でも、…もう俺は後悔したくないんだよ」
 「後悔?」
 小さく笑んで、類がベッドへと腰を下ろし、そのままゴロリと横になる。
 「…ちょっと、せっかく着替えたのに、また寝る気なの?」
 「こっち来て?」
 咎めるつくしをサラリとスルーして、ポンポンと自分の傍らに寝転がれと指示を出してくる。
 「え…って、やだっ」
 グイッと類らしくない強引さで腕を取られて、彼の傍らへと引き寄せられ、腕枕までされてしまった。
 「…もうっ、案外強引っていうか、言い出したら相変わらず聞かないんだからっ」
 思えば類もまたそういう男だった。
 俺様男の司の言動に目が行きがちだったけれど、基本司だけでなく、総二郎やあきら…そして類もまたやはりある意味俺様御曹司だっだと思い出す。
 つくしの憤慨をよそに、類はあくまでもマイペースだ。
 「あの時…もさ」
 「え?」
 「あの時も、俺あんたに申し込んだよね?」
 「…………」 
 類が言っているのは、たぶん、つくしが彼に別れを告げた日。
 司の身代わりのようにしてしまった彼への罪悪感に耐えられなくなって、…いつかきっと訪れる別離の予感に、またも自ら逃げ出してしまった。
 『仕方ないね』
 そう言って類は認めてくれたけれど。
 「あの後、俺、凄い後悔したんだ」
 「類?」
 「こうやってさ、抱きしめて離しちゃいけなかったのに、俺、あんたの気持ちを優先して諦めたじゃない?」
 あげく友人としていつも力になってくれた彼から遠ざかり、友人としても不義理をしてしまった。
 「なんだか、全部虚しくなって…親の言うままに結婚とかもしてさ、俺何やってんだろうって思った」
 「…類」 
 「静の時にはあんたに背中を押してもらった。それなのに、俺はまたその時の教訓を生かせずにあんたが行ってしまうのを諦めて見送ってしまったんだ」
 だが、それがきっと類の優しさであり、愛し方だろう。
 「あんたに再会した時、もう二度と諦めないっ、あんたが俺を嫌いでもう二度と会いたくないって言わない限り、どんなにみっともなくてもバカみたいでも、追いかけるって決めたんだ…記憶をなくす前の司みたいにさ」
 「…っ」
 動揺したのは、いまさら司に未練があるわけじゃなかった。
 それでも寂しそうに苦笑した類の顔に、何を言っていいかわからずつくしは顔を歪めて俯く。
 たぶん、自分もまた類を愛しているのだろう。
 けれど、一度粉々に壊れてしまった心は、もう二度とは元に戻らない。
 あの頃のようながむしゃらな想いで彼を愛する自信がなかった。
 それに…手の中の雑誌に視線を落とす。
 冷たい表情の類とは真逆に、あきらかに彼の妻…元妻だろうか?…の顔は、彼へとの未練に悲嘆と苦悩を色濃く残していた。
 類によく似合っていた美貌をクシャクシャに歪めて…。 
 …そりゃそうだよね。
 つくしとこんな関係になる前の類は、荒んで既婚者でありながら、総二郎やあきらばりの恋愛遍歴を繰り返していたというのに、それでも離婚しなかった女性なのだから。
 きっと彼を愛しているに違いない。
 …あたしにはもう、こんなふうに誰かを愛することなんてきっとできない。
 フルフルと震えるつくしの手に手を重ねて、なおも類が掻き口説こうとするのに、つくしは緩く首を振った。
 「無理だよ…」
 「なにが?」
 「たとえ奥さんと別れたにしても、あんたとあたしの生きる世界が違うことは変わらない」
 「あんたが望んでくれるなら、そんなの全部捨てられる」
 そう同じことを言って、かつて彼女を熱く激しく愛した別の男は、その約束を違えた。
 それは運命という名の残酷な恋の結末であっただけで、けっして司のせいではなかったけれど。
 それでも…。
 ブー、ブー。
 類のスラックスのポケットから、携帯のバイブの音が鳴り響いた。
 電話に出ようとしない類に、つくしの方が促す。
 「…電話出て。会社からなんじゃないの?」
 「今はいい」
 「いいから…、あたしのせいで他人に迷惑がかかるなんて、もうこれ以上イヤなのよ」
 「…………」
 つくしの言い分に、小さくため息をついて、体を起こした類が携帯を確認する。
 もう一度吐いた類のため息は、大きく長かった。
 「ごめん、ちょっと下行ってくる」
 「うん……」
 「まだ、話は終わってないからね?」
 それでも火急の用事だったのか、しぶしぶにでもベットから起き上がった。
 素肌の肩を晒したまま、俯くつくしの髪を優しく撫で、耳元へと愛しげにキスを落としてくれる。
 「とりあえず俺が戻ってから食事して、それからまた話をしよ?」
 「…わかった」
 「じゃ、着替えておいてね」
 去ってゆく類の後ろ姿を切なく見送って、それでもつくしはもうここに残り続けることはできなかった。
 …わかっていたのに。
 類とゆく勇気がないのなら、けっして彼に触れてはいけなかったのだ。
 何度自分はこうして、彼を傷つけてしまうのだろうかと、唇を噛み締める。
 …あたしに泣く資格なんてない。
 多分、今度こそ彼を捨てて逃げれば、二度と類はつくしを赦してはくれまい。
 足早に隣室を探って、昨日脱ぎ捨てたはずの衣類を探す。
 …ちょっと、いったいあたしの服どこやったのよ?
 もしかして、と思って寝室に戻って、付属のクローゼットを探せば何着かの衣類がかかっていた。
 彼女にジャストフィットするそのサイズからして、あきらかに彼女の為に類が用意してくれたものなのだろう。
 「…まったく、これだから金持ちは」
 そんなことをボヤく身の程知らずな女はつくしくらいなものだろうと、自分がおかしくって小さく笑う。
 急いで身支度を整え、ハンドバックの中のスケジュール帳から一枚、紙を破りとって、手早く置き手紙を書き残す。
 『ごめんなさい。あなたの気持ちは受けられません。…さようなら』 
 いつも彼女の気持ちを優先してくれる彼ならきっとわかってくれる。 
 そう思う端で、先ほどの類の強い眼差しと言葉が蘇る。
 『…俺は諦めないよ』
 つくしはゆるく首を振り、まっすぐ前を見据えて、部屋を後にする。
 「今度こそ、さようなら、類。今度こそ永遠に」
 …もう、これ以上、あんたを好きになって離れられなくなる前に。
 分をわきまえない幸福を求めれば、必ずその報いは来るのだと思い知らされた少女の日の教訓を胸に抱いて。
 今度こそ、本来自分が歩むべき道へと戻るのだ。
 一歩進むごとに、彼に愛された体と心がズキリと痛んで…疼いても。



~FIN~




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