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恋とウソと誤魔化しと…7話完

恋とウソと誤魔化しと…7~完

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 「なんだよ、つくしちゃん。なに、ムクれてんだよ」
 「ムクれてなんかいないけどね」
 …ただ、めっさ恥ずかしい。
 「お前っていつまでたっても、ホント、こういうの慣れないよな。いったい何年、俺と付き合ってんだよ…ま、そこが可愛いんだけど?」
 見透かされて、苦笑されてしまった。
 可愛いとか、総に言われるのも慣れなくて、照れちゃうし。
 何年付き合ったって、どれだけこうした時間を過ごしたって、総に慣れてドキドキしないで平然としていることなんて一生できないように思う。
 しかし、それよりも…あたしったら、このいかにも色気ムンムンな男と同僚の前からホテルの上階になんて消えちゃって、明日宇佐美たちからどんな目で見られるのか、それが怖い。
 総との関係を隠すの隠さないを遥かに飛び越えて、とんでもないところを晒してしまった気がする。
 …泣いちゃったし。
 「ほれ、喉渇いたろ?」
 シャワーから戻ってきた総が、そっぽを向いてベッドに横たわったままだった、あたしの顔の前に、ジュースみたいなサワーを差し出してくれる。
 「わおぉ、持ってきてくれたんだ」
 やっぱ、総って気が利くよね。
 「…そんな、ジュースみたいな酒、どこが美味いのか、俺にはわかんねぇけどな」
 ゴソゴソとシーツを胸元まで引っ張りながら上半身を起き上がらせて、総からサワーの缶を受け取る。
 ひゃ~、冷たくて気持い~。
 「うぎゃっ、な、なんてカッコのままなのよっ!」
 シャワーを浴びてきたんだから当然かもしれないけど、総はタオル一枚を腰に巻いただけで、ほとんど全裸と変わらない姿で、仁王立ちにビールを煽っていた。
 ス、スタイルいいけどさ。
 「別にいいだろ?それこそ、いまさらじゃん」
 「い、いまさらだって、なんだって、あたしは恥ずかしいのっ!」
 恥じらいなんて殊勝なものほとんど持ってないあんたには、わからない感覚だろうけどね!
 いくら口を酸っぱくして言っても、どうしてもこういうところは直してくれない。
 て、いうか、それこそ右から左?
 特に反発してもこないけど、スルーされしまっていた。
 「しょうがねぇだろ。お前と激しく運動しすぎて、まだ体の中の熱、発散しきれてねぇし、このクソ寒い時期に、シャワーで水とか浴びんのヤダし」
 「…そこまでしてとは言わないけどさ」
 ハァ~。 
 プシュッて缶のプルトップを開けて、サワーに口を付ける。
 「ぷっはっ~、美味い!」
 「ぶっ、オヤジかお前は」
 「し、失敬なっ!」
 自然素材百パーセントとか言われちゃうあたしだけど、さすがに美貌の恋人にオヤジ呼ばわりはかなりガーンだ。
 目の前に立っている総の素肌の脇腹に爪を立てようとして、
 「あぶねぇ、あぶねぇ」
と、ニヤニヤよけられる。
 「抓らせてよっ!」
 「やだね。贅肉なんてないのに、俺の腹なんて抓られるの?つくしちゃん。できないとムカついて、お前、パンチか肘鉄に切り替えるだろ」
 「…凄いムカつく」
 ぶ~と口を尖らせて、もう一度お酒をゴクリ。
 顔だけじゃなく、総って本当に綺麗な体してる男なんだよね。
 しばらくそれぞれに無言でお酒を飲む。
 もともと、総はけっこうおしゃべりな男だし、あたしも無口な方じゃないから、こうやって無言になるってことはあんまりないんだけど、でも不思議にそれが気詰まりじゃないっていうか、総となら全然苦じゃないんだよね。
 「……よし」
 ゴクゴクって一気にビールを飲み干した総が、いきなり妙な掛け声をかけて、自分のビールの空き缶をサイドテーブルに置くと、あたしのサワーの缶まで取り上げてしまう。
 「ちょっと!あたし、まだ飲んでる」
 「お前が飲み終わるの待ってたら、夜が明けちまうだろ」
 とかなんとか言って、あたしのまで一気飲みして、
 「…甘っ」
とかなんとか顔を顰めた。
 「人のものまで飲んでおいて、その顔はないでしょ」
 苦笑してしまう。
 あたしの分の空き缶もサイドテーブルの上に置くと、膝を抱えて座っていたあたしの腕を掴んできて、背中を向けさせられたと思ったら、いきなり背中から伸し掛られて押し倒されてしまった。
 「ぐえ~」
 お、重いっ。
 「そ、総、つ、潰れる、潰れちゃうっ、どいてよっ」
 「潰れねぇよ、そこは手加減してる。じゃなくって……いつまでたっても、お前って女はちっとも素直にならねぇし、言いたいこといいやしねぇ」
 「………」
 言いたいこと言わないって、言いたい放題だからすぐに口喧嘩になっちゃうんじゃないの。
 総の方が熱くなることは滅多にないけどさ。
 「言いたいことは、言ってるよ」
 「くだらねぇ、どうでもいいことはな」
 「なによ、それ」
 体重をかけられて押さえつけられちゃったてるから、振り向けないけど、総が不機嫌なのはわかる。
 「どうして、俺との関係をそこまで頑なに隠したがるんだ?」
 「…だから」 
 散々言ってきたじゃない。
 なんで、それをいまさら聞くかな。
 こうやって恋人の時間を持って、せっかく気まずかった小さな喧嘩も仲直りできたと思っていたのに。
 「ハッキリしようぜ。お前が俺との関係を隠したいのは、周囲がどうのというよりも、実は単純に俺のことを信じてないからなんじゃねぇの?」 
 ハッ。
 「この際だ、一気に普段溜め込んでいる鬱屈を全部吐き出しちまえ。どうせ、俺の顔見てたら言えることも言えねぇんだから、独り言みたいに喋ればいいだろ?」
 「……総」
 「それとも、いう気になるまで、苛められたい?」
 素肌のままの背中に指先を這わされて、そのままシーツの下のお尻のあたりにまで手を潜り込まされそうになってしまう。
 「たんま――ッ!!たんま、たんまっ」
 いひぃ~っ!
 総のイジメなんて受けたら、あたしの隠し事どころか、残りカスなみに洗いざらい、昨日数えて溜息をついたニキビの数まで白状させられてしまう。
 それくらいなら、理性がある状態で話す方がマシだよ!
 「……あのね」



*****



 「ふぅん。なるほどねぇ」
 あたしが喋ってる間、髪を梳いたり撫でたり、時々は肩や背中に軽く唇が落とされたけど、それはつっかえつっかえ自分の気持ちを探って話すあたしを励ますもので、セクシャルなものではなかった。
 「…総のことは好き。好きだし、愛してるけど」
 でも、どうしても総の家のことや、平凡な自分との格差を感じてしまって、ずっと一緒にいられるなんてとても信じられない時がある。
 総のことを信じていないわけじゃない、だけど。
 だから、婚約のことだって。
 「ハァ、まあ、な。婚約したって言ったって、俺がプロポーズして、お前が了承したってだけで、世間にはまだ公表できない状態なのが何年も続いちまって、お前にしたら俺を不甲斐なく思っても仕方がないことではあるよな」
 わずかに口調に混じった自嘲的な響き。
 そんな声を出させたいんじゃない。
 総の顔が見たくなって振り向きたいのに、あたしに体重を乗せたまま、総は振り返らせてくれない。
 「総のこと、そんなふうに思ってるんじゃないよっ」
 「そこはいいから、それで?下手に周囲に喋っちまって、ダメになった時にカッコつかないってか?」
 「そうじゃないよ。そうじゃないんだけどね」
 上手く言えない。
 見栄を張ってるのかもしれない。
 でも―――。 
 「一度周囲に認められて、そういう目で見られてしまった後に、えっと…そのダメ…になって、人から哀れまれたり同情されたりするのって、けっこうキツイっていうか…」 
 元彼のことをいつまでも引き摺ってるなんて、総にも失礼な話だよね。
 でも、自分自身でも、どこか半信半疑のままの方がいい。
 絶対叶うと思っていた願いがダメになってしまう時よりも、もしかしてダメかもしれないと覚悟していれば、傷が浅くて済む…そんな卑怯なことを思っていた気がする。
 「ふぅん」
 怒ってるふうではないけど、声のトーンが低い。
 「…怒った?」
 「いや、お前が司の時のこと引き摺ってのはわかってて好きになったわけだしな。お前を安心させてやれない俺が悪い」
 「総が悪いなんて…っ」 
 あたしが臆病なだけで…そう言いかけたのを、肩甲骨のあたりをちゅううっと吸いつかれて、ビクビクッて背中が仰け反ってしまって、言葉が途切れた。
 「ちょっと!」
 「…いいから、俺が悪いってことにしとけ」
 「総」 
 「それより―――」
 いきなりお尻を撫でていた手に、まだ潤んで濡れているところをスッてなぞられて、肌を泡立たせてしまった。
 「な、なにっ?」
 本格的にのしかかられてしまう。
 さっきまではなかったセクシャルな雰囲気がグッと強まって、総から濃厚なフェロモンの匂いが漂いだす。
 あたしの女を燃え立たせる香り。
 「……俺、お前に他人のフリされたことまだ許してないんですけど?」
 「ええっ?」
 「しかも、男と二人っきりで仲良さそうにジャレあってるし」
 …そ、それってもしかして、さっき宇佐美と二人で喋っていた時のこと?
 「今夜はくんず解れず、互いのそうした鬱憤をとことん体で話し合おうぜ?」
 「いっ!!無理無理、死んじゃうっ。明日休みのあんたと違って、あたしは明日も普通に仕事あるんだからねっ!」






 「ゆっくり時間をかけて、俺のこと信じさせてやるよ。この先いくらでも時間があるんだ。一生分あれば、さすがのお前だって、腹が据わるだろ?…愛してる、つくし。ずっと死ぬまで、一緒にいようぜ」



~FIN~



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~ Comment ~

きっとこのつくしちゃんの悩みって、一過性のものでなく、延々と続くものなんだろうなぁ、って思います。
例え結婚したとしても…です。
人に言う言わないの話ではなく、信じてる…だけど。ってとこでしょうか。
なのできっとこれからも総ちゃんはこうして、鬱憤を晴らしてあげるんだろうなー…
それこそ時間は一生あるんだし?
いいなーいいなー、私も総ちゃんに聞いてもらいたいっ笑

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NoTitle

愛してる側にいてあの強烈なパンチの後、荒んだ気持ちはやっと普段通りに?
思い出すとまたチクチクと痛い…(苦笑い)
早くつかつくもハッピーになれるようにこ茶子様に祈ろう(^^)
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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