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「中・短編-」
恋とウソと誤魔化しと…7話完

恋とウソと誤魔化しと…3

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 冗談じゃねぇぞ。
 なんだよ、それって思った。
 切れたばかりの携帯を眺めて、チッと舌打ちを打つ。
 …そりゃ、俺だってわかってんだよ。
 牧野が俺と付き合うようになって、どんだけ嫌な思いをしたことがあるのか、とか。
 大半は、昔の俺の若気の至りってヤツだし、こういう因果な家に生まれて、その家業を継いじまったせいだってことも。
 けど、牧野が好きだと自覚してからは女関係はキッパリ手を切った。
 それ以前も誤解されるような付き合いはしていなかったつもりだ。
 たいがいチャランポランな付き合いではあっても、それが俺なりの誠意で、あくまでも遊びだというスタンスは崩さなかった。
 それでもなぁ。
 「…ハァ」
 こんな家に生まれたのは俺のせいじゃなくっても、継ぐと決めたのは俺だし、苦労かけるとわかっていて、牧野を選んで巻き込んじまってるのも俺だ。
 そうでなくても、司との付き合いで世間の目ってやつには、あいつはいろいろ煮え湯を飲まされている。
 理性ではわかってる。
 でも、俺の存在をまるでないもののように…この付き合いそのものが負担であるかのようなあいつの言動がカンに触る。
 …お前にとって俺は迷惑な存在なのか?
 もしかしたら、俺の強引な押しに負けて、仕方なく付き合ってるだけなんじゃないかとか、そんなバカなことを考えては憂鬱になってる自分がいた。
 おいおい、俺ってこんなキャラだったか?
 いつも追いかけてくるのは女の方で、俺はそれをスマートに躱すのが常だったはずなのに。
 「みっともねぇ」
 そうは思うけど、そんな自分が嫌いじゃないのが、また終わってる。
 一人の女に入れ込んで、その女の一挙一動で舞い上がったり、意気消沈したり。
 以前の俺にとって、それだけそうした女たちの付き合いは、執着するまでもなく…本当に遊びだったってことなんだよな。
 なくしたくないのは牧野だけ。
 世界中の男たちに俺のものだといい触れ回って、知らしめて、俺の所有権を主張したいのはアイツだけなんだ。
 「………仕方ねぇな」
 惚れた方が負け。
 こういう古人の格言ってやつも満更与太なんかじゃねぇってことなんだよな。



*****



 「うーん、ホント、美味しかったよねぇ」
 「でしょぉ?ちょうど研修の日とフェアの時期が重なってるの見て、もう嬉しくて狂乱乱舞しちゃったもん。気に入ってくれて良かったぁ」
 会社の研修が終わって、仲の良い同期だけで移動したホテルのイタリアン・レストラン。
 夜景が綺麗で有名だとかいう最上階にあるフレンチ・レストランは敷居が高すぎだけど、このイタリアンの店なら、今ちょうどバイキングフェアでお得に食べられるからと、食べ歩きに詳しい同僚の案内でやって来た。
 オススメだけあって凄く美味しくて、メンバー全員が大満足なサービスだった。
 …ここなら総でも、美味しいって思ってくれるよね。
 会社の同僚同士で食べに来るには、ちょっと高いなぁって初め思ったけど。
 「あの値段で、ここで食事できるとか思っていなかったよ。俺、今度、彼女連れて来ようかな。彼女、来月誕生日なんだよね」
 「あ~、それなら早めにね。フェアの時期が終わったら、バイキングやらないし、今日の値段じゃ、とても食べれないから気をつけて?」
 「え~」
 気の置けないもの同士で、笑い合う。
 「誕生日くらい奮発しろよ」
 「無理っ。この間、車買い換えたばかりだし」
 「え~、彼女より車が上?」
 そんなことを話しながら、エレベーターホールへと移動する。
 …そっかぁ。
 普通は、記念日とかそういう時でもなければ、こういうお店で食べたりしないし、すごい奮発だよね。
 自分で支払う時には高いとは思ったけど、総との付き合いで、こうしたレストラン…というか、最上階のレストランでも食事をするとかいうのも日常茶飯事だったから、普通に総とまた一緒に今度来ようとか思っちゃうくらいに、やっぱりあたしの金銭感覚もどこか狂っちゃってるんだよね。
 ポンと何十万もするワインを開けたり、飲んだりすることも珍しくないんだもん。
 そんなことから総を連想してしまった。
 そういえば、今日は総もこのホテルにいるんだっけ。
 …まさか、出くわしちゃったりしないよね?
 この前、ちょっと喧嘩別れみたいになってしまった電話の内容まで思い出した。
 「西門総二郎」
 ドキッ。
 え?
 うそ、まさか総のことなんか考えていたから、空耳が聞こえたとか?
 そんなわけもあるはずがなく、つまらない現実逃避をする場合じゃないと、周囲を見回してそれに気がついた。
 ハァ―――ッ。
 な、なぁんだ。
 ドキドキと高鳴る胸を抑えて、同僚の一人の子が眺めているポスターを見る。
 「カッコイイ」
 「わっ、ホントだ。なに、今ってここのイベントホールで茶道のデモストやってるんだぁ」
 「え?今、ここにいるの?ちょっと参加して見物しにいっちゃおうか」
 どれどれと、皆で総のポスターを囲む。
 「バカ、よく見ろよ、もう終わっちゃってるだろ。二部制で、遅い方の時間、19:15~20:15になってる」
 「…ていうか、予約もなくいきなりは無理だろ」
 「あ~、そうだよね。そっかぁ、ざ~んねん。西門総二郎って、相変わらず並みの芸能人真っ青なイケメンだよね…見たかった」
 等々。
 …そうなんだよ。こういう人なんだよ。
 今の場合は、ホテル側が用意した茶道イベントの広告ポスターだけど、平気で全国区の雑誌とか新聞にも出て、知る人ぞ知るっていう著名人。
 特に、今、茶道離れを危惧した茶道会全体で、総を立て看板みたいにして前面に押し出しているから、若い女の子を中心に、総を知らない人なんていないって言っても過言じゃないくらい。
 …なぁにが、茶道会のプリンスよ。
 ストイックさが魅力の若き指導者とか、つい5,6年前の総を知ってるあたしからしたら、チャンチャラ可笑しくて吹き出しちゃう。
 「まだ、ちょっと時間あるし、外出て居酒屋でも行く?」
 「ん~、けど、ここだとうっかり終電逃すと怖くねぇ?明日も普通に平日だし」
 女の子たちがいつまでもポスターの総をガン見して、きゃあきゃあ動かなくなってしまったのをよそに、男性陣の方はあっという間に総や茶道に興味を失ってしまったみたいで、次に行く場所の算段をしている。
 …あたしは、どうしようかな。
 総は、あたしのアパートに来るのが無理そうなら連絡するとか言ってたけど、いまだ連絡はないし。
 あの電話の切れ方も気になっていた。
 あれからメールさえもないし、わりにマメな方だから、やっぱり怒ってるのかな。
 …もしかしたら、来れても来ないかも。
 そんなことさえ思っちゃう。
 もし総がまだこっちにいるのなら、連絡して待ち合わせられないか、なんて。
 自分から同僚に知られたくないからって、声もかけるなとか頼んでおいて、いまさらだよね。
 「じゃ、とりあえず東京帰ってから、二次会のことは考えるか」
 あたしがグダグダと考えている間に、どうやら話はまとまったらしい。
 「あ、あたし、その前にちょっとお化粧室行ってくるね」
 「え?牧野、お前、化粧なんてしてたの?」 
 「なによ、それ?」
 キョトンとしてしまう。
 薄化粧だけど、普段からファンデーションや口紅だって塗ってるんだし、それくらいは普通わかるでしょ?
 「牧野の場合、化粧直しじゃなくって、膀胱の危機だろ、膀胱の」
 「そっかぁ、だよな。どうみても素のまま、自然素材百パーセントの牧野が化粧直しなんてするはずがない!」
 …なによ、もう酔っ払ってるの、こいつら?
 「「「「「ぶ―――ッ」」」」」
 それなのに、失礼にも皆が一斉に笑いだした。
 「た、たしかに、牧野の場合、お化粧の心配より、膀胱の心配よね」
 「食前酒飲まないで、ガバガバ水飲んでたし」
 「ぷぷぷ、お子ちゃま」
 し、仕方がないでしょ!
 総に外ではお酒は飲むなって厳命されてるんだもん。
 つーか、男連中ばかりか女の子たちまで同意するとかどういうことよ!
 「もう!あたし、トイレ行ってくるからね!」
 「やっぱり、トイレなんだ。あたしも行く」
 「あ、あたしも、あたしも」
 「俺も」
 …集団で連れションかよ。
 「お前が見栄張って、お化粧室だなんて女みたいな言い方するからだろ?」
 「…………」



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~ Comment ~

どうする?!どうでる?!
いやぁ、こういうプチ喧嘩シリーズも好きなんですよね笑
その後のラブラブを想像して…っていうのが前提なんですが。
膀胱の危機に笑えました!


あと呟きのマグロ!!
羨ましいですねー!!
なんて贅沢な…
私もそんな風に一度食べてみたい…
ただ、自分で解体するのはパスしたいですが笑

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