「中・短編^」
愛妻生活…7話完

愛妻生活5

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 カフェで人心地つき、まだもう少し時間があるということで、バッキンガム宮殿を少しだけ見学することにした。
 「本当は午前中だったら、衛兵交代式見れたかもしれないのにな」
 「衛兵交代?」
 「そう、ロンドンの名物。今の時期だと毎日じゃないから、あらかじめ英国陸軍サイトを確認した方が確実なんだけど…」
 あきらの話によると、バッキンガム宮殿の衛兵交代式はロンドン観光の目玉で、衛兵たちによる行進と演奏が素晴らしくお祭りみたいな賑やかさなのだとか。
 そういえば、たしか観光案内にもあったかも。
 今回は観光が主眼じゃなかったから、ざっとロンドンの情報を仕入れたさいに、チラッと見たような気がする。
 「あきらも見たことある?」
 「ん~、まあ。2、3回くらいかな」
 「え――ッ、ロンドンに住んでてそんなもんなの?」
 あたしと腕を組んで歩いているあきらを振り仰ぐ。
 「そりゃ、お前だって東京に長年住んでて、そう何度も東京タワーに行ったことないだろ?」
 そう言えばそうかも。
 たしか小学校の時の遠足と、あと一回くらい?
 「それにその2,3回だって、俺がこっちに転勤になってからじゃなくて、ガキの頃や学生時代に見たっきりだぞ?」
 「そうなんだぁ」
 そんな雑談をしながら、ロンドンの街並みをゆっくりと歩く。
 あきらって、あたしよりずっと背が高くて足も長いのに、あたしを引きずって歩いたことがない。
 道明寺にしても、西門さんにしても、いつも足が早くて、連れ立って歩くとどうしてもあたしがチョコマカと一生懸命足を動かす感じなんだけど、あきらの場合は逆で、ゆったりとした歩みでついてきてくれる感じ。
 類の場合は…またちょっと違って、下手をするとそのまんま置いていかれるんじゃないかってタイプで、一応は先に行っても待っててはくれるんだけどね。
 F4の中でもあたしが頑張って歩かなくてもいいのは、あきらだけ。
 いつも、あたしの意思を最優先してくれるっていう安心感と嬉しさがある。
 とはいえ、実際にはたぶん上手くあきらの意のままに誘導されていることも少なくないんだろうな。
 ただ、それをあかさまには感じさせないし、あくまでも選択権を委ねてくれるから結果的にはあきらの意見を尊重することになっても、嫌な気持ちにならない。
 そういうとこ、さすがって言うか、元マダムキラーの本領発揮ってところなの?
 「なに?」
 「え?」
 「凄い胡乱な目」
 「え~、ははは」
 そんなつもりはなかったのに、ついあきらの過去にヤキモチとか絶対に知られたくない。
 「でも、ホント、ロンドンのチューブって凄い便利なんだね」
 ハロッズ近くのカフェから、バッキンガム宮殿は目と鼻の先だからと、歩いてきたけど本当に近くて驚いた。
 なのに、そのバッキンガム宮殿とハロッズのほぼすぐそばに、それぞれ地下鉄の駅が隣り合わせであるって言うんだもんね。
 「ハロッズからここまでって絶対に1Kmとかないよね?」
 「そうだな。ハロッズ最寄りのナイトブリッジ駅と、バッキンガム宮殿最寄りのハイドパークコーナー駅間の距離もたぶん500mくらいだしな」
 「そうなんだぁ」
 ふいに流した視線の先の街角で大道芸人を発見した。
 最初、金属でできた人形だと思っていたのに、よく見たら少しづつ移動していて、それで人間だと気がついた。
 思わず立ち止まって、見入ってしまう。
 「へぇ、このあたりじゃ珍しいな」
 「そうなの?」
 「ああ、大道芸人はコベントガーデンやトラファルガー広場の方に集まることが圧倒的に多いな」
 「あの人上手だね」 
 少しづつ歩を進める動きは、人間というよりもゼンマイじかけの人形かロボットみたいだ。
 派手な動きをしているわけではないのに、不思議に惹きつけられて見入ってしまう。
 「つくし」
 「あ、ごめん」
 ついついジ~ッと見ちゃってたけど、自分一人じゃなかったんだと慌てて向き直る。
 「いや、そうじゃなくって、ちょっとそこのカフェで時間潰しててくれないか?」
 「え?」
 「悪い、なんかメールみたら、ちょっと会社の方でトラブってるらしくて、秘書に連絡とりたいんだ」
 「え?あ…ああ、はい」
 「それで、もしかしたら込み入った話になるかもしれないから、お茶でも飲んで待っててくれる?」
 なるほど、これだけ喧騒があるところで、人目も憚らずに仕事の話なんてできないよね。
 「うん、わかった。あきらはこれから会社に戻る?」
 「いや、連絡取れれば大丈夫だから、ホンの…15分くらい?」
 あきらが大丈夫だと言ってくれるなら、大丈夫なんだろうと素直に頷く。
 「そっか。あ…それならさ、カフェじゃなくって、もうちょっとここにいてもいいかな?」
 「別にいいけど…」
 さっきの今でまだそれほど飲み物を飲みたいという気分でもないし、食べ物ならなおさらだ。
 それにすぐそこにはニューススタンドもあるし、ほんの15分~一時間ほどの暇ならどうとでも潰せそうだ。
 「…わかった。変な小道に入り込んだり、知らないヤツにはついて行くなよ」
 「なによ、それ」
 子供みたいな注意をされて、ムッとムクれる。
 「お前の場合、昔フランスで暴漢に襲われたこともあるし、その前にはNYでスリにやられたこともあっただろ?」
 数々の前科?を挙げ連ねられて、ウッと詰まった。
 「悪い、電話来たから」
 「あ、うん」
 あたしの頬に手をあて微笑んだあきらが、携帯をジャケットの懐から取り出しながら、踵を返して足早に歩いていくのを見送る。
 …じゃあガッツリ?見学でもしてましょうか。



*****



 ひとしきり大道芸を見て、芸人さんが終わりの礼をしたのに拍手して、差し出された帽子に小銭を入れてその場を離れる。
 さて、どうしようか。
 腕時計の針は、あきらが席を外してからかれこれ20分は過ぎていた。
 いざとなれば携帯電話で呼び出すこともできるけど…。
 とりあえず、ニューススタンドで興味を引く雑誌でも探すかと足を向ける。
 と―――、
 『Excuse me』
 いきなり後ろから腕を掴まれて、驚いて振り向く。
 …え?なに?
 『あなたの身分証明書やパスポート、財布を見せてください』
 そこにいたのは、街のいたるところで見かける制服の警察官だった。



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怪しい怪しい~笑
ロンドンは行ったことがないので、お話読みながら景色を思い浮かべて楽しんでいます。
イタリアでは地下鉄でスリの集団に囲まれました汗
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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