「中・短編」
Let's サマー!…7話完

Let's サマー!7~完

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 「そういえば、あんたって意外に猫かぶるのも上手かったのよね」
 思い起こせば、高校時代、あたしの家に道明寺が初めて来た時に、パパやママにしていた挨拶や、パーティでの振る舞いを思い起こす。
 あたしの予想でもまあ、概ね大丈夫だとは思っていたけど、まさかあそこまで馴染んで?くれるとは思っていなかった。
 …威嚇しないまでも、絶対に戸惑って、無愛想にするって思ってたのにな。
 「あんたって、案外逞しいっていうか、お坊ちゃまのくせに超庶民的なのもけっこう平気だよね」
 「ふふん」
 鼻でなんて笑っちゃって。
 得意そうなその顔が、まるで子供みたいで可愛いなんて…きっと、正直に言ったら怒るだろうから言わないけどさ。
 ひとしきり歓迎会と称した親戚一同のドンチャン騒ぎの宴会が終了した真夜中。
 ぐお~とか、ぐぇ~とか、あちらこちらで潰れて寝入ってしまった小父さんたちのイビキが聞こえてくる。
 ひいお婆ちゃんの家も田舎の農家の家の例に漏れず、広さだけはあるから、お酒に潰れちゃった人や、ちょっと遠くの人たちはそのままひいお婆ちゃんのうちに泊まることになった。
 さっきまでセカセカと立ち働いていた小母さんたちの気配もすでになく、障子と襖に囲まれた居間にはあたしと道明寺の二人っきり。。
 縁側に面した廊下に長い足の片足を投げ出して座り込んでる道明寺が、まだ手に持っていたグラスを傾けては、お酒をチビチビと口に含んでいる。
 その横に座ってジッと顔を見上げると、すぐに気づいて首を傾げた。
 「…なに?」
 「酔った?」
 「少し」
 「だよねぇ」
 いつもはほとんど顔になんてでないのに、ほんのりと頬のあたりが赤く染まっていて、なんだか…えー、ちょっと色っぽい?
 げふんげふん。
 たぶん、こんなところに座り込んじゃってるのも、本当に酔っ払ってるからなんだと思う。
 「今日、疲れたでしょ?」
 「まあまあな」
 平気な顔してるけど、疲れていないわけがなかった。
 朝の早い時間から東京を出発して、なんだかんだで半日近く、ほとんど道明寺が車を運転してくれたわけだし、前日までだってビッチリ仕事をしていたはず。
 その上、こっちに着いたら着いたで、いきなり見知らぬ人たちに取り囲まれての大宴会。
 気分的には接待みたいなもんだったんじゃないかな。
 こいつにしては、始終にこやかで、愛想も悪くなかった。
 ま、性格が性格だから、フレンドリーとは言い難いけど、そこは田舎の人たちのパワーが凌駕してたし。
 「ここの連中ってめちゃ酒つえぇ」
 「ははは、そうかもねぇ。他に特に娯楽らしいものもないし、けっこう暇見ては宴会だなんだって、飲むのが普通みたいだよ?」
 「そのわりに、お前が酒強くねぇのが解せねぇよな」
 「ん~、ママはけっこう強いよ。パパは好きな癖にビール一杯で気持ちよくなっちゃうから、パパの血筋かもね」
 「へぇ?」
 肩を竦め、またグイッとグラスを傾ける道明寺の手を抑えて、それを取り上げる。
 「なんだよ」
 「もう、やめなって」
 道明寺の手から取り上げたグラスに口をつけて、一口口に含む。 
 「…うっはっ、むわっときた、むわっと」
 こ、これむっちゃ、アルコール度数高いよっ!
 こりゃ、いくら道明寺でも酔うわ。
 「くく、お前には無理だって」
 あたしの手から再び取り戻したグラスのお酒を一気に飲み干してしまう。
 もしかして、けっこう気に入ったのかな?
 道明寺っていうとワインとかシャンパンのイメージだし、実際に学生時代はそんなのばかり飲んでいた気がするけど、接待とかもあるからか、最近では日本酒や紹興酒もイけるらしい。
 たしか、今道明寺が飲んでいるのって、ここいらでも有名な蔵元の地酒だって言ってたよね。
 空になったグラスを床に置いて、両手を枕に、道明寺がコロンと仰向けに転がった。
 「眠いの?」
 「ん~」
 「いくら夏だからって、こんなところじゃ風邪ひいちゃうし、疲れも落ちないよ?」
 「そうだな」
 同意してるくせして、寝転がって目を瞑ったままでいっこうに起きる気配がない。
 「ねぇ、なら、部屋に行こう?」
 「ちょっとだけ」
 「……もうっ」
 どう言っても、動いてくれなそうな道明寺を動かすのを諦める。
 さすがにあたしじゃ、こんなにデカい男を引きずって行くこともできないもんね。
 「寝ないでよ?」
 「寝るかよ」
 道明寺が瞑っていた目を開けた。
 …やっぱ、早めに部屋に連れて行こ。
 なんだかいつもは鋭い眼光が、お酒で鈍ってどこかぼんやりしている気がするものね。
 しばし、二人で、夜の庭をボウッと眺める。
 道明寺邸のように綺麗に整えられて管理された庭園なんかじゃないけど、ここにはここの美しさある。
 ジ~っていう虫の音、さやさやとそよぐ夜風、青臭い草の匂い。
 東京では絶対にありえない真の夜の闇を照らす月や星の明かりが凄くイイ。
 「…いいな」
 「うん」
 言葉にしなくても伝わる想い。
 道明寺が、まるであたしの心を読んだように、そう言ってくれたことが嬉しい。
 今、きっと、彼とあたしは同じことを考えてる。 
 同じものを見て、同じものを綺麗だと感じて…。
 こんなにも育った環境も、価値観も違うあたしたちが、こうして同じ景色を見ていることだけでも凄い奇跡だと思えるのに。
 「明日はひいお婆ちゃんの入院している病院をお見舞いがてら、観光案内してくれるって、従兄弟の子らが言ってたけど、あんたも来る?」
 「…そりゃ、行くだろ?」
 「そ?疲れてるなら、適当に部屋でゴロゴロしててもいいんだよ?」
 それにどうせパソコンも持ち込んでるんだから、やろうと思えばきっと仕事もできるんだろうし?
 道明寺がのそりと体を起こして、あたしの顔を覗き込んでくる。
 「俺はお前についてきたんだ」
 「……………」
 「どこまでも追いかけるって言っただろ?」
 「…それって」
 「もう黙れよ」
 目を閉じた綺麗な顔が近づいてきて、唇を塞がれる。
 キスして、キスされて、額を合わせて、またキスして、
 「もうっ、この酔っ払い!」 
 クスクス笑い合う。
 「よしっ」
 いきなり掛け声をかけて勢いよく立ち上がった道明寺が、あたしへと手を差し出してくる。
 その手に手を乗せると、ニヤリと笑う。
 …な、なんなのよ。
 「さっきの続き、やるぞ」 
 「…は?」
 「お預け食らわされて、すげぇムラムラしたまま我慢させられちまったからな」
 …ちょっと!
 「今夜はお前、寝られねぇから、覚悟しておけよ」
 「バ、バカ言ってんなっ。ここをどこだと、おも……っ」
 また唇を塞がれて、ひとしき貪られて足腰が立たなくなったのを支えられて、耳元で甘く囁かれる。
 「…だからお前、声抑えておけよ。みんな泥酔して寝ちまってるとはいえ、いつもみたいにデカい声だしたら、気がつかれるかもしんねぇからな」
 「なっ」
 あ、ありえないっ!
 「ちょっとぉ、しないってばぁっ、やだ、や―――ッ」



******



 「こ、今夜はラブラブファイヤーだってよ」
 「コップ、コップッ!」
 「バカだね、そんなもん壁にくっつけるより、縁の下がいいよ」
 「え~、ヤブ蚊がさぁ」
 「あれだけガタいのいい兄ちゃんだもん。きっとあっちも凄いよ」
 そんな会話が、壁の外で交わされていたことをあたしが知ったのは、その次の日の宴会でのことだった。
 「つくしちゃん!あんた幸せ者だよぉ。うちの亭主なんてもうねぇ……」



*****



 さらに後日談。
 東京に帰ってからのこと。
 優紀のお姉さんから一万円で譲ってもらった車が戻ってきた。
 道明寺が新しい車を買った時に、勝手に処分しようとしたから、あたしが噛み付いて、結局、東北から帰るまでは…ということで車屋さんに預けていったんだけどさ。
 もちろん、エアコンは修理されていたし、あっちこち新品みたいに綺麗にされていた。
 でもね。
 なんとな~く、なんだけど、心なしか車体が大きくなってないか?
 ドアもこんなに厚みがなかった気がするし、外装はそのまんまみたいには見えるけど、車内も、な、なんか違う。
 今まではついていなかったスイッチとか増えてる?!
 「ちょっと革カバーつけさせて、アクセサリー増やしただけだ」
 なんて、道明寺は言ってたけどね。
 カーナビはもちろん、地デジやDVD、ETC装置までつけられちゃってたし、何よりも気になるのが…。
 「たしかこの車ってナンバープレート黄色だったよね?」
 それがなぜか白に変わってたの。
 なんでだろ。
 「ま、いっかぁ」



~FIN~



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※黄色ナンバーは軽自動車、白は普通自動車。
つまりつくしちゃんの車は外見だけそのままにほとんどまるっと中身を入れ替えられちゃったんですよ。
え?もちろん彼女を熱愛して、事故死なんてありえなっていうあの方にですよ(^-^)


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いやー、夏ですなぁ。
田舎に溶け込む司もいいですね!
いや、浮きまくってそうですが、本人の努力が…ね!
浴衣着てつくしと二人まったり団扇なんて扇いでて欲しい★

それにしても、おばちゃん達大興奮でしたよね笑
きっと眠れなかったはず…笑
車のオチも司らしいなと笑えました!

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