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「夢で逢えたら…全207話完+α」
第四章 夢の続き①

夢で逢えたら130

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 司に好きな相手ができた、という桜子の言葉に、ここ数年の荒みようを知っているだけに、滋も驚いたようだ。
 「へえぇ?司がねぇ」
 「…ええ、それに、花沢さんも」
 「え?類君もなの??」
 滋の方はただ驚いて目を瞠っているだけだったが、桜子の方は複雑な心境を隠し切れない。
 司のかつての恋人だった最愛の女は、滋にとっても、桜子にとっても、忘れがたい大切な人だったが、滋の場合と桜子の場合とでは意味合いが違う。
 滋もつくしの美質に惚れこみ、熱烈に思慕したけれど、桜子にとってつくしは恩人であり、今の彼女を形作り真実の幸せを教えてくれた人だ。
 もはや、崇拝とも下手をすると司のつくしへの愛情にも準じる想い。
 だから、つくしが亡くなったと知った時は、しばらく虚脱状態に陥り、何も手につかず、酷い落ち込みようだった。
 そうだったからこそ、司の異常や類の変質に心を痛め、同情もしたが、同時につくしの為にせめてこの二人の男性には変わって欲しくなかったのだ。
 つくしだけを愛し、つくしへの愛情に殉じて欲しい。
 もちろん、それが桜子のエゴであることは十分に承知の上。
 「…本当にあの道明寺さんや花沢さんが、先輩以外の人を愛するなんて…」
 滋の澄んだ眼差しが、桜子の歪さを見透かし、憐れむ様に陰った。
 けれど、口に出しては何も言わず、ただ小首を傾げて、相も変わらずの宇宙人ぶりを発揮する。
 「ふーん。なら、つくしだ!」
 突拍子もない言葉に、桜子の暗く陥りがちだった思考が、一気に浮上した。
 「はあ?」
 「その人、つくしなんじゃない?だって、司や類君が好きになっちゃうような人なんでしょ?きっと、つくしの生まれ変わりだ!?わあ、大変、滋ちゃん、会いにいかなくっちゃ」
 滋の頓珍漢な物言いに頭痛を憶え、桜子はこめかみを抑えながら必死に踏みとどまる。
 …この人はこれがデフォルトなんですから、イラつかない。
 思えば自分と特に親しい人たちは、みんなこんなだ。
 滋しかり。
 夫の和也しかり。
 まあ、さすがに和也は一企業を担うジュニアとして、世間の荒波をくぐりぬけているだけあって、ここまで浮世離れした発言はなかったが…って、滋さんも、立派に?お仕事なさってるんじゃ。
 ちょっと、大河原財閥の未来が心配になってしまった桜子だった。
 それはともかく、
 「何言ってるんですが、もうっ、滋さんたら。先輩はとっくに亡くなったんですよ?生まれ変わりってなんですか?いきなりメルヘンだか変な宗教だか持ち出さないでくださいっ」
 「まあ、生まれ変わりは冗談だけどさ。…だって、遺体は損傷酷くて、DNA鑑定だってしてないんだよ?あの頃は、私もオマーンに赴任したばかりで、現地との折衝に係りっきりでさ。日本にいなくて、どんなにか悔やんだことか。つくしが亡くなっただなんて、とても信じられなかった」
 「滋さん」
 「つくし…、本当に亡くなったのかな?」
 「何言ってるんですか」
 信じられなかったのは桜子も一緒だ。
 だからといって、滋の言葉は飛躍しすぎている。
 司と類がいくら常人とは違うにせよ、いくらなんでもその二人が好きになったからといって、その人物がつくし以外にありえない、なんて、それこそありえないだろう。
 …本当に?
 桜子はあまりに突拍子もない自分の思考に呆れつつ、マーベルと会った時の違和感について思い返していた。


 副社長室を出ようとした気勢を制するように、西田が差し出してきた雑誌を司は一読する。
 ごくありふれたセレブ御用達?のゴシップ誌で、司などは常連だった。
 それが、今更、臓腑をえぐるような顔を再び目にすることになり、司は不機嫌に雑誌を机に叩きつける。
 「…なんだ、これは?」
 『日本人女性・洲崎麻紀乃の告白』と銘打たれたタイトルに始まる記事は、いかに司の乱れた性生活が生々しく派手なものであるか前置きされ、以下の文章が真実であると断言されている。
 今までも、何かと話題になることの多い司だったが、数多いスキャンダル以上の企業成績を叩きだし、多くの買収、吸収を行い、常に道明寺財閥を拡張させてきた。
 その手腕が買われ、どんな汚名にまみれていようとも、いままで正面切って敵対してくる人間がいなかったのだ。 
 「馬鹿馬鹿しい。未成年に対する性的虐待も何も、俺がアイツに手を出したのは20才!この俺が、下手すりゃ足をすくわれるようなヘマすっかよ。それも日本でのことだ。18才成人のアメリカの法になんら触れるものでもないし、第一、何年も前の海外で起こったとされる事件に、NY市警が関わってくるかってーの。なんだこりゃ、この三文芝居じみた見出しはよ」
 司は顔色一つ変えず、呆れたように言い捨てる。
 だが、そうは言うものの、それは、明らかに司に対して行われた宣戦布告だ。
 「…麻紀乃ね。あいつ、まだ裁判終わってねぇよな?保釈ででてきてんの?」
 「ええ。西門さまがお付けになった弁護人が、保釈金を支払い西門さまを身元引き受け人として保釈されているはずですが…」
 「ふーん、一度、総二郎に連絡とる必要あんな。この記事で、なんか各所に影響あるんか?」
 「いえ、いまのところは、特には。しかし、このアメリカという国は未成年に対する性的虐待には神経質なくらい敏感な国です。表面的なものはどうあれ、今後どのような影響がでてくるか、注意が必要かと」
 「はっ。自由の国アメリカで、あまたの変態趣味が横行してるってのに、未成年はダメってか?
ガキどもだって、快楽には弱くてとっくに自分らで解禁してんだろうに。まあ、俺にしてみれば、今更汚名の一つや二つ、痛くもかゆくもねぇが。あの女が俺に面と向かって喧嘩売ってくるとも思えねぇんだけどな。誰がバックについてるか、調べろ」
 「はい、かしこまりました」
 西田は無表情に一礼するも、そそくさと執務室を出ていこうとする上司をすがめた目で凝視する。
 かつて数々の悪行の後始末をさせ、教育係として薫陶を受けた名残か、西田のそうした視線には何も言われずとも司は弱い。
 イイ年した大人の男としては情けない限りだったが。
 「…な、なんだよ」
 「どちらに行かれるつもりですか?」
 「もう、そろそろ終業時間だからいいだろ?得に急ぎの用がねぇなら、俺もたまには早く帰らせろよ」
 「確かに、接待などの業務は本日はございませんが、まだまだ明日までに決裁していただきたい書類もございます。定時に帰宅されるなど、夢のまた夢かと」
 「…ざけんな。こんな時の為に、お前らの権限を大幅拡大して、自由裁量の域を広くしたんだろ?それくらい、なんとかしろ」
 「その自由裁量をめい一杯使っても副社長御自らでないと決裁できない案件がございます。
どうぞ、執務机へお戻りください。そうでなくても…かなりの時間をストーカー行為に費やされたかと」
 「うっ」
 西田の鋭いツッコミに、司もぐうの音がつけない。
 確かに、午後からの仕事は、つくしの行方が気になり、今日迎えに行くという息子…ガキだろうと男は男だ…との様子を見守らずにはいられず(=監視)、挙句の果てには類の登場で、すっかり仕事どころではなくなってしまった。
 …類のヤロウ。この間、この俺様に宣戦布告だなんて小癪なマネしやがったからな。
 腸が煮えくり返るとはこのことだ。
 一番初めにマーベルの正体に気が付いただけでも妬ましいのに(いや、腹立たしいだ)、奴はいつでも自分の一歩も二歩も前へゆき、司自身も何をトチ狂ったのか、昔一度ならず何度か類にならつくしを任せられるなどという、バカなことを思ったこともあるくらいなのだ。
 絶対に、油断できないし、つくしを奪われるのを指をくわえてみていることなどできない。
 「…西田!どんどんもって来いっ。こうなったら、意地でもさっさと仕事片づけて、あの女から類をひっぺはがしてやるっ!アイツは昔から、俺が放っておくとキョトキョトと何してやがんだかわかんねぇ女だったからなっ!」
 仕事の効率があがるのであれば、動機がどんなに不純であろうとも、西田に否やはなかった。




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