「愛してる、そばにいて」
第3章 風になる日④

愛してる、そばにいて0229

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 「なっ、なにやってんのよっ」
 ギョッとつくしがソファから立ち上がる間に、司も点滴ポールを掴んでベッドから立ち上がってしまっていた。
 「いくら開腹手術したんじゃないって、言ったって無理したら…」
 「便所」
 「え?あ…そうなの?」
 人類としてはあたりまえの生理的欲求だが、意外な人物の口から出た意外すぎる言葉だったから一瞬呆然としてしまったが、つくしもすぐに我に返って気を取り直す。
 …そ、そうだよね。いくら綺麗な顔してたって、トイレに行きもすれば、吐いたりとか、お、おしっこしたり?
 いやいやいや。
 「えっと、その…サポートした方が…いいのかな」
 戸惑いつつ一応申し出るが、司の方はさっさとポールを押して、トイレ…ではなく、つくしが座っているソファの向かい側へと歩み寄り、ドサリとソファに座ってしまった。
 「トイレだったんじゃないの?」
 「…つーのは、ウソ」
 「は?」
 …何言ってんのこいつ?
 今度こそ、ポカンと司を見て唖然としてしまった。
 そんな彼女の呆れた顔に苦笑しつつも、やはり体調があまり良くないのだろう、司がさっさと横倒しにソファに寝そべる。
 「お前が俺の傍に来そうもねぇから、俺が来た」
 「なによ、それ」
 「せっかくこんなところまで来て、すぐ帰るとか、茶くらい飲んで帰れよ」
 「………ハァ」
 何を言わんや。
 まるで物見遊山にでも来たような言い草だが、司の顔色は最悪だし、手術をしたわけではないとはいえ、潰瘍から大出血を起こし、ひどい貧血で輸血までして、場合によっては死んでいたかもしれない身の上なのだ。
 「茶を飲めとか、あたしが自分で淹れるわけ?」
 「俺が淹れるか?」
 「…冗談でしょ」
 そもそも傲慢俺様御曹子の司自ら茶を淹れるなどありえないことだろうし、想像もできない。
 …それ以前に、死にかけた病人にお茶を淹れさせるほど、あたしは鬼じゃないわよ。 
 「それより、そんなところで横になるくらいならベッドに戻りなさいよ」
 「後でな」
 すっかり司はソファに腰を落ち着けてしまって、まったくベッドに戻るつもりはないようだが、どうやらそれも我が儘や意地になってるわけではないようだ。
  室内を数歩歩いただけで目眩に襲われているらしく、平然とした態度を装ってるが、目の上に腕をあて目を瞑ってしまった顔はさっきよりさらに血の気が失せてしまっているようにも見えた。
 「ね、ナースコールしよっか?」
 「医者にはさっき会った」
 「いや、そういう問題じゃなくってさ」
 「…なら、お前もここに泊まっていくか?」
 「はあ?」
 まさに、つくし的には、はあ?だ。
 …なら、ってどこにかかる、なら、なのよ?
 司がベッドに戻る話や医者を呼ぶ呼ばないが、どうして完全看護の病院につくしまでもが付き添う話になるのだ。
 「意味わからないし…」
 「ま、それより、もう少しお前もここにいろよ」
 どうやら、司が本当に言いたかったのは、それだったのだとやっとつくしも気がついた。
 「すぐに帰るとか言うな」
 「まったく…」
 ボやいてはみたものの、体調が悪い時に気弱になったり心細いのは、つくしも憶えがあることだ。
 そういう時には、家族にそばにいて欲しいものだし、優しくされたい気持ちはよくわかる。
 …あたし、奥さんなんだっけ。
 現在の司の中での自分の位置づけがどうなっているのか、つくしにはわかりようがなかったが、しかし、いつもは腹立たしいほどに自信に満ちて、周囲を圧倒している男が見せる弱った姿に、反論する言葉をつくしも飲み込まざる得なかった。
 …しょうがない、な。
 「えっと、タマさんは?」
 かといって、司の要望を素直に受け入れるのも躊躇いがあって、結果、病院につくしと一緒に来たはずのタマの姿がないことを尋ねて、話を反らす。
 「帰った」
 「え?帰った?」
 つくしに何も言わず?
 …そりゃ、どっちみち帰るところは一緒だし、タマさんも忙しかったんだろうけど。
 「ああ、お前がこっちに来ない間に顔を見せて、俺に説教して帰っていったか」
 「…はは、そうなんだ」
 笑うところではないだろうが、こんなに図体も態度もデカイ男が老婆に唯々諾々と説教されたというのがおかしかった。
 周囲が恐れる道明寺司も、祖母同然、乳母のような存在のタマには頭が上がらないのだろう。
 不思議にそんな司を身近に感じて、戸惑いつつも、イヤな気持ちはしない。
 気が付けば何を思ったのか、いつの間にか目の上から腕を外した司が、片肘を立てた姿勢で体を捻って、つくしをジッと見つめていた。
 「なに?」
 司に見つめられ、ドギマギとつくしが視線を彷徨わせる。
 いつも彼女を見つめる時のような甘く切なく…熱い視線ではなく、他人を畏怖させ萎縮させる威圧的な視線でもなく、ただ彼女の中の某かを読み取ろうとでもいうようなどこか鋭い眼差し。
 「な、なんなのよ?」
 司の眼差しと沈黙、そして妙な緊張感に居た堪れず、ついつくしがキツイ声を出した。
 それで司も何かを踏ん切りつけたのか、小さく息をつき、彼女から視線を反らしてソファへと体を逆戻りさせる。
 「あのさ、疲れたんじゃない?戒もお屋敷でヤキモキして心配してるだろうし、あたし、もうそろそろ…」
 帰るね、そうつくしは続けようとした。
 だが、しかし―――、
 「お前、お袋と何を話した?」
 「…え?」
 「さっきまで、会ってたんだろう?俺の母親、道明寺楓と」




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愛してる そばにいて

毎回 めちゃくちゃドキドキしながら読んでいます。
私の1日の始まりは 愛してるいる そばにいて から始まり 愛してる そばにいてをまた繰り返し読み1日が 終わります❣️
48歳 幸せの日々 (o^^o)

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