「愛してる、そばにいて」
第3章 風になる日⑤

愛してる、そばにいて0247

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 角度を変えて、何度も何度もまるでスタンプを押すように彼女の唇へと落とされるキスは、優しく甘く…穏やかでどこか懐かしい。
 …あたしはこんなキスは知らないはずなのに。
 過去、何度となく一方的に司から奪われたキスは、もっと自分勝手で食らいつくように激しかった。
 …気持いい。
 そんなふうに感じた自分に気がついて、つくしはカッと頬に朱を散らした。
 瞼の裏に感じる視線に、おそるおそる瞼を開ければ、彼女を甘く切なく…苦しげに見つめる潤んだ司の漆黒の瞳に出くわす。
 …囚われる。
 「…本当にいいのか?」
 指先以上に小さく震える声音には、喜びと…不安。
 それだけではない複雑な感情に、司の迷いが感じられた。
 その迷いを振り切るように、つくしが所在に困っていた手をそっと抜き出して、司の大きな体に回して、ギュッと抱きしめ頷く。
 「牧野、……………つくしっ」
 感極まった司が、彼女の首筋に唇を埋め、ソファへと一気に押し倒した。
 小刻みに震えて身を硬くしながら、それでも司にされるままに身を任せていたつくしだったが、その勢いにハッと我に返り、大きく空いたドレスの胸元へと唇を潜り込ませようとしていた司の頭を掴んで抑える。
 「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、待って」
 「…………」
 司の手が、邪魔をされた顔の代わりだと言わんばかりに、たくし上がったドレスの裾から入り込み、ス――ッと彼女の太股を撫で上げ、その感触につくしがゾッと竦み上がる。 
 「お願いっ!待ってっ」
 『ダメ、怖いっ。やっぱり、あたしには無理っ』、そう叫んでしまいかけたつくしの気持ちが伝わったのか、司の動きがピタッと止まった。
 「………やっぱり、無理か?」 
 「あ……」
 今、自分が思ったそのままの気持ちを言い当てられ、とっさに言葉に詰まってしまう。
 だが、
 「えっと、そうじゃないの」
 「辞めるなら、今のうちだぞ?」 
 ハァ―ッと吐き出された司の吐息が熱い。
 司が暴れだしてしまいそうな欲望を必死で堪えているのがわかる。
 彼女と同様ドキドキと激しく動悸打つ心臓の音や、汗ばむ手のひらを何度となく握って開くことを繰り返し、懸命に浅く小さく深呼吸を繰り返しているその苦しげな様子に、彼がどれほどの自制心を総動員して激しい欲望を抑えているのかと。
 …イヤ。
 そう言ってしまえればどんなにか楽だろうか。
 けれど、それでは何も変われない。
 新しい自分に…。
 司に語った言葉は、すべてではなくっても、たしかな彼女の真実だった。
 新しい人生を。
 新しい一歩を踏み出すために、ただそれだけのために、つくしは恐怖を堪え、強張ってしまった顔にかすかな微笑みさえも浮かべる。
 …あたしにもできるはず。
 ただ泣き咽いで、無力さを嘆くことしかできない自分と決別するのだ。
 「大丈夫、辞めないで。…あ!でも、その、ちょっと、本当にちょっとだけ待って」
 すぐに動きを再開しそうだった司の顔を抑えたまま、もう片方の手でスカートの中へと潜り込んだ彼の手を抑え込む。
 「で、電気っ!」
 「…電気?」
 煌々とした電気のついた部屋での行為は、昔からつくしが忌避することで、少し前までの熟れた女の司の妻はどうだったか知らないが、とても今の彼女には許容できることではなかった。
 司も思い当ったようだ。
 「そ、それに、シャ、シャワー。そう、シャワー浴びたいの」
 …時間がない。
 「シャワー?」
 「お願い」
 つくしの懸命の頼みに、司も小さく息をつき、伸し掛っていた体を離して起き上がった。
 「ほ、ほら、けっこうパーティ会場、熱気が凄くて暑かったでしょ?」
 「……そうだな」
 「汗かいちゃったから、そう…いうことをする前に、シャワーを浴びたいの」
 おそらく汗をかいた云々より、つくしの意思を尊重しようとい司の気持ちの表れなのだろう。
 かつての彼であればつくしの言い分を聞いて、欲望を堪えてはくれるようなことは滅多になかったけれど、体を起こした司はつくしへと手を伸ばし、ソファに横たわっていた彼女のことも起こしてくれた。
 「パパッて浴びてきちゃうから、さ。さ、先にべ、ベッドで待ってて?」
 「…なんなら、一緒に入るか?」
 「えっ!」
 ギョッと飛び上がる彼女を横目に苦笑して、司が立ち上がった。
 「冗談だ。俺も他の部屋の浴室でシャワー浴びて…いや、やっぱお前が他の部屋のシャワー使え」
 「え?…な、なんで?」
 その方がつくしにとっては好都合な話だったが、司がわざわざ言い直したことが気になって、思わず聞き返す。
 「お前にもう一度、選択するチャンスをやる。本当に俺と寝るつもりなら、寝室に来い。もちろん、寝るっつーのは、枕を並べてただ寝るだけじゃねぇぞ?」
 「…うん」
 つくしもいまさらカマトトぶるつもりはない。
 もちろんそのつもりで、彼を誘惑したのだから。
 「が、無理そうなら、…そのまま他の部屋に篭って、鍵でもかけて寝てろ」
 どこまでも紳士な司の言葉に、つくしの良心が疼く。
 しかし、
 「とはいえ、迷うのにあんまり長くかけんなよ。煽られて…俺もやべぇから、これ以上ジラされると抑えが効かなくなる」
 「わ、わかったっ」
 恐ろしげな宣言に、つくしの顔が青ざめる。
 「じゃ…な」
 「あ…、お水、お水、飲まないのっ!?」
 「…水?」
 半分ほど飲み干したグラスを指し示され、肩を竦めた司が渇いた喉に一気に流し込む。
 「あ、あと…電気消しておいてね、ぜ、全部だよ?」 
 「……ああ」
 彼女のすっかり乱れてしまった髪を梳くように優しく撫で、司が居間を後に、寝室の向こうへと消えた。




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痛い…
司の理性を総動員させて、つくしの為を思ってかける言葉が…
胸にぐさぐさささります。
きっとオカシイことにも気付いているだろうに、つくしに触れられるなら…と思ってる司が切ないです。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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