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恋とウソと誤魔化しと…7話完

恋とウソと誤魔化しと…5

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 たぶん総が『牧野』と言いかけてたところで、化粧直しに励んでいた同僚たちが、女性用化粧室から一斉に出てきた。
 「あれ?牧野、先に行ってたんじゃなかったの?」
 まだ総に気がついていない皆が、怪訝にあたしと宇佐美を見比べている。
 と、
 「きゃああああっ、うそ、うそ、うそっ!!」
 突然悲鳴を上げた一人に、皆が驚いて一斉にその子を振り返った。 
 …あっちゃぁ。
 「なに、大きな声出してるのよ。恥ずかしいわね」
 「見て、見て見てぇっ!!」
 思いっきりの指差し。
 その指の指し示す方を辿って、皆が総に気がついて硬直した。
 「…………」
 「…………」
 「…………」
 ニコッ。
 総が営業スマイルで綺麗に微笑んだ。
 「「「きゃあああああああっ」」」
 ぐはっ。
 たぶん、多少は総の方でもたじろいではいたんだと思う。
 でも、こういう状況ってこの男にとっては、ごく日常だった時代がある。
 …っていうかさ、社会人になってまで一流ホテルで絶叫とか辞めようよ。
 同僚として恥ずかしい。
 「…こんなところで、絶叫とか恥だから辞めてくれ」 
 宇佐美があたしの言葉を代弁した。
 「ご、ごめんなさい、だって…あの、西門さんですよね?」
 すぐそばまで歩み寄ってきた総へと、それでもちゃっかり声をかけてる。
 …こ、ここで他人のフリとか。 
 「ええ。皆さんは会社の同僚同士?」
 「「「はいっ」」」
 声をかけたのは一人なのに、返事をするのは全員でとかちゃっかりだよね。
 「すげぇ目がハートだぜ」
 ホントだよ。
 あたしにしても慣れたものだから、総の周りに女子が纏わりついたからってどうってことはないけど…。
 「…相手、トイレに来たんじゃねぇの?アイツら入口塞いで、あの人の膀胱大丈夫かね」
 ぶっ。
 なんていうか、一々妙な注釈を付ける宇佐美の言い草がおかしい。
 いつ総が豹変してくるかとこっちは内心ダラダラ冷や汗をかいてるっていうのに、危うく笑ってしまった。
 が―――、
 「なんだよ、牧野。来てるなら来てるで、さっさと連絡しろよ」
 来たああああっ!!
 なんの変化球もなく、直球ストレートど真ん中っ。
 ザッて音がしたみたいに、総の周囲を取り囲んでいた同僚の女の子達が一斉にあたしを振り返る。
 「まさかお前がいると思わなくて、俺、もう飯食っちまったけど。お前、この後まだ予定ある?」
 綺麗な顔に薄ら笑みなんて浮かべちゃって、シラ――ッと普通に声をかけてくるけど、その目が笑ってない。
 な、なんでよ。
 さっきの状況なら、…まあ、ある程度は誤解されても仕方がないかもしれないけどさ。
 どうみても単なる同僚同士で集っている場で、そんな風な目で見られる覚えがない。
 それどころか、あれほど、声をかけてこないでって頼んだのにっ。
 「…えっと、牧野。西門、さんと知り合い?」
 「ぐげ」
 へ、変な声出ちゃったよ。
 想定の範囲だというのに、あたしも中々腹が座らない。
 でも、ここまでオープンに声をかけられちゃったら、初対面の人だなんてシラを切ることなんてできるはずもない。
 「……う、うん」
 「ええ!」
 「マジ?」
 「すごっ」 
 「もしかして、付き合ってる男だったりして」
 なぜか宇佐美が代表して聞いてくるけど、あんたなんでそんなにカンがいいの?
 西門総二郎だよ?
 世紀のフェロモン系美形とか、茶道会のプリンスとか(ストイック云々だけはミスマッチなあだ名だけど)なんとか言われちゃうような有名人と、さっきあたしみたいな自然素材百パーセントで、トイレ行くなら絶対膀胱の危機!とか言われちゃう人が付き合ってるとか思えるわけ?
 「そ、そうなの?」
 宇佐美の質問に、同僚女子たちの疑惑の目が一気に突き刺さった。
 うひっ、みょ、妙なことは言えない。
 かといって、なんていう?
 YES?NO?
 ノーコメントとかあり?
 「え、っとぉ」
 「……違いますよ」
 「え?」
 今、自分が口走ったのかと思った。
 けど―――。
 あたしに集まっていた視線の集中砲火が、総へと移る。
 皮肉げに笑んだ総が、肩を竦めて揶揄るようにあたしを見た。
 「付き合ってなんかいない。学生時代の先輩後輩、単なるおトモダチ?」
 どこかで聞いたようなセリフで、あたしの欺瞞を切り捨てた。
 「………」 
 「………」
 「………」
 「……えっとぉ」
 別になにか変なことを総が言ったわけじゃない。
 あたしが散々二人の関係のことは周囲に内緒にして、知り合いだとバレないようにしてって言ってきたことだ。
 今回、『知り合い』ってことは暴露してきたけど、それでも『恋人』だってことは伏せてくれた。
 そうだよ。
 あたしがずっと総に口を酸っぱくして頼んできたとおりに言い繕ってくれたんじゃない。
 そう思うのに…。
 「チッ。なんだよ、泣くなよ」
 …え?
 なんか、みんなの空気が妙~なことになってるなあ、とは思っていた。
 目の前にいる総の姿が滲んで見えて、20才過ぎても両目とも1.5の視力をキープしてるあたしも、ついにドライアイの影響から視力低下か!?とか。
 ハラハラと顔から剥がれ落ちて?くるものがあって、あや、バカにされたからってファンデーション塗りすぎて剥がれてきちゃった?なんて、そんな阿呆なことを思った。
 「…ハァ、しょうがねぇな。自分が常日頃から言ってることだろうに」
 ブツブツと総がボヤいたと思うと、
 「あんたたちの仕事って、今日はもう終わりだよね?研修とか」
 「え?…ええ、まあ」
 「こいつ、悪いけど、これで失礼させてもらうから」
 話しかけられた宇佐美が面食らってる。
 そりゃそうでしょ。
 世間に名前と顔の知れた男がいきなり現れたと思ったら、ごく平凡なOLの牧野つくしの知り合いだとか。
 そうかと思えば、いきなりあたしの手を握って引っ張って行っちゃうんだもん。
 …明日、どうしよ。
 でも、今はそんなことより、総があたしの手を握ってくれていることの方が大事で、他の何もどうでも良かった。



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ここで泣くのは反則でしょ!笑
総ちゃんのチッが、ものすごくよくわかります。
いやいやいやいや、乙女だねぇ。
相手に言われて初めて自分の刃がわかるんだよね、うんうん。
と妙に自分が年とった目線でみてしまいます笑
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