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ずっと君だけを見ていた…7話完

ずっと君だけを見ていた1

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ずっと君だけを見ていた

 CPは類×つくし。
 つくし&類ともに社会人で、つくしはごく普通のOL、類は家業を継ぎ会社専務に。
 原作的に、司が記憶を失った時点からの分岐で、すでに結婚、子持ちの設定。
 類が司の記憶喪失後何年も彼女を支えて、何度となくアタックを繰り返し、婚約にまで漕ぎ着けた設定。
 短い話なので、司他総二郎やあきらは話の中で出てくるだけで登場しません。
 鬼畜とかではありませんが、激シリアスです。
**********

 「…ん、なに?」
 なぜだか今夜の月が赤い。
 ムッとする濃厚な鉄錆みたいな臭気が鼻について、気分が悪くなる。
 …あれ?あたし、なんでこんな路上に転がってるの?
 なんだか、体が妙に重かった。
 まるで体の上に大きな丸太か荷物でも置かれてしまったかのように。
 頭でも打ったのか、ところどころ記憶の断片は思い浮かぶのに、今どうして自分がこの状況にいるのか、こんな路上で転がっているのか上手く記憶が繋がらない。
 ガンガンと痛む頭に閉口して、片手で汗に濡れた前髪をかきあげながら、反対側の肘でなんとか体を起こす。
 とたん…ズルリ。
 体の上から大きな物が滑り落ちた。
 …え?
 ギョッと顔を覆っていた片手の指の間から、目を開け、自分の下半身のあたりを覗き見る。
 「ひっ」
 …人?男の人?
 驚いて、手を口にあてようとして、それに気がついた。
 血。
 血だ。
 それに、目の前に倒れている見覚えのない男の人の脇腹につき立っているナイフの柄のようなものと、自分の両手を濡らす真っ赤な血の色に、あたしは絶叫した。
 「いやああああああああ」



*****



 「はぁ~、相変わらずプロのメイクさんって、凄いテクニシャンだよね」
 鏡を覗き込んで、あっちにこっちにと顔の向き変えては、牧野がうんうんと、関心して盛んに独り言を言っている。
 「凄いテクニシャンって感想持つ前に、他にあるんじゃない?」
 「類っ!」
 やっと気がついてくれた牧野が、鏡越しに俺の姿を見つけて満面の笑顔で振り向いてくれる。
 …長かった。
 本当にそう思う。
 嬉しそうに駆け寄って来る牧野を両手で迎え入れて、俺の胸の中に閉じ込める。
 「ただいま」
 「…おかえりなさい」
 外だとジタバタして、絶対おとなしく抱きしめられていてなんてくれない牧野だけど、今は俺たち二人しか他に人間がいないせいか、ほんのりと頬を染めて素直に俺に体を預けてくれている。
 それが凄く嬉しい。
 「仕度できてる?」
 「うん、今日は朝から、全部の皮を張り替えてもらったんじゃないかってくらいに、バリバリッに大改造してもらったからバッチリ!」
 「……バリバリッて」
 妙な表現で自慢してる牧野が面白い。
 俺の胸をトンて手で押して、一歩下がった牧野が、腰に両手をあて自分の姿を俺に見せるために、軽くターンして胸を張る。
 ふんわりとしたデザインの淡いブルーのワンピースが、清楚な印象の牧野に凄く似合ってる。
 「どう?綺麗でしょ」
 なんて、牧野らしくない自信満々な言い方。
 どうだ!みたいなドヤ顔が子供みたいで可愛い。
 「うん、凄く綺麗だし、めちゃめちゃ可愛い」
 「…………」 
 「ぶっ、なにその顰めっ面」
 真っ赤になってる理由はわかるけど、その珍妙な顔の意味がわからない。
 「もう~。類ったら、ジョークに決まってんでしょ。そこは、小奇麗になった小猿みたいだね、とかなんとかいつもみたいに落としてくれなきゃ」
 「可愛いから可愛いって言ったのに、文句言われるとか変なの」
 だいたいいつもだって、落としてるつもりなんて全然ない。
 小動物みたいな動きとか、仕草が可愛いとか、本当にそう思ってるそう言ってるのに、もしかして、俺の気持ちって通じてなかった?
 「……まあ、いいけど」
 なにやらまだブツブツ言っている牧野の腰に手を回して、俺の部屋から連れ出してエスコートする。
 面白くて可愛い彼女をずっとこうやって眺めていたいけど、今日はそういうわけにもいかない。
 そのために牧野に朝から仕事を休んでもらって、俺も早帰りしたわけだしね。
 「ごめんね、ウチの都合で」
 「…ん?」
 「仕事、忙しかったんでしょ?」
 来週は遠方の大学病院に入院している牧野のオヤジさんの担当医と会う約束があるから、週末にかけて有休を取るために仕事を詰めていたはずだ。
 会うたびにいつも牧野の顔は青色吐息で、疲労が拭えていなかった。
 俺が全部まるごと面倒みるからって言っても、承知してくれない女だから。
 いっそすべて俺に任せてくれれば、俺には嬉しいことなのに、頑な女だから恋人である俺にも中々甘えてくれない。
 「類こそ。つい一昨日までヨーロッパだったよね?今日はずいぶん無理して早帰りしたんじゃないの?」
 「俺は平気。適当に手を抜いて、疲れない程度にやってるからさ」
 無理するなんて俺のキャラじゃないよ。
 気遣わしげに見上げてくる牧野の髪を撫でて、笑いかける。
 「も~、ホント、あんたってあいかわらずなんだから。仕事に手を抜いたらダメでしょ?」
 さっきまで心配してたのに、今度は説教してくるのが、生真面目が一番の取り柄の牧野つくしってところ?
 自分がチャランポランな自覚があるから、牧野のそういうところが大好きなんだよね。
 生真面目で、誠実で、凄く温かい。
 「牧野みたいに、俺、真面目じゃないし」
 「どうせ、四角四面で要領悪いですよぉ」
 「……なんで、褒めてるのに、スネちゃうの?」
 「だって…」
 俯く牧野の髪にチュッてキスを落とす。
 「自分のそういうとこ、あんまり好きじゃない」
 「…………」
 「桜子や西門さんたちにもよく言われちゃうけど、もっと柔軟に生きられればな、って、時々自分でも凄く思うの。そうしたらいつまでも叶わないことを、延々と引き摺ったりしないですんだでしょ?」
 「牧野。もしかして…後悔してる?」
 「え?」
 「俺と結婚を決めたこと」
 記憶を失った司を待つことをやめたことを。
 牧野の顔が真っ直ぐに見れない。
 たとえ後悔してると言われても、どんな想いが牧野の顔に浮かんでいたとしても、いまさら俺は牧野を離してなんかやれなかったから。 
 でも、ジッと俺の情けない横顔を見つめていた牧野が、小さく横に首を振って微笑んだ。
 「後悔してない。後悔するくらいなら、類のこと好きになんてならないよ」
 「…牧野」
 「それに…どちらにせよ、道明寺はもう何年も前に結婚しちゃって、子供までいるんだもん。いまさら待つも待たないもないよ。たとえこの先記憶が戻ることがあったにせよ、それこそ遅すぎる。全部が遅すぎたの」



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こ茶子様が激シリアスと宣言されるなんて…と、読みたいけど踏み入れて、今の自分の精神が保たれるか心配です。。。
愛してるそばにいて、でもパンチをくらいますからね苦笑
いや、それでも読まずにはいられないので、頑張って日常生活には陰を落とさないようにしますっ!
それにしても冒頭…
なに?!なにがおこったの??!
気になる気になる。。。

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